たかぴょんのブログ

ストリップ中心に語りたいと思います♪

ストリップは情熱の塊だ。 踊り子のその熱い思いを私には広く伝える必要がある。


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大寒を前にして西日本は一面雪化粧となった。

大阪でも二年に一度ぐらいは積るので、何のことは無い、少しだけ早くその時が来ただけである。

会社でのブンラス、鍵の開閉の両方を任されている日が私は週に二度ある。劇場でのオープンラストは、満たされた気持ちと心地良い疲労感に包まれるものの、職場での六時から二二時までという途方も無く長い一日は、生きた心地がせず、確実に心を病み、精神を蝕んでいく。このピュアな雪を見ようとも子供の頃のように上がることなく、重い足取りでその日が始まったのであった。

 

夜明け前の真っ暗でタイア痕が付いていない真っ新な白い道を進んでいく。

「俺は運転が上手いから」

どんなに強がっていても、それは確実に止まれることが前提の話であり、軽い雪ぐらいではなんともないが、ここまで積ればと慣れ云々というレベルではない。

 

遠く橋を下った先の信号待ちで、一台のトラックがハザードランプを点灯していた。

「事故か」

と思い、私も呼応するようにライトを付けた。ゆっくりと近づいていくと、この意味することが直ぐにわかる。路面が凍っていた合図だったのである。緩やかな下り坂でさえ、普通にブレーキを踏んでいても減速しない車体に少々焦りを感じたが、20年近く前に教習所で習ったブレーキの連打で、なんとか5m前ぐらいで止まることが出来た。するとすぐにルームミラーから後続のトラックが見えた。短時間と思っていた赤信号がこの時はえらく長く感じた。スピードを出していないとはいえ確実に私の車へと近寄って来る。

 

そのトラックも私のハザードが見えている筈であるが、止まる気配が全く無い。ミラー越しに見えるのは、タイヤをクニャっと右に曲げながら、そのまま縦滑りし、真直ぐに、そしてゆっくりと私の方へと近づいて来るその大きなトラックの姿であった(笑)。外はまだ暗く、運転手の顔は良く見えない。

 

私はアクセルを踏むタイミングをミラーで凝視していた。

「これはどう考えても避けられない。確実にぶつかり、そして玉突きになる。後ろのトラックにぶつかりそのまま前のトラックにぶつかる。トラックにサンドされるのだ。この被害を最小限に留めるために、ぶつかる瞬間に少しだけ前進し、その衝撃を弱めるのが最善だ」

まるでバトン走者のように私はタイミングを見計らっていた。この時の私は恐怖を感じつつも到って冷静であった。学生時代に付き合っていた恋人に、些細なことから揉め、灯油を全身にかけられた時のように、頭の中は全くのクリアだったのである。近くに火の気が無いのがわかっていたのであるから(笑)。

 

トラックは近づいて来るにつれ、少しずつ車体を傾け出す。ブレーキの連打が利いたのか、結局、コンクリートの道路の外壁にボディをこすりつけながら、直前で止まってくれた。いつの間にかシフトレバーに吊り下がっている御守りを、左手でギュっと握っていた私の掌は汗だらけであった。私は気づかぬうちに神頼みしていた。

 

一頭の晃生の三番叟で望月きららちゃんに、清めの塩を大量にかけられたのもご利益があったのかもしれない(笑)。

「お客様のお金回りと、ご多幸を~」

という有難い祝詞をその時に戴いた。古来より日本は発する言葉に特別な力を持ち、言葉を大切にした国であり、そして神々の国である。金回りは変わらないと思うが、命拾いしたのには間違いなかった。

 

「お待ちしておりました」

離れたところから頭を下げられ、近づいたらいつものこの挨拶である。接客業とはかようにありたいものだろうと思う、この日本一愛想の良い晃生のテケツの方に毎度のことのように言われる。いつものようにアジャストで入場するものの、この日私は渋滞で少し遅れていた。

「先週、来週の来れる日は全て寄らせて貰いますと言ったじゃないですか~」

と私が答える。

「はるちゃんは、良い子だね~」

「それはよくわかります。別に僕はね、性格が悪くても構わないんですよ。まぁ、そんな踊り子さんは少ないんですけどね」

「それはどうしてですか?」

「観る分にはまり性格は関係ないからですよ。その方が後腐れ無いじゃないですか」

「ははは。そうでしたか。今日はゆっくりしていって下さい」

階段のところにある沢山の胡蝶蘭を眺めながら、弾み過ぎる会話を今直ぐにでも止め、早く席を確保したかったのは言うまでもなかった(笑)。

 

