消費税増税の見送り。あってもなくても。 | Tempo rubato

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アニメーター・演出家 平松禎史のブログ

President online : 財務省主導「消費税10%引き上げ」玉虫色決着シナリオの成算
「首相官邸の首相執務室には「歴代首相で初めて」(自民党ベテラン衆院議員)という、内閣支持率のグラフと日経平均株価のグラフが一目で分かるようになっている。
第2次安倍内閣が「株価と支持率に支えられているだけの“砂上の楼閣内閣”」(自民党中堅衆院議員)と揶揄される一因である。」


国民の豊かさを支える実質賃金のグラフを貼り出して下さいよ。

この記事は政局面に焦点を当てて書かれていますが、当たってると思うところがあるだけに最後まで読んでムカムカしてしまった。
こういう記事もあって良いと思うが、政策の正否について検証してくれよ!と。

消費税増税の判断
山本幸三議員が増税の延期に転向し与党内でも延期の声が大きくなっているようです。
山本議員の延期要請は「リフレ政策の失敗」と「消費税増税の失敗」が明らかになるのが嫌なのではないか?と邪推してしまうけどそんなとこでしょう。
それにともなっていろいろと推測が出てきてます。

・景気動向から増税は出来そうにないので、近い将来上げると(国民でなく国際社会へ)確約した上で1~1.5年見送り?。これがリンクした記事の推測。

その記事の後日、菅官房長官は「速報値を見て判断する」と会見で答えていた。

・ここんとこ速報値より確定値の方が悪い結果が出ているので速報値で判断してしまうつもりでは?。この場合は「上げる」という推測。(これまでのデータ見てて上げたらバカだと思うが…)

・青山繁晴氏の、発表時期からして今会期末の解散への伏線ではないか?「見送り」で国民を安心させた上でサプライズ選挙に持ち込む、との推測。

加えて、スキャンダルで2閣僚を交代させたダメージがあるので12月に増税を発表できないだろう、と。…情けなさすぎる。

上げる・上げない、両方の予想だけど
・『財政均衡』『緊縮財政』の新古典派経済学路線
・『グローバル化は善』の新自由主義路線
・アメリカの意向に従う傾向

これは現政権の経済政策の基本になっている思想。
上の三点(実は一点)の基本思想を批判して対案を提起している野党は、存在しない。

仮に増税を見送ったとしても
増税で支持率が落ちて来年以降の選挙に不利になるだの、閣僚交代で信用に傷がついてるからやり難いだの、不誠実な理由ばかり。

消費税増税は失敗だったと認められないということは、政策の基本思想を見直す気がないのだ。
ということは、この政権の視野から日本国民が消えている、と言えなくはないか。

三橋貴明氏が何年も前から繰り返している「誰かの消費や投資が他の誰かの所得になる」という経済循環の基本が滞って縮小していくのがデフレ不況。
この循環を再生しないとデフレスパイラルで国民はどんどん貧しくなって国家は衰退し文化は継承できなくなり、国内の諸問題を自力で解決できない発展途上国になっていく。
デフレから脱却するには政府が率先してお金を刷って借りて使う必要がある。
現状は「刷って」まででその先がほとんど無い。

「借りて使う」を阻害するのが『財政均衡』『緊縮財政』で、現政権に限らずここ十数年、思考停止状態なのです。

…ならばと暴論的仮説を

グローバリズムを信奉し国民より国際社会に従う政権が憲法改正などした日には戦後レジーム固定化どころか被占領中の日本を取り戻しかねない。
健全財政(『財政均衡』『緊縮財政』)を条文に書き込むのは確実でしょう。たしか自民党の憲法草案にありましたよね。(提案段階だっけ?)
*ここまでは現実的なので暴論とはいえません。

改悪に決断力のある政権には下りて頂く。

で、決断力のない3党4党の連立政権を立てる。衆参はねじれさす。
グダグダと増税や原発再稼働、憲法改正みたいな意見の割れる重要法案は決められず、首相は一年足らずでコロコロ変わって国力は衰退し諸外国から相手にされなくなる。
そんな政権のほうが、民間が工夫して活力を生み出し貧しくとも心豊かな(?)、アメリカかチャイナに属す発展途上「地域」として安定する可能性はある。その方が良いと考える国民は一定程度いるでしょう。

で、そんなんじゃダメだと心底絶望した若者たちが必死に勉強して政治家や官僚になり、多くの国民も目先や感情で判断すると大変なことになると心底思い知って勉強し、それでようやく独立できるんじゃなかろうか。100年後くらいに。

保守っぽく考えるなら、将来の若者たちのためにもっと絶望を。
そのためには一刻も早く安倍政権打倒!

ちなみに仮説を成立させるには『財政均衡』『緊縮財政』『グローバル化は善』を正当化する経済学並みの前提条件を付ける必要がある。
つまり
来年から100年後までに致命的な自然災害が絶対来ず近隣国の兵隊さんが上陸したりミサイルが飛んでくることが絶対なくて今ある日本文化や日本語や主権が維持される、という前提。

こんな仮説はあり得ない。
前提に無理がありすぎるのです。


あり得ないことを、あると信じこんで経済政策を進めている安倍政権が、消費税増税時期を少々延ばしても、悪い状態が延びるだけで良くはならんでしょう。

今のまま安倍政権の長期政権化を支持する理由が見つからない。


せめて、8%への増税が失敗だったと認めて欲しい。
その上でどうすれば良いか考え直して頂きたい。
都合の良い前提条件を捨ててね。

それができればボクも謹んで見直しましょう。

(いろいろ書いたけど、延期しないよりは延期した方がず~~~っとマシ。)