中国の株式指数である上海株式総合指数は、2007年10月15日に節目の6000ポイントを突破し、6030の終値をつけました。そこから一気にピークアウトし、約半年後の2008年3月31日には3472ポイント、下落率が42%を超えました。

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 日本の株式バブルが絶頂に達した1989年、日経平均は終値で38915円をつけ、ピークアウトしました。そこから約9ヵ月後には20000円を割り、下落率がほぼ50%に達したわけです。もしも上海株が3ヶ月以内に3000ポイントを切り、下落率が50%を超えると、日本を超えるハイペースなバブル崩壊ということになります。
 中国株については「北京五輪までは崩壊しない」という微妙にオカルト的な説が出回っていますので、逆に北京五輪が近づくに連れ、逃げ出す投資家が増えるでしょう。上海株式のバブル崩壊のペースが日本を上回る可能性は、高いと思います。
 上海株式のPER(株価収益率)は60倍と高騰していますので、PERが10倍程度まで下がる、つまり上海株式総合指数が1000ポイント程度までは下落すると考えています。中国のような発展途上国のPERが、先進国を上回る時点で異常なのです。
 ところで、日本のメディアやら経済評論家が散々に中国株式投資を煽ってきましたが、彼らが今後、どのように言い訳をするか書いておきたいと思います。
 とりあえず、
「上海株式総合指数はA株(外国人は買えない)が対象で、中国人しか買えないので、別に中国株の魅力が減ったわけでも何でもない!」(だが、決して外国人が購入できる中国B株の指数の話はしない)
「中国の株式は三分の二以上が流通しておらず、売買されているのは三分の一に過ぎない。流通株が少ないのだから、株価の上下が激しくて当たり前だ!」
 しかし、上海株式総合指数が6000を目指し、駆け上がっていたときは、外国人が買えもしないA株の総合指数を利用して「中国株式は絶好調!買わない方がおかしい!」と叫んでいたわけです。もしも日本メディアや経済評論家が上の二つのような言い訳をしたら、盛大に「恥知らず」とレッテルを貼ってあげましょう。
 ところで、中国株式市場の特殊性の中で最大のものは、前述の通り流通株式数が少ないことです。
 三分の一が流通しているならまだいいほうで、最も悪質だと個人的に思っているのは、ペトロチャイナです。ペトロチャイナの発行済み株式のうち、86%は中国政府が保有しており、市場に出回っておりません。さらに残りの14%についても様々な市場に分配されているため、上海株式市場で出回っているペトロチャイナの株式数は、全体のわずか2%に過ぎないのです。
 2007年10月15日、ペトロチャイナはこの2%分の株式を上海株式市場に上場し、公募価格の三倍に近い48.6元をつけました。ところがこのとき、ペトロチャイナの時価総額を計算する際に、なぜか上海には出回っていない98%分の株式も加えて掛け算され、「時価総額が1兆ドルを超えた!世界最大の時価総額だ!」と派手に喧伝しました。
 もしも政府保有分の86%の株式が上海株式市場で売りに出されたら、流通株式数が40倍以上になりますので、需給の法則から言っても、一株価格は40分の1になるはずです。
 まあ、はっきり言って詐欺の一種なのです。
 このような裏面(と言うか、インチキ)を知りながら、「ペトロチャイナの時価総額は世界一!」と報道した日本のメディアは、詐欺の片棒を担いだことになります。そしてもしこの裏面を知らずに同じ内容の報道をしたのであれば、能力の無い人ということになります。
 果たして、詐欺師と無能者と、どちらが多いのでしょうか、日本メディアは。