 

【青山はるか ~花之艶(宴)~】

赤い花柄の着物姿。黄金色の神楽鈴の「シャンシャン」とした澄んだ清音が場内に響き渡る。神々を招き寄せ、やがて舞い降りてくる。ステージでの神楽舞は、踊り子とて神職と変わりはあるまい。客はその加護と恵みを求めて祈るのであり、場内は踊り子と客が一体となる場となる。

 

この國は花を愛で 春をことほぐ季節と共に生きる日本の人 おかえり いつでも帰りを待つ 人川山谷夢かわりゆこうとも かわらない心 花の宴

 

汚れの無い巫女の白い襦袢姿。神事に仕えるはるちゃんの祈祷、奉納のゆっくりとした舞を魅せる。そこには芸能の神、日本最古の踊り子と言われるアメノウズメが、乳房を晒し、裸になって踊り、神々を笑わせ天照大神を引き寄せたような宴のような姿であった。神殿における舞は太古の昔から、崇拝される存在なのである。

盆に入り、数々のポーズを決める。照らされる裸体には、今も昔も変わらぬ神秘的な力が宿っているのであった。

 

客なんてものは「踊り子を選べる立場にある」であるから、楽なものである。踊り子は客を選べない。プロというものは厳しいものなのだ。客は行きたい舞台を観に行き、そして気に入らなければ、何も言わず去って行く。ステージでは恐ろしいぐらいに輝きを放ち中毒性を客に与える。これが私を捉えて離さない。今後も観て行くことに変わりはないであろう。

 

ポラではあまり自己主張されないのか、あまり

「来てね」とか「待ってる」などは、はるちゃんに言われたことが無いのであるが、

「書いてね」

と言われるのが一番辛いところ(笑)。どんなに伝えたくても、言葉では届かないことがある。私が縷々として語ったところでそれは微力なものであり、踊り子が一度足を上げれば、それだけで遥に説得力を持つ。

 

デビューした頃から観ているというのは、何の自慢にはなりはしない。しかしながら、はるちゃんの全演目を観ているというのは、少しぐらい自慢にしても良いだろう。ここまで演目が変化していった踊り子を、私は知らない。ストリップのステージというものは、踊り子自身が自分の演りたいもの創っていくものであるが、デビュー当初は、本来あるべきそういういったものよりも、客に寄せた演目であったのかもしれない。アーティストが自身の方向性が見えてきて、初期の頃の面影が無くなっていくのは、ままあることである。周年は周年作で応える。昔の方が良かったというよりも、昔も良かったが今の方が断然良い。そして間違いなく今の方が刺激的であると断言出来る。         

 

5周年とはいえ、飛び飛びになってしまいましたが、活動は3.5年ぐらいでしょうか。10日連続という興行は体を酷使する上、あまり強くないようなので若干の心配ではある。客はステージを観て、元気を分けて貰うものであるから、踊り子の体調が悪くていけない。私が観た時は元気な姿で良かった。5周年おめでとうございます。

 

 

20171中 晃生ショー

(香盤)

  1. 愛野いづみ (道頓堀)

  2. さつき楓 (晃生)

  3. 蘭あきら (晃生)

  4. 望月きらら (晃生)

  5. 青山はるか (晃生)  周年♪

 

3演目:さつき楓/望月きらら

2演目:愛野いづみ

1演目:蘭あきら/青山はるか

 

観劇日:1/11(水).1/16(月)

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広島とTSの廃館が決まっており、その4枠や6枠なりが無くなる大きさは、予想するよりも大きいようにも思える。業界全体のこの下降線を一刻も早く止めたいが、一ファンとしては、なるべく多くのステージを観て行くことに今年も変わりはない。

 

ストリップの未来そのものを憂えているが、ここで過去の演目については取り上げない。2016年の総括として、昨年観た踊り子の演目で、尚且つ私自身が初めて観た作品に限って選出した。ゆえに現役の踊り子に限っていえば、タイミングが合えさえすれば、誰でも、今年も観られることも可能である。私の評価基準に言い逃れの出来ないものとなっている。過去の名演目について語るのは楽である。HIKARUの「花魁」、篠崎ひめの「ラブレター」、ゆのの「エレジー」など。それらは時間が経つとより美化され、その淡い思い出が殊更強固なものとさせる。それはこの場では望まない。年を取ってから、増えすぎた写真を眺めながら語らい合えば良いのである。

