別に前回の続き、というわけではないのですが、香港滞在中にいろいろと考え悩むことがあったので、さらに書き綴ってみます。



邪魔、というのは仏教の言葉らしいですね。



こんなブログやってると皆さんから感謝されることは多いです。


僕はこんなキャラですから、誤ってると思ったことはズバッとぶった切るし、正しいことはとことん追求していきたい。

正義が大好き。

医者としては「何よりも患者さんのため」と思ってやみません。


そんな強い想いがあるからこそ、きっぱりと指摘するんです。



でも、それが必ずしも患者さんにとってハッピーとは限らないのかな?と最近思うようにもなってきました。



抗生剤を安易に処方すべきでない。

間違っても風邪薬感覚では処方すべきでない。


これに関しては僕は誰が何と言おうと曲げるつもりはありません。


無駄に耐性菌を作ることがその子、ひいては将来の人類の存続すら脅かしかねないものだと危惧しているからです。

そしてそれを実際に実践して、少なくとも僕にかかる患者さんたちはその脅威から救われてハッピーだと信じているからです。


言い方はすごく過激で批判覚悟で言うと、僕がやる医療こそ「正義」だと強く信じてます。



そんな僕のブログを読んだり噂を聞いて影響を受けて僕のところに多くの方が来られるようになりました。


そんな方々に僕は当然のように「正義」を説いてきました。

それがその方にとってハッピーであると信じていたからです。



ところが必ずしもそうじゃなかった。


僕に「抗生剤はいらない」「ステロイドは使うな」「ワセリンはもってのほか」と言われた結果、今まで長年信じて受診していたかかりつけ医さんに不信感を持つ方が出始めたのです。


そして今まで信じてついてきたかかりつけ医が実は間違っていたと知り、愕然とするのです。



最初のころはそれでいいと思ってました。


だって正しい医療を受けてくれることこそ正義であり、患者さんにとって最大の幸せだと思っていたから。



でも徐々に考えが変わってきました。


何も知らず抗生剤を毎回出す先生にかかって、当たり前のように日常の医療を受けていて、それでハッピーならそれでいいんじゃないかなと。

僕が横から変な邪魔を入れさえしなければ、その方も医者も何事もない平穏な日々を送っていたのではないかと。


なまじ僕が余計な邪魔をしたばっかりに、患者さんは余計に悩んでしまうんじゃないかと。。。


事実を知らずに平穏にすごすことも「あり」なんじゃないかと。。。



正義を掲げてわき目をふらず突き進んでいた僕のやり方、実は間違っていたのかな。



そもそも、本当に僕の医療は「正義」なのかすらわからなくなってきた。


もしかしたら・・・

抗生剤を毎回出す先生にとって、ワセリンを塗りたくらせる先生にとって、それこそがその先生が強く信ずる「正義」なのかもしれない。


そんな強い芯のある医療を責める権利は、僕にはないんじゃないかと。




最近医療ネタは会員制にしてしまったのは、煩わしいコメントを避けたいからというのが最大の理由ではあるけど、もう一つ大きな理由として安易に変な知識を皆さんにばらまくことは実は皆さんにとって利益とは必ずしもなりえないと思うようになったから、ってのもあります。



それがあなたにとって本当にハッピーであるなら、僕は邪魔はしたくない。