三鷹台の思い出 | 太田忠の縦横無尽

三鷹台の思い出

ものすごい春の嵐だった。天気予報は「大荒れになる」と言い、天気予想図にも見るからに凄そうな大きな低気圧が東シナ海のほうに映っているのを確認しながら昨夜は就寝したのだが、午前3時半頃にビュービューいう風の音と微かに家が揺れるのに気づいて目が覚めた。


風で家が揺れるというのはめったにないことである。朝起きて、2Fのバルコニーを確認したら、ゴールドクレストの鉢植えが2本倒れていた。これはよくあることなので驚かなかったのだが、オリーブの大きな鉢植えも2本倒れていた。オリーブの木は枝葉が比較的スカスカなので倒れないはずだが、さすがにこれにはびっくりした。初めてである。


今、午後1時を回ったところで、外は穏やかに晴れている。さすがにもう大丈夫だと思うが、「21日夕方にかけて、西日本や北日本、東日本で暴風や高波、落雷や竜巻などの激しい突風のおそれあり」というニュースが出たままである。


今日の日曜日は大荒れの一日だろうと事前に予想して、実は昨日、妻を伴ってあまり行ったことのない近場を散歩するという今年第三弾となる場所へ出かけた。昨日出かけたのは井の頭公園(正式名称は井の頭恩賜公園)である。実は社会人になって1年目から2年目にかけて井の頭公園の隣の駅である三鷹台というところあった会社の寮に住んでいたことがある。今から22年ほど前のことである。しかしながら、井の頭公園には当時一度も足を踏み入れたことはなく、その後も一度も行ったことがないので出かけたのだ。


渋谷から井の頭線に乗り、井の頭公園駅を降りて右手に出るとすぐに公園の入り口になっており実に便利だ(そういうことすらあまり知らなかった)。この公園の特徴は、大きな池があり、多くの貸しボートで賑わっていることだ。さながら行楽地の雰囲気である。だが、池の水質は悪く(東京都が浄化作業をおこなっている)、「宴会は10時まで」という垂れ幕があちこちに下がり、露天のような物売りがずらっと並んでおり(登録制のアートマーケッツ)、自転車が無造作に駐輪されていたり、と公園らしいゆったり感の感じられないというのが私の印象である。人出もやたらに多い。


井の頭公園を早々に後にして、そのまま徒歩で吉祥寺へ行く。吉祥寺は東京都内において若者が最も住みたいNo1あり、商業施設が密集している魅力的な場所である。私も三鷹台に住んでいた時には、休日ともなるとよく出かけた。中道通りという小さな雑貨屋などが並ぶ通りを歩き、小腹が空いたので餃子屋に入った。日差しが強く、気温は30度近くあるのではないか、というほど熱く背中がちりちりとしてくる。餃子を食べながらビールを飲もうと思ったのだが、肝心のビールが置いておらず、しごくガッカリする。餃子を売りにしている店は、ビールを飲まれては客の回転率が落ちるため出さないのだと思うが、水を飲みながら餃子を食べて全く味気ない。満足度20%といったところだ。


吉祥寺からの帰り道、22年ぶりに三鷹台駅で下車してみた。駅前近くのOdakyu OXとそば屋はそのままあったので懐かしかった。そして、徒歩5分くらいのところにあるはずの昔の寮を探してみたのだが、よく分からず発見できなかった。当時はメインストリートの道路の脇に比較的空き地が多く、道路からそのままよく見えたのだが、今はびっしりと住宅が立ち並んでいるため、まるで景色が違っていた。景観が移ろいゆくのは仕方がない。残念ながら昔の面影の片鱗を拾うことは出来なかった。


太田忠の縦横無尽 2010.3.21

「三鷹台の思い出」

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