 

私の評価に満足しない読者はたくさんおられると思う。それは当然のことであり、その反発からそれぞれの価値基準について思いめぐらせていただければ、私の目的の過半は達したこととなる。

 

 

【演目ベスト10

柏木由紀奈(ロック座) 「Honno-」 11頭 in 東洋ショー

葵マコ(東寺) 「ハレハレホー」 7中 in DX東寺/7結 in 広島/9中 in あわらM 

あすかみみ(ロック座) 「ハロウイン」 11頭 in 東洋ショー

匠悠那(道頓堀) 「シンデレラ」 2頭 in 東洋ショー/5頭 in 渋谷道頓堀

青山はるか(晃生) 「かぐや姫」 1/11中 in 晃生ショー

真白希実(浅草) 「竜宮城」 10中 in 東洋ショー

あすかみみ(ロック座) 「暴走幼稚園児★みみたん」 3中 in 東洋ショー

石原さゆみ(道頓堀) 「夏の演目」 8頭 in 晃生ショー

小宮山せりな(浅草) 「フォーリンラブ」 12頭 in 東洋ショー

羽音芽美(晃生) 「シャボン玉」 9/12結 in 晃生ショー

 

柏木由紀奈 「Honno-

一年に一回、無謀な試みとしてその年の演目のベストを選出するわけだが、何年が経とうと、これらのステージが思い出されるに違いない。今年の一位は柏木さんである。

本能を表現するのに、ストリップのステージでゆきなんは尼を選んだ。雨に濡れた体を拭い取ると、何かが降りてきたかのように、突如狂い出す。湧き上がる衝動に、今までのスト観を根底からグラつかせる。開いた口が塞がらなかった。天才の内に潜むと狂気とはこのことであり、それはまさに紙一重である。和訳してもそのステージを理解出来ぬ楽曲に、「ストリップとは感じるものだ」という熱いものを覚えた。

信頼する知人四人に

「東洋で柏木さんが狂った演目を出しています。解説して下さい」と連絡したのはここだけの話。この週は東洋へ4回行った。定型文のようなポラだったのも最後には感謝のコメントが書かれてあった。やはり良い踊り子というのは客を見ている。

 

ストリップの面白さは毎年のように更新されていく。当然ながら2016年が一番面白かった。今後は、そうは思わなくなるのではないとさえ思え、それを覆すような演目であった。柏木さんは20年先を行っていたのかもしれない。こういう演目を観てしまうと、やはりスト観劇は止められなくなる。

 

葵マコ 「ハレハレホー」

新芽が天に向かってどこまでも勢い良く昇っていく。それはまるで天井を突き破らんばかりの成長だ。蔓が、生命に力強い息吹を与える。人々に豊穣の恵みを、幸福をもたらす。掴みどころのないようなリズムからは、現代のダンスのようでもあり、古代の儀式の様にも思えた。「ステージに愛を感じる」というのはこのことを言うのであろう。

 

あすかみみ 「ハロウイン」

季節外れというのが、私は嫌いである。「終わったイベントなど~」と斜に構えていたが、すぐに前のめりとなった。そして1週すぎたぐらいでグタグタ言っている私の了見の狭さを恥た。ハロウインという祭事が、ステージでの題材として使いやすい部分もあったのであろう。アメリカのホラーコメディのようにも思え、笑いあり恐怖あり、そして骸骨とお板するところは、まさにストリップそのものとも言えよう。何よりもそのステージ構成の素晴らしさに舌を巻いた。後味の良いラストも心地良かった。

「こりゃあ、嵌るわ~」と女性のお客さんが言っていたのが忘れられない。

 

匠悠那 「シンデレラ」

悠那の現役最後の演目。召使いが、瞬きしている間にあっという間にシンデレラへと変身する。細部まで練り込まれた傑作である。長く悠那ちゃんを観て来たが、直近の演目のどれも素晴らしかった。ホームで引退興行もやり、ここまで完璧な演目を創り続けたなら、ファンも納得せざるを得なかっただろう。最後まで踊り子匠悠那を貫き通した。

