ピアノにとって湿度の乱高下は大敵 | 太田忠の縦横無尽

ピアノにとって湿度の乱高下は大敵

結局この一週間もまさにローラーコースター(ジェットコースターは和製英語であり、正式にはローラーコースターと言う)のような展開であった。月曜日未明の7500億ユーロにものぼる融資資金の枠組みの発表で、一時は米国市場が前週の急落前の水準を回復したものの、やはり「懸念」は尽きず金曜日の欧米市場は大幅下落で終了した。収拾はおさまらないようで、もう一度パニックの展開なのか?


さて、株式市場が乱高下するのと同様に、この5月中旬の季節はピアノにとって大敵の湿度も乱高下するシーズンである。湿度は年間を通じて45%~55%のボックス圏で収まるようボラティリティを抑えることが重要なのだが、4月までの20%レベルまで落ちる過乾燥がウソのように今や日によっては65%というとんでもないレベルの湿度の高さになる。昨今の株式市場とは比較にならない乱高下だ。こうなると、いくらちゃんとした調律をしていてもピッチが上がり、滲んだような音色がして、しかもウァーンという小さな音の余韻が上下しながら響く状態となる。お風呂の中で歌をうたうのに近くなる感じだ。


私の場合、乾燥時には気化式加湿器、高湿度時には除湿機を使って湿度管理をおこなっている。5月の第1週までは加湿器のみ稼動していたが、第2週からは除湿機も運転を開始。ともに50%の湿度設定で自動運転しているため、このあたりの微妙なゾーンに湿度が落ち着いてくると、加湿器と除湿機が同時に動く。加湿器から出た湿気を除湿機が吸い取るという空気の循環が起こるという、一体何をやっているのやら本末転倒な事態が発生する。しかし、あと1週間はこの珍現象を続けることになりそうだ。第4週になると湿度が50%を超えることが常態化し、いよいよ加湿器とはおさらばである。


さて、ピアノのための加湿器には注意が必要である。加湿器といっても大きく2つのタイプがあり、単に蒸気が出るスチームタイプのものでは全くダメで(一般家庭が使うタイプとしてもお勧めできない。水蒸気は空気に溶け込まずに床が濡れていることもあり、加湿といっても単なる「気休め」にしかならない)、水蒸気が余すところなく空気に溶け込んでいく気化式のものを使わねば(水蒸気は目に見えない)効果がないのである。


太田忠の縦横無尽 2010.5.15

「ピアノにとって湿度の乱高下は大敵」

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