謎解き。
打って変わって
先日の台風が嘘の様な天気です。
蝉も本格的に鳴き始め、
その声を聴いているだけで暑さが増します。
聴覚的にも
体感的にも
暑い日には
せめて視覚的に
涼を楽しむ事にします。
四季折々、
時期関係なく楽しめる水石ですが
やはり一般的には
夏に飾りたくなる様ですね。
そんな夏に打って付けなのが
佐治川の「溜まり石」です。
一種、禅問答の様な
精神性な世界観を現す
「枯山水」に似た境地を感じる「溜まり石」です。
水を用いず
水を感じさせる奥深い趣が魅力です。
しかしながら
同じような形をしていても
そんな趣がある「溜まり石」は中々なく、
人工的に細工をした”あざとい”「溜まり石」が殆どです。
しかし、
人工的に細工をしてまで
「溜まり石」を作るのは
水石を趣味として楽しむ方に人気があり、
コレクションとして一つは所有したい形の一つである事は
事実です。
硬い石に窪みが出来る事は
色々な条件が重なった上に
果てしない年月が掛かります。
その上、
水石として形良く、
”溜まり”も深い物となると尚更の事
奇跡に近い確立になります。
ですので
天然石(人工的な細工をしていない石)で
「溜まり石」を求めるのは苦難であるが故に、
苦肉の策で細工するのです。
時代が良く乗り
一見すると判断しにくいと思われますが
おそらく人工的な細工を施していない
「溜まり」になります。
出来るだけ細工をした事が解り難いように
最小限の細工に止めます。
よって、
一番の見所である
溜まり部分を細工することが多く、
窪みを深く形良く細工します。
しかし、
そうして細工された”溜まり”は
原理的に辻褄が合わず、
よくよく考えて観察すると不自然です。
この「溜まり石」の
”溜まり”が天然であると思われる由縁を
紐解いて行きましょう。
真上から見た写真ですが
赤丸で囲んだ部分に注目して下さい。
こちらも赤丸で囲んだ部分に注目です。
水石の形を赤線でなぞった写真ですが
先ほどの写真で赤く囲んだ部分が
少し窪んでいることがわかります。
今までの写真の記実で
天然に出来た「溜まり」である事が推測出来ます。
”溜まり”は窪んだ部分に
小石や砂が入り、
それが川の流れで対流し、
浸食で出来ると言われています。
よって
写真の様に立った状態で川にあり、
赤線でなぞった窪んでいる所から水が入り、
その証と思われるのが
水が浸入する部分にあたり、
通常より浸食が大きくなった分、
溝になって残ったと思われます。
写真から見て
上が上流になり、
下が下流にあたると思われるのも
侵入部分にあたる赤線部分が
上流にあたる上の溝の幅が広く深いのも
理由の一つです。
その経緯が不自然であったり
推測できない物は
やはり違和感が生まれます。
どのような場所で
どのようにして出来たものなのかも想像すると
楽しくもあり、
天然石か否かの判断にも繋がり
面白味の一つと言えます。
皆さんも
所有されている水石があれば
今一度そのような見方で見直すのも
新しい発見に繋がるかも知れませんよ。
四季折々、
時節関係なく
色々と楽しめる
造形的に素性が確かな
近々、ホームページ
に掲載します。