「あなたは踊り子としての最高を求めて来たんだろ。その瞬間を感じましたか?」と聞きたかった。

 

青山はるか 「かぐや姫」

1週しか出せない周年作、その週に2度目の休業を発表する。そこまでしてステージで何かを残したいという強い思いが伝わり、酔いしれた。月を見つめる眼差し、そこから美しいベッドショーへと展開していく。月へ戻り、もう還って来ないと思っていたが、11中に無事快気し復帰する。ファンとしては嬉しかった。

 

 

【記憶に残った演目】

望月きらら(晃生) 「ドリームガール」 1頭 in 晃生ショー

左野しおん(道後) 「ピンクのドレス」 1中 in 晃生ショー

榎本らん(東洋) 「R☆Cafe」 1結 in 東洋ショー他

かんな(川崎) 「To Wing」 2中 in 東洋ショー

かんな(川崎) 「バーレスク」 2中 in 東洋ショー

加瀬あゆむ(川崎) 「バーレスク」 2中 in 東洋ショー

加瀬あゆむ(川崎) 「ROCK FES」 2中 in 東洋ショー

かんな(川崎) 「花魁」 2中 in 東洋ショー

かんな(川崎) 「ピエロ」 2中 in 東洋ショー

加瀬あゆむ(川崎) 「白い着物」 2結 in 東洋ショー

加瀬あゆむ(川崎) 「ナース」 2結 in 東洋ショー

加瀬あゆむ(川崎) 「赤い着物」 2結 in 東洋ショー

白砂ゆの(ロック座) 「花魁ワルツ」 3頭 in 東洋ショー

柏木由紀奈(ロック座) 「八百屋お七」 3中 in 東洋ショー

あすかみみ(ロック座) 「キュティーフェアリー」 3中 in 東洋ショー

石原さゆみ(道頓堀) 「さくらんぼ」 3結 in 東洋ショー

柏木由紀奈(ロック座)「小料理ゆきなん」 4中 in 東洋ショー

清水愛(川崎) 「GENESIS ~終わりの始まり~」 4結 in 広島第一

虹歩(カジノ) 「赤い着物」 5頭 in 晃生ショー 

来夢(晃生) 「デビュー作」 5頭他 in 晃生ショー

美月春(道頓堀) 「あんみつ姫」 6結 in晃生ショー

雪見ほのか(川崎) 「ちょうちょ」 7結 in 広島第一

吉田花(東洋) 「周年作」 7結 in 東洋ショー

武藤つぐみ(ロック座) 『Once Upon a 1st season 6景「星の銀貨」』 9月 in 浅草ロック座

榎本らん(東洋) 「Money Monste RC」 9中 in 東洋ショー

虹歩(カジノ) 「人形」 10in晃生ショー

真白希実(浅草) 「赤ずきん」 10中 in 東洋ショー

藤月ちはる(川崎) 「ちはりEva期」 12in 東洋ショー

小宮山せりな(浅草) 「せりなバニー」 12頭 in 東洋ショー

 

※演目名がわからないものについてはそのイメージとした。

 

【オープンショー】

来夢(晃生)

春野いちじく(TS)

榎本らん(東洋)

青山はるか(晃生)

柏木由紀奈(ロック座)

雪見ほのか(川崎)

橘メアリー(道頓堀)

 

来夢ちゃんは初々しさと色気を兼ね備えている。

劇場へは踊りを観に行っているはずなのだけど、私の中では、オープンショーは別に踊らなくても良いみたい(笑)。

 

 

【踊り子編】 お会いした踊り子は117名(桃色組素人は含めない)

11回 望月きらら

 9回 渚あおい/上野綾

 8回 柏木由紀奈/匠悠那

 7回 石原さゆみ/左野しおん/仲間直緒/榎本らん

 6回 愛野いずみ/青山ゆい/あすかみみ/寿恋花/坂上友香/さつき楓/空まこと/浜崎るり/美月春/水元ゆうな/来夢

 5回 葵マコ/伊吹千夏/川中理紗子/清水愛/園田しほり/虹歩/真由美/美里麻衣/宮野ゆかな

 以下省略

 

毎年のことながら、好まざるとも地元の劇場に乗る踊り子が多くなる傾向にある。当然ながら関西で観られる踊り子が、必然的に多くなる。

 

