日本のハッピーマンデー制度の損得 | 太田忠の縦横無尽

日本のハッピーマンデー制度の損得

今日は成人の日。昔は成人の日といえば1月15日と決まっていたが、2000年のハッピーマンデー制度の導入から1月の第2月曜日へと変更された。1月15日というのは小正月にあたり、元服の儀がおこなわれていたという日本人にとって厳かな日であったが、ハッピーマンデー制度によって1月15日に成人の日が来ることはなくなってしまった。すなわち、暦の上では1月8日から14日までの間となった。


ハッピーマンデー制度によって、個人的には連休がやたらに増えた印象が強いのだが、改めてきちんと調べてみると4つの国民の祝日が従来の固定された日ではなく、第○月曜日という形で移動し、土・日・月の3連休となっている。

成人の日:1月15日→1月の第2月曜日

海の日:7月20日→7月の第3月曜日

敬老の日:9月15日→9月の第3月曜日

体育の日:10月10日→10月の第2月曜日


日本の国民の祝日は全部で15日あるから、その他の11日は従来どおり固定された日での祝日が継続されている。元日、建国記念の日、憲法記念日、秋分の日などそれぞれ特定の日でなければ祝う意義のないものばかりだ(2007年からスタートした5月4日の「みどりの日」を除く)。「いっそのこと、全部土・日の前後に連続するように祝日を設定すれば、もっと世の中の暮らし方が変わるのではないか」とハッピーマンデー制度が導入された頃、私は単純に考えていたのだが、これらの祝日をやはり勝手に金曜日や月曜日に持ってくることは難しいし、本来の意義を全く失ってしまう。


「日本は祝日が多くて、うらやましい」とかつての会社の同僚だったイギリス人がよく言っていた。イギリスの祝日は日本の約半分の8日しかないのである。「太田さん、明日は休みでしたよね。明日の祝日は何の日ですか?」「文化の日:Culture Dayだよ」と言うと、「Culture Day? なに、それ?」とよく不思議そうに言っていた。イギリス人からみれば「こどもの日」「敬老の日」「体育の日」「文化の日」などは「何で、それが祝日なの?」ということになるらしい。まあ、それはともかく、日本で働くイギリス人たちは概ね母国よりも2倍も多い祝日をエンジョイしているようである。


ところで、月曜日も祝日となったことは喜ばしいのだが、実は海外のマーケットで大きな変化が起こることが多くなったような気がする。日本だけが休んでいる日に大きなイベントが起こって世界のマーケットが急騰したり、急落したりするのだ。そして日本は火曜日にそれを取り戻すべく一気に急激な動きをすることが多くなった。何やらまるであわてて行動する落第生のような気分である。マクロ経済的には、こうした現象が「国力低下」の一要因となっているかもしれない(大げさか?)が、とにかく休んでいる間にあまり良い感じがしないことが起こる回数が増えた気がしてならない。


そういえば、新聞の休刊日に突発的な大ニュースが出ることも度々だ、新聞社は号外を出す努力をしているが、本来ならば「特ダネ」的に詳しい報道をするというメディアにとって絶好の機会が奪われている回数が増えているような気がする。


ハッピーマンデー制度は果たして得なのか、損なのか?


太田忠の縦横無尽 2010.1.11

「日本のハッピーマンデー制度の損得」

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