行き止まり | 平準司@神戸メンタルサービス カウンセラー養成・個人カウンセリング・心理学の講演、執筆を行っています!

4月25日の日曜日の夜遅く、私は最終のこだま号に東京から乗り、新富士駅に降り立ったのである。
そして、タクシーに乗り込み、富士市内にあるビジネスホテルに向かったのである。


この日は夜9時まで、五反田で夜の講座があったのである。
本来ならば、そのまま東京で一泊し、翌月曜日、自宅に帰るのである。
なぜ、こんな無理をしてまで富士市に泊まったのかといえば、南アルプスの地の果てにあって、糖尿病に劇的な効果があるといわれる奈良田温泉白根館に行くためなのである。


この温泉を飲泉すれば、あらあら不思議、あら不思議!
みるみる血糖値が下がるともっぱらの噂なのである。
だからして、いつか糖尿病になったならば、この温泉に助けてもらおうと、ずっと前から決めていたのである。


ところが、この温泉旅館は一人泊まりを許可してくれない(温泉旅館には意外と多い。なにもこの旅館だけではない)ので、日帰り入浴で利用し、そして、たしか、20リットル入りの温泉水を売っているはずなので、それを2つ使い込み、自宅に宅急便で送ろうという魂胆なのである。


40リットルもあるならば、ほぼ1カ月、この温泉水を飲み続けることができる。
さらに食事療法に運動療法を行い、各種サプリメントも完璧にとっている私のこと、必ずや劇的に血糖値が下がるはず!
そうして、お医者さんや看護婦さんにほめまくられ、さらに図に乗ろうという魂胆なのである。


しかしながら、目的の温泉旅館は、南アルプスの奥の奥のまた奥にあるので、行くのがとても遠い。
新富士駅前からいつものようにトヨタレンタカーを借りていったところで、2時間半ほどかかるのである。


往復5時間。
できたら、今日中に家に帰りたいので、わざわざ無理をして、ゆうべのうちに新富士までやってきて泊まったしだいなのである。
しかしながら、どうせ温泉に行くわけだからして、いつものように付近にある、あんな温泉、こんな温泉にも行ってしまいたかったりするわけである。


富士山に近いこの場所には、富士川という大きな川がある。
そして、この川のまわりの至るところに温泉が湧いており、いままでに入ったことのない温泉も多数あるのである。
よって、いろいろな温泉に入りながら、奈良田温泉にたどりつき、温泉水をゲットし、いつものように温泉を堪能しようというもくろみなのである。


新緑の季節、このエリアはものすごく素晴らしかった。
萌える若葉の中で、頭はずっとクラクラしっぱなしなのである。
エネルギー的にいうと、もう上がりに上がって、クラクラしながら車を運転しているのであるが、さらに温泉を渡り歩いているので、もっともっと上がってしまい、もう、空の上から車を運転しているような気分なのである。

世の中にはパワースポットというものが数々あれど、このあたりはすべてがパワースポットのようなものである。
社長権限で、この地を社内旅行の行き先にしてしまおうかと思うぐらい、この時期のこのエリアは気持ちよかったのである。


日本の僻地といえるこの場所は、やはりものすごく過疎が進んでおり、至るところで学校が廃校になっている模様なのである。
そして、その廃校になった学校にはもれなく温泉が引かれており、プチ健康ランド化しているのである。
そして、地元のお年寄りがその温泉に入りにきているようである。


しかしながら、今回はとにかく、どの温泉に行ってもほぼ私一人の貸し切りで、気分がいいことこの上なかったのである。
前から目をつけていた西山温泉蓬莱館にも行ってみた。
ここは、いまどきめずらしい男女混浴の温泉である。
同じ泉質ながら、温度差をつけた3つの浴槽があって、お気に入りの温度の浴槽で堪能するわけなのだが、ここも貸し切りであった。


読者のみなさんは、「それは、さぞや残念なこと!」と思われるかもしれまいが、私は混浴の温泉でいい思いをしたためしは一度もない。
いつも、入っているおばあちゃんたちにいろんな意味でいじられ、からかわれ、ろくな思いしたことがないのである。
よって、一人を堪能したのである。


そして、いよいよ目的地。
日本アルプスの道路もこれより先はないという奈良田温泉白根館に着いたのであるが、な、なんと!
休館であった。


ゴールデンウィークを前に、メンテナンスでもしていたのであろうか。
うかつであった。
ここは何度も来ており、いつも営業していたので、休館という発想はまったくなかった。


こんな思いをしてまでやってきたのに、さんざんだったのである。
私は「そこまでしなくてもよい」という宇宙からのメッセージなのであろうか?


やさぐれた私は、その気持ちを癒すべく、さらに3湯ほどの温泉につかり、この日は日帰りにもかかわらず都合7湯ほど入り、いつものようにヘロヘロになって帰ったのであった。


「ふん、いいさっ。また来てやる!」
そう心に誓った南アルプスの奥地での出来事だったのである。


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