 

【劇場編】 9劇場で68

34回 東洋ショー

24回 晃生ショー

 4回 広島第一劇場

 1回 渋谷道頓堀劇場/DX東寺/大和ミュージック/浅草ロック座/まさご座/あわらミュージック

 

わざわざ遠くを探さずとも、美味はいつも身近にある。とは言いつつ、今年の2連休が5回あり、その内4回が遠くの外食へと行った。後の1回は晃生に2日連続行くという充実ぶり(笑)。残念ながら今年閉館する、TSミュージックと広島へはもう行けないだろう。

 

入場料を考えれば東洋のみの観劇だと金はたまるが、それはきっと今年も無理にちがいない。東寺が毎回プロ香盤をやってくれたら選択肢が広がると思うが、なかなかそうはいかない。

 

ポラの枚数はカウントしていない。おそらく「劇場回数」×「4枚」程度と思っている。乱雑に閉まってあるポラの山を整理するのが年始の仕事と毎年の恒例となりつつある(笑)。

 

(敬称略)

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年四千円の定期昇給は、毎年の社会保険料の上昇により、手取り分は微増に留まっていた。30前頃、上司から昇進の打診を受けたが、私は二度断っている。延々と働く上司の姿に、羨望というよりも哀れみのようにしか、当時の私には思えなかったからであった。今の職位は同期でニ番目と、なかなかのスタートを切っていたわけではあったが、これを機会にどんどん追い抜かれていく。そして彼らは家族を持っていった。この一般的なチャンスとされるものを自分の意志で逃したことにより、もう何もせずとも、僅かに増え続ける給与で定年までいくものと私は思っていた。

 

今回の三者面談では、会社の会長と人事部長の話を長々と聞き、それを受け入れ

「このあたりが妥協ラインだろう」

と、今の私には断ることの選択を出来なかった。普通に考えれば、いつまでもストリップばかりは行ってはいられない。後に振り返ることがあれば、この時がターニングポイントとなりうるにちがいない。

 

五のジムと週一は朝からストリップ、週一で歯医者通いを今までのルーティンとしてきたが、着任してから一週間、22時退社が実に四回あった。たかが手当てが六万増えたところで、拘束時間が長くなるのは目に見えていた。先日あった博報堂の過労の問題も社会的に広まり、数年前よりもマシになったとはいえ、デフレ下の影響をもろに受ける業種とあっては、会社のとった方針というものは、浅草よりも長い中休憩を三回挟むという、安易なものであり、実情は以前と何も変わりはしないものであった。

 

真直ぐに家に帰ることを許さなかった私にとって、いったいこの時間から何をしろというのだ。とりあえず半年間は耐えてみて、醜く痩せてきたらその時だ。ストリップへ行く回数は変わらずとも、新地へ行くのが激増しそうなのには間違いない(笑)。

 

踊り子の演りたいものと客の観たいものが合致していたら、それは良い演目となるのであるが、時として客側は我儘なもので、少しは変わったものを観たいという欲求に駆られる。それもその観たいものが大きく外させるようなものも嫌い、かといって

「曲と衣装は変わったが、どこかで観たことがある」

というような、既視感も良しとしない存在でもある。それに加え、ポラなどの不確定で不安定な要素も含まれる。およそ演目のみでその踊り子の評価が下されることはない。

「あの踊り子は客の方に向いていない」

とかをよく客同士で言うものだ。

 

ゆえに、踊り子は客が既に抱いている既存の観念の枠内で思考し、演目は作られる。その枠内において、人間性、恋愛観、世界観といったものをどんなに舞台の上でスリリングに演じあげていたとしても、客側の了解をはみだし、揺るがすことがない。したがって踊り子はその客の通念を切り込んでいく必要がある。それを揺るがすことの出来る踊り子に、客は、私は惹かれるのである。

 

「書かないの?」

「いやぁ。休みが二日潰れますので不可能です」

とその度に私は答えてきたが、はるちゃんだけが踊り子で唯一の読者であると思いたいが、私自身も行った劇場の全ての記録を残したいと思っている。まとまった時間が取れないのと同時に今後も取れそうにない。おそらくそれは定年してからだろう(笑)。10日で変わる興行事であるのと、観劇回数のスピードにそれがまず追いつかない。周りの気持ち悪いノイズなどは全く気にしてはいないが、ツイッターで当たり障りの無いことを軽く呟く程度が、速報性があり今の時代に合っており、記憶が新しいうちに留まりやすく、そして忘れられやすい。

