2009年03月24日(火)

「益税」というおかしな制度に直面する

テーマ:経済・社会

「益税」という言葉をご存知だろうか。


消費税を消費者から取っておきながらも、国に納められていない税金のことである。そういう事業者がこの日本には数多く存在しており、しかも国が認めている制度なのである。


年間の売上高が3000万円以下の小規模事業者に関しては納める必要のない税金を自分たちの利益にしているということは昔から知っていた(平成17年にはさすがに1000万円まで下げられた)。小さなお店で買い物する時などいつもこの「益税」のことが頭をよぎり、「ああ、ここは消費税なんか納めていないんだろうなあ」と癪にさわりながらお金を払っていたものだ。事業者が儲かるから「益」という呼び名が当てられているのか(消費者にすれば「損税」「不必要税」である)、まことに摩訶不思議な制度である。


ところが、会社設立にあたって、この益税の選択を私自身が迫られることになろうとは思わなかった。すなわち、現行の消費税法では資本金1000万円未満で会社を設立すると設立後2年間は消費税を払わなくて済むということになっているのだ。999万円で会社を設立すれば、消費税といいながら消費者から受け取ったお金が自分たちの利益になるのである。税理士からは「節税になりますよ」というアドバイスを受けたが、こういうのを果たして節税というのだろうか。この制度自体とんでもなくおかしいのであって、消費税の本来の意義を著しく損なっている。


投資助言・代理業は免許取得時に500万円もの営業保証金を供託せねばならず、1000万円未満で会社を設立しても立ち上げコストや人件費等を考えれば初年度から債務超過になる可能性があるため、結果的に我が社では「益税」を享受する状況をつくることはできなかったが、本当に変な制度である。債務超過といえば、「1円で起業できます」とか「1円で株式会社がつくれます」という会社法改正時によく耳にしたキャッチフレーズは現実からすれば全くバカバカしいとしか言いようがない。1円の資本金で会社を設立すれば、設立当日から債務超過になってしまうではないか。そんなことは一般的には宣伝されていない。だから、起業して「こんなはずじゃなかった」という憂き目を見る軽はずみな人たちが大量に発生した。


益税は、消費に応じて広く税金を徴収するという大義名分であるはずの社会のルールに反している悪法である。こういう抜け道を作るから、会社を新設したように見せかけて消費税の支払いを免れる企業家が出てくる。当たり前だ。逮捕されるほうももちろん悪いが、制度自体の抜け道をなくすべきである。売上高があれば消費税、資本金1円でも消費税、とシンプルにすればいいのである。消費税は所得額の多寡で課税を免れたりしない仕組みだ。支払い側がそうならば、納める側もそうでなければならない。


消費者から消費税を取っていても国に納めなくてもよい、なんて詐欺的な行為を認めてはならない。消費者よ、怒れ。


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