3Dアバターによるペルソナ効果を体験した僕は、3D会議室にアバターで参加してもらう講演会を開くことにしました。
担当の方から連絡が来て、3Dイベント会場で打ち合わせをしました。
「こちらの会場にアバターで来てください」
というので、指示されたURLからログインして、アバターをゲームのように操って進んでいくと、そこには、女性のアバターが立っていました。
そのアバターが担当の方でした。
そこで、音声チェックや動画チェックを行いました。
操作画面には、
・うなずく
・手を上げる
・拍手する
・話す
などのアクションボタンがあり、それを押すと、アバターがそれぞれの動作をします。
「これは、イベントに使えるぞ!」
と思いました。
「当日は、よろしくお願いします!」
と挨拶をして、別れました。
いよいよ当日。
3D会場は、100名ほどの席がある大ホールで、前には巨大スクリーンが設置され、スライドがスクリーンに表示されます。
あまりに立派な会場なので、有楽町マリオンでホーキング博士の講演会を聞いたときを思い出しました。
最初の参加者の方が入り口から会場に入ってきたときは、ある種の感動がありました。
「好きなお席にお座りください」
と声をかけると、ややぎこちない動きで、あちこちに移動しながら、ようやく席の1つに座ることができたようでした。
その後、次々と参加者が入ってきて、会場が埋まっていきました。
時間が来たので、アバターを操作して壇上へ行き、
「では、時間が来ましたので、これから始めたいと思います。」
と言うと、会場のアバターが、いっせいに拍手してくれました。
・東大の出題傾向
・難関大の物理を解くときの注意点
・2体問題の解法
・記述式の解答の解き方
などを話し、時折、
「分かりましたか?分かった方はうなづいてください。」
などと、リアクションを求めながら進めていきました。
そこに相手がいて、リアクションがあると、話している側としてもモチベーションが高まるという効果を感じました。
参加者からの質問や感想は、チャットボックスに書き込んでもらい、それにどんどん回答していきました。
リアルの講演会場だったら、スタッフがマイクを持って回らなくてはならないと思いますが、3D講演会なら、それが簡単にすばやくできます。
講演会が終わり、その後は、会場の外のプールサイドで懇親会を行うことにしました。スタッフの方がプールサイドへの出口の上に、大きく矢印で「懇親会の会場はこちら」と表示してくださり、参加者の方たちはアバターを操って外へ出ました。
プールの水の上も歩けてしまったり(笑)、「はじめ人間ギャートルズ」に出てくるようなマンモスの肉のような巨大な骨付き肉がテーブルにおいてあったり、遊び心のあるスタッフの方が会場を作ってくださり、そこで、音声チャットをして講演会の感想を伺いました。
最後は、円陣を組んで、「拍手をする」を使って1本絞め。
「ありがとうございました。」
という言葉がチャットボックスに流れ、一人ひとり、プツンと消えていきました。
3Dアバターを使った講演会を行ったという経験は、今でも心にしっかりと残っています。
大勢のアバターたちを前にして話し始めるときには、ある種の緊張感を感じました。
参加者の方も、他の参加者の方の存在を感じながら、講演会を聞くということができて、臨場感があったのではないかと思います。
このイベントは、教育関係のはじめての事例として取材を受け、東京IT新聞に載りました。(新聞の中の写真は、プールサイドで一本締めをしているところです)
株式会社3Diでも、教育関係の事例として紹介されています。
●-求めたのは"臨場感"と"親近感"- 予備校の名物先生がたどり着いた3Dインターネット講義
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バーチャルでどこまでできるのか、リアルにはないバーチャルのよさ、メリットとは何なのかを、最高の技術を体験することで理解することができました。
その意味で、3Dアバターを使った講演会は、とてもよい経験になりました。
3D会議室を使ったイベントのデメリットは、
・準備に時間がかかってしまうこと
・コストがかかること
・PCやネット環境の影響を受けやすいこと
です。
3番目のデメリットは、今後、改善されてくると思いますので、将来は、あちこちで3Dアバター講演会が開かれるようになるのかもしれませんね。
3Dアバターを使ったイベントで感じた臨場感を、もっとシンプルな装置でも再現できるのか?
そう思った僕が次に取り組んだのは、Ustreamを使ったイベントでした。
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