 

1中の周年で二回目の休業を発表する。

「普通は周年作を持って、全国を回るものではないか」

と思っていた。一週しか出さないその周年作に、そこまでしてまでも何かを遺したいという彼女の想いというものを

「何の感情を入れること無く、ドライに観よ」

ということは、土台無理な話というものであろう。

 

病に伏すことがわかっている踊り子に、そして休業というものは限りなく引退に近いという事実を、客は皆理解していた。休業するとほぼ復帰の見込みを持つことさえ考えにくい業界であるから、それはもう難しいというより、諦めていた。あの時出した会心の周年作「かぐや姫」を観た時、もうステージに還って来ないだろうと思えさえもした。

 

どこまで体が回復したかはわからないが、ついに11中で復帰を果たす。どんなに明るく振る舞っていたとしても、病み上がりということを考えれば、万全な体調では無かったのかもしれない。しかしながら、舞台にあがる以上は、“プロとして相応しいステージ”をしなければならない。

 

もし1中の周年の時よりもステージが劣化しているのならば、幕が閉まった時にそっと抜け出し、用意していた花を受け付けに渡し、

「恥ずかしいから渡せなかったです。階段のところにでも飾って置いて下さい」

と私は立ち去るつもりであったが、その心配は全くいらなかったようだ。

 

グリーンのドレスで登場するや、私の全ての知覚に働きかけ、呼応した。美術館の裸婦像を観ても、欲情することはないことと同様に、現代ストリップのステージには芸術色が多く占めるようになったわけであるが、この相反する二つの感情が常に交雑していき、ベッドではそれが逆転する。桜木紫乃さんは、官能の奥深くに眠っているもう一つの部分という表現を使っているのであるが、私にはその境地には達していない。また、年寄りが孫娘の発表会を観ているような感覚でもなく、若い客なんてものは欲する対象としての、いかに想像出来うるかが全てであり、近くて遠すぎるその舞台を眺めているものなのだ。

 

かつて、新地のあまりにも赤暗い室内に、

「明るくできない?」

と私は言ったことがあったが

「無理だよ。赤はねぇ、肌を綺麗に魅せるんだよ」

とその女給は笑っていたことをふと思い出した。それと似た錯覚をストリップのステージ演出として使われる。晃生の赤い照明はより色気が増し、白は芸術性を高める、そこから体内の五感を総動員させ、冴え渡り、感度を上げていくものなのだ。

 

時が来れば はなればなれ 互いの道 帰る定 ああ一度の逢瀬のために 重いこの衣装脱ぎ捨てて すべてを忘れ ただ今宵 踊りましょう

 

時折、大きな月に目をやるはるちゃんに、今にでも遠くに行きそうな感じがしないでもなかった。

古から

「あの人も同じかの月を見ている」

と、愛する人を想う時、多くの歌人が詠っていたではないか。

 

美しすぎるその裸体は、本人が望まぬとも自己主張を止むことを決してさせなかった。

 

ポラで花束を渡す。私は相当震えていたと思うが、高そうなデジカメは、補正が利いており綺麗に写っていた。久しぶり会った知人にツーショットを促されたが

「俺は引退する踊り子としか、ツーショトは撮らない」

と突っ張った。

 

オープンショーは男達を無力にする。

「やっぱ、晃生の近さは良いねぇ」

と思いながら、今後もこの踊り子を中心に観て行くことに間違いないと確信し、はるちゃんに見送られ劇場をあとにしたのであった。

 

「思い出にするのはまだ早いし、飽き足りない。月に帰る時は、引退する時はホームで盛大に引退興行をする時だよ」

と、これだけはお願いしておきたかった。

 

 

201611中 晃生ショー

(香盤)

  1. 美月春 (道頓堀)

  2. 雪乃舞 (小倉)~15 /寿恋花 (晃生)~20

  3. 園田しほり (杉プロ)

  4. 左野しおん (道後) 周年♪

  5. 青山はるか (晃生) 復帰♪

 

2演目:美月春/青山はるか

1演目:雪乃舞/寿恋花/園田しほり/左野しおん

 

観劇日:11/14(月).11/20(日)

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