前回は、「自然免疫と獲得免疫」 について解説しました。
今回は、「ヘルパーT細胞とアレルギーの関係」 について解説しましょう。
マクロファージから体内に侵入した外敵の情報を受け取ったヘルパーT細胞は、
その外敵の種類によって、分化(変化)するのです。
侵入した外敵が、病原菌やウイルスの場合は、
ヘルパーT細胞が「1型」に分化します。
1型のヘルパーT細胞は、細菌やウイルスに対する攻撃命令を出します。
つまり、1型のヘルパーT細胞が増えれば、細菌感染症に罹りにくくなるのです。
また罹っても、治りやすくなります。
一方、侵入した外敵が、花粉やハウスダストの場合は、
ヘルパーT細胞が「2型」に分化します。
2型のヘルパーT細胞は、花粉やハウスダストに対して過剰に反応して、
Bリンパ球にたくさん「IgE抗体」を作らせるのです。
ですから2型のヘルパーT細胞が増えると、IgE抗体がたくさん作られて、
「アレルギーをおこしやすい体質」になってしまうわけです。
つまり、「ヘルパーT細胞の1型と2型のどちらが多いか」によって、
アレルギーになりやすいかどうかが決まるのです。
アレルギーをおこしにくくするには、
ヘルパーT細胞の1型を優勢にすればよいわけです。
それには、なるべく細菌に暴露する機会が多いほうがよいのです。
実際、「幼児期に家畜の世話などして糞尿に含まれる大腸菌に接していると、
アレルギーや花粉症になりにくい」 というデータがあります。
この説は、「衛生仮説」といわれていて、
今日、1型アレルギーの原因として有力な説となっています。
回虫博士で知られる、東京医科歯科大学・名誉教授の藤田紘一郎先生は、
サナダムシから、ヘルパーT細胞の2型を抑制する薬を開発しました。
予想通り、アレルギーには抜群に効きました。
ところが、かなり高い確率で、ガンが発症するという副作用があって、
発売には至りませんでした。
結局、藤田先生は、土壌微生物をカプセルに詰めて飲んでいるようです。
これも、ヘルパーT細胞の1型を優位にするために有効です。
しかし、それよりさらに効果的なのが、LPSです!
LPSは、グラム陰性菌の表皮成分です。
細菌の表皮成分:LPSをごく微量に摂り続けていると、
徐々にヘルパーT細胞の1型が増えていって、
反対に2型が徐々に減っていくのです。
すると、IgE抗体が減少していき、
アレルギーがおきにくい身体になっていくのです。
これが、花粉症や気管支喘息、アトピー性皮膚炎などを
体質から治す究極の治療法です。