2009年10月24日(土)

閣僚の資産公開 ― いつまでザルを続けるのか?

テーマ:経済・社会

国が国民へ向けて発信する数字はまやかしばかり横行するが、全く意味のない数字がまた大々的に発表された。


「鳩山総理の資産は14億4269万円 ― 歴代最高に」


閣僚の資産が昨日公開された。「鳩山総理が突出」「福島瑞穂消費者相は2億5000万円」「閣僚平均1億4045万円」「閣僚間でも資産格差」「長妻大臣は本人資産ゼロ」などと大いにメディアを賑わせているようだ。


それにしても、ここで公開されている資産は金融資産において普通預金は対象外、株式が含まれない、不動産価格が時価評価されていない、と個人の資産を計算するにあたって最も重要な3点がすっぽりと見事に抜け落ちているので、それらを無視した金額を「資産公開」と称して公にされても実態がまるでわからない。いや、そもそも実態を隠すことを念頭に置いたご都合主義のルールを作り上げて「情報公開してますよ」という姿勢がいまだに立派にまかり通っているのを何とかしてほしいと思う。


鳩山氏の金融資産はブリジストン株だけで55億円もあるそうだ。不動産も時価評価して全資産を算定すれば、あくまで私見だが100億円程度にはなるのではないだろうか。


私は別に嫉妬心から言っているのではなく、重要なものが欠落して表現された資産公開のあり方を非難しているだけである。簡単に計算できるはずの資産公開ですらこんなお粗末なレベルである。国の情報公開の姿勢はいつも「ザル」であり、いつも「核心」が欠落している。要するに国民をいつも意図的に欺いている、ということである。


鳩山氏に対する私の正直な感想は、何代にもわたって大きな仕事をしてきた一族というのはさすがに資産面でも膨大な厚みがあり、しかも散財することなくそれをきちんと管理してきたところは立派だと思う。妙に感心してしまった。こういう人が日本の代表であることは、海外に対してメッセージになるだろう。だが、もし正確な情報開示により「100億円」などという数字が出ると、国内では庶民の「嫉妬心」を逆なでするのでまずい、ということなのだろうか。 


一方で、そもそも真面目に仕事をしてきて大臣までつとめる社会的地位のある人が「資産なし」とはどういうことなのだろうか? 普通預金を金融資産として見なさないからこういうトンチンカンなことが起こる。一定以上の金融資産を持つ人々は、もちろん資産を増やすために株、債券、投信などの金融資産を積極的に購入する人もいるが、その反対に全くそういうものをやらずにほぼ全額「普通預金」という人々が日本人には多いのである。長妻大臣がそうだ、といっているわけではない。「資産なし」というインチキな情報公開は不愉快だ、と言っているだけである。


「鳩山総理は大金持ちだから、一般市民のことなどわからない」と全くバカげた発言をしたニュースキャスターをTVで見たことがあるが、本当にバカバカしい発言である。このロジックだと「貧乏人が政治をやれば、一般市民のための政治になる」とでも言うのであろうか?



太田忠の縦横無尽 2009.10.24

「閣僚の資産公開 ― いつまでザルを続けるのか?」

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