2009年12月20日(日)

持ち家か賃貸か、一生後悔しないために留意すべきこと

テーマ:経済・社会

住宅ローンが大きな問題になっているという。しかも、「ゆとりローン」と称される旧住宅金融公庫が提供した「ゆとり」という仮面をかぶった「地獄」そのもののスキームのローンで住宅を手放さねばならない家庭およびその予備軍が急増しているらしい。


ゆとりローンがスタートした時、「こりゃ傑作だ。だましの手口そのもののネーミングだ」と思った。「ゆとり」を謳い、将来につけを回した分がある日突然、劇薬のように体を蝕むのである。いつも言うように、国が絡んでくる国民向けのサービスは欠陥を通り越して詐欺まがいのものが多すぎる。


住宅情報雑誌やマネー雑誌が「持ち家か賃貸か」という特集をやる時に、きまってその判断材料に挙げているのが「毎月お金を払っても賃貸ならば自分のものにならないが、持ち家なら自分のものになるので、最終的にはそちらのほうが得だ」という非常に本質から離れた議論である。しかも、わざわざ最終的支払い金額は持ち家と賃貸とでほぼ同じ物件を並べているのだから始末に悪い。なるほど、そういう点を判断根拠にしてしまうから、持ち家を買ってはいけない人々までが無理をしてしまう。


私の場合、ちょうど40歳になった時に初めて持ち家を取得したが、それは自分なりに考えていた持ち家取得の条件をクリアしたためであって、それ以前は持ち家を持とうなどとは全く思わず、ずっと一貫して賃貸派だった。


私が考える「持ち家」取得の条件は次のとおりである。

①頭金は最低でも50%用意しなければならない

②毎月の返済額は、収入の1/4以下に収まる

③住宅ローンの返済期間は最長15年以内である

④住宅ローンは固定金利が半分以上を占める

⑤現在の収入がローンの残存期間は確保できる確固たる

  見通しがあること


これらが守れないとするならば、持ち家取得は非常に危険でありお勧めできない。安易にローンで持ち家を買うことは難しいことがわかるはずだ。


まだ問題がある。「自分のものになる」と思っていてもそれは全くの思い込みであり、ローンを完済するまでは一切自分のものではない、ということを忘れていないだろうか。もし途中で返済できなくなれば、これまで支払った金額はほぼ無意味となり、家は安値で叩き売られ、借金だけが残る。どう考えても賃貸よりも立場が悪すぎる。その点、賃貸は非常にフレキシブルである。毎月の支払いが厳しくなれば、もっと安いところへ引っ越せばよい。設備が故障すれは大家が支払ってくれるし、固定資産税もない。実に安全だ。


ヘタに持ち家を取得すると、取得した途端にたちまち債務超過状態に陥る。例えば4000万円のマンションを取得したとして、販売側のマンションディベロッパーの粗利益率が25%であれば実質価格は3000万円。一方で頭金20%を支払い3200万円でローンを組み、金利2%でボーナス払いなしで35年で均等に返済すると総額は4500万円。買ったとたんに1500万円の債務超過となる。これは別に特殊なケースではない。頭金20%というごく一般的にありふれた場合でもかように危機的状況である。完済しない限りこの状況から抜け出せないし、賃貸のように引っ越すわけにもいかない。


持ち家といっても、固定資産税がかかってくるため、国に対してショバ代としての賃料を支払わねばならない。「これじゃ、持ち家を持っていても毎月家賃を払っているのとかわりないね」というのが我が家の状況である。「自分のもの」「コストがかからない」というのは幻想であると最近になってつくづく思う。結局、持ち家を取得したとしてもそれは厳密には「自分のものではない」と言っておこう。


日本人は過度にマイホームに夢を持つ傾向が強い。マイホームといっても半年も住めば「夢」ではなく「現実」以外の何ものでもない。賃貸でも立派な「マイホーム」と思えば、一生を棒に振ってしまう人々はもっと減ると思う。



太田忠の縦横無尽 2009.12.21

「持ち家か賃貸か、一生後悔しないために留意すべきこと」

         **太田忠投資評価研究所のHPはこちら**


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