実用からデザインヘ。 | 長楽未央「楽しみの盆栽」

実用からデザインヘ。

只今植替えの真っ只中で

毎日毎日改めて重労働である事を

思い知らされています。ガーン汗

手は腱鞘炎の様になり

肩は凝るしで

なかなかパソコンに向かい合う気力がありません。ショック!


前に書きました水盤 の型変わりです。



長楽未央「楽しみの盆栽」-鴻陽水盤長方1
相羽 鴻陽 作

「烏泥内均釉外縁切足長方」



普通に考えると

内側に釉薬をかけるより

外側に掛ける方が多いと思いませんかはてなマーク


水石を飾る際などに砂を敷くと

殆ど釉薬は見えなくなりますし

他の用途に使用する事を考えても

やはり同様の事が言えます。


では、なぜその様な作りをしたのでしょうはてなマーク


実は!!


元々見た目のデザインではなく、

実用性を優先した結果だと思われます。!!



この水盤は陶器で磁器ではありません。

陶器の特徴で吸収性があります。

身近な物で考えると

常滑などで作られた急須で

普段使いでよく使っていると毎回洗っているにも係わらず

表面が黒く汚れてくるのは、

お茶が染みて茶渋が付くからです。


盆栽の鉢は基本的に陶器で、

松柏盆栽に釉薬が掛かっていない泥鉢を選ぶのは

水を余り好まない性質も踏まえて吸収性が高いからです。

逆に雑木は釉薬が掛かった物を使用するのは

水を好むからです。


基本的に水盤の用途は水を溜めて使う事が

目的で作られていますよね。


という事はビックリマーク


考え方で欠点とも言える吸収性を抑える為に

コーティング的に使用したのだと思われます。

ですから外側に掛ける必要がなかったのです。!!


しかし!?

釉薬をかける手間を考えると

全体に掛けた方が楽ですよね。

それに陶器ではなく磁器で作れば問題ありません。



それを敢えてしないのが

実用からデザインへ考え方が変わっていくからです。!!


身近にもその様な事は多々あり、

「ジーンズ」もその一つです。

元々ジーンズは農作業着として作られたようで

生地が厚いのは擦れても丈夫なようにと

「ジーンズ」の特徴でもある”藍色”は

”虫除け”の染料がたまたま藍色だったのです。


作務衣の”藍色”も同じ事が言えます。


そんな生い立ちの「ジーンズ」も

今ではファッションに欠かせないアイテムになっています。



長楽未央「楽しみの盆栽」-鴻陽水盤長方2
陶器である烏泥の温か味と

均釉の爽やかさが相俟って”スッキリ”とした作りです。



長楽未央「楽しみの盆栽」-鴻陽水盤長方3
均釉も細かく窯変があり深味があります。



長楽未央「楽しみの盆栽」-鴻陽水盤長方4
言葉で書くと同じ均釉ですが

水色がかった釉薬は「月白釉」という

月明かりの白さに例えられた釉薬です。


同じ様に特注で作られた水盤ですが

一対にして並べると豪華です。



近々、ホームページ に掲載します。!!