風疹が過去にないくらい大流行しています。


といっても、小児科の当院には風疹の患者はほとんど、というか一人も来ません。

子供はMRワクチンを接種しているので、抗体があるんですね。


かかっているのはほとんどが大人です。

それもちょうど、我々の世代である20~30代です。


何故かというと、我々が子供の頃に風疹のワクチンは今みたいに定期接種ではなく、任意だったので、接種した人は極めて少ないんです。

なので僕らが子供の頃には身近に結構風疹の子供がいたもんです。

かくいう僕も小学生の時にかかりました。


で、それをすり抜けて大人になった世代が、抗体が無いため今になって風疹にかかるのです。


我々よりも上の世代だと、僕らの少年時代以上に、普通に風疹が流行っていたので、40代以上の方はほとんど風疹の既往があるので抗体があります。


問題なのは20~30代の世代です。

この世代はワクチンも接種していなければ、かかっていもいない、つまり抗体を持たない世代なんです。



さて、風疹は「三日はしか」とも呼ばれるように、麻疹をちょっと軽くしたような言われ方をされています。

実際に、発熱・咳・鼻といった風邪症状に発疹がでる程度で、治療法はなく3~5日で完治してしまいます。

まれに脳炎や血小板減少症といった合併症があったりしますが、それほど恐ろしいものではありません。


じゃあ何故こんなに騒がれているのか。


それは皆さんももうご存じでしょうが、胎児への影響です。

妊娠初期に母親が風疹にかかると、胎児に重篤な奇形を起こします。「妊娠風疹症候群」です。

僕も実際に1例経験したことがありますが、もう手の施しようがありません・・・


この不幸な合併症を防ぐためには、母親が風疹の抗体を持つことが一番なのですが、意外に見落とされがちなのが我々男性です。

母親がかからないようにすればいいから男は関係ない、そうではありません!


実際、風疹にかかるのは多くは男性なのです。

女性は妊娠すると必ず病院で風疹の抗体価の検査をするので、自分に抗体があるかどうか知っています。

抗体がなければ、出産後にワクチンを接種しているので、女性は意外に抗体を持っている場合が多いのです。

ところが男性は抗体価を調べる機会がありません。

自分に抗体があるかどうかも知らずに、そのうち風疹にかかってしまう・・・

で、不幸が重なって万が一妊娠中で抗体を持たない女性に接触してしまうと。。。


奥さんに抗体があるから大丈夫!という話でもありません。

風疹は飛沫感染します。

社会生活を送る以上、不特定多数の女性と例えば電車などで接触するわけで、中には抗体を持たない妊娠初期の女性がいるかもしれません。

風疹は生ワクチンなので、妊娠してから抗体が無い事が判明してもワクチン接種ができないのです。

抗体を持たない妊婦さんは、ただ感染しないよう祈るしかないのです。

そんな女性に不幸な思いをさせないためにも、自分に風疹の抗体価があるかどうかを知っておくこと、そして抗体がなければワクチン接種をしておくことは男のたしなみ・エチケットと知りましょう。

ただの風邪だと思って普通に出勤していたら実は風疹で、周囲にまき散らしていた・・・となれば大問題です。



このブログの読者さんはママが多いのですが、是非旦那さんに抗体価の検査とワクチン接種を勧めてください!

あなたは大丈夫かもしれませんが、いつ旦那さんが他人の妊婦さんを感染させてしまうかもしれません。


繰り返しますが男のたしなみです!!


当院でも抗体価の検査とワクチン接種は行っております。

ママパパも対応いたしますので、是非この機会にご利用ください。