Tempo rubato

アニメーター・演出家 平松禎史のブログ

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高島俊男さんの本。その2です。

 

と言いつつ、本から離れた話題。

 

先日、民進党代表の蓮舫氏がテレビで家族を紹介している場面がネットで話題になっているのを見ました。
ニュースサイトが記事にしていたんですが、その記事は頭から批判的な論調で書かれていたので(今日時点でもそういう批判が多い)、そうなると本当だろうかと疑問がわきます。批判であれ賞賛であれ傾きの目立つ文章には疑問がわくのです。


(内緒ですが)YouTubeに動画上がっていたので、見てみました。
文字数が増えるので詳細は避けますが、この番組を見て蓮舫氏の考え方には賛同できるところがほとんどないと改めて確認できたのと同時に、ある種の好感を得ました。

 

番組に顔を出して登場しているお子さんや、(虐げられているのでは?と番組で心配されていた)旦那さんの様子を見ると、その教育姿勢や接し方の流儀に対する個人的見解は横におくとして、幸福そうな家族に見えたからです。(ボクの主観です)
推測ですが、お子さんや旦那さんは、蓮舫氏が旦那を立てるような日本的女性像の殻を破りたいとかありきたりな家庭人だと思われたくない、ムダを嫌う、あいまいでなくハッキリキッパリものを言うことなど、「がんばり」を受け入れているのだろうなぁと思えたからです。

 

蓮舫氏が二重国籍だった件で経済評論家の三橋貴明さんはご自身が若い頃の風潮と重ねて「国籍とかカッコ悪いと思ってたのでは?」と推察していましたが、そういうことなんだろうと確認できた次第。


蓮舫氏の「がんばり」が弱さを隠すために無理をしているように見えたのはボクがぼんやり生きているからでしょうかね。

 

つまり、カッコ良く振る舞おうとがんばる蓮舫氏の弱さを家族が理解して包んでいる(と思しき)様子が微笑ましかったのが好感の理由です。

番組の演出は反感を持たれるようにかつおもしろおかしく茶化されていた印象を持ちました。ネットでの反応はその演出に乗ったものだと思います。

 


高島俊男さんの『お言葉ですが…』の文脈で、これはいただけない、と思った場面がありました。
蓮舫氏が母上を下の名前で呼んでいたのです。しかもあだ名で。
旦那さんは姓で呼んでいるようです。
留学している娘さん(双子の息子さんも留学中)は母である蓮舫氏に「彼女は」と言っていた。「she is…」ですね。
このあたりの感覚はいかにもグローバル世代って感じでした。

 

「彼・彼女」について柳父章さんの『翻訳語成立事情』にこうあります。

 

『蘭学者、藤林普山の「和蘭語法解(おらんだごほうげ)」(1825年、文化一二年)には、

 

Zij is zeer schoon.  彼女は 甚(はなはだ) 美ナリ

 

のように訳されている。もっとも、ここで「彼女」は「カノオンナ」と読んでいた、とかんがえられる。』

 

その「彼(カ)」とはどういう意味でしょう。

もとは人を指して言うだけでなく、物を指して言うこともあったそうです。

「彼の国」は「かれのくに」ではなく「かのくに」と読んで遠い国、土地、場所のことを指しますよね。「彼方(かなた)」も遠いところ。人ではない。

後にこんな説明があります。

 

『ところで「彼」は、日本語のコ・ソ・ア代名詞、コレ、ソレ、アレ、のなかのアレと同じように使われていた。それは、たとえば、コナタ、ソナタ、アナタの場合に、カナタが、アナタと同じように使われるのと共通である。コ・ソ・アは、近称、中称、遠称と言われ、コレ、コチラなどは発言者の近く、ないしその勢力範囲にあるもの、ソレ、ソチラなどは、聞き手の近く、ないしその勢力範囲にあるもの、アレ、アチラなどは発言者と聞き手の両方の勢力範囲から外にあるものを指す。

つまり、「彼」は元来、発言者と聴き手から外の、遠くのものを指すのである。

(中略)「彼」は、コレやソレよりも縁の遠いものである。意味が薄くなる。価値が低い。』

 

「彼女」は、中国の文字「彼」を翻訳語として借りたあと日本人が作ったことばだそうで、「かのおんな」と読むので、意味合いは「彼」と同じく「縁の遠い場所にいる女」という意味になる。

 

蓮舫氏の娘さんがそんな意味で使っていたはずはない、英語的なニュアンスで言っていたにすぎないのでしょう。

しかし、日本語の「彼、彼女」は、英語の「he,she」とは必ずしも一致しない。これは現在の使われ方にものこっています。

特に若い人が使う「彼」「彼女」は、距離があること、距離を置いて言うことに価値を見出していますよね。

単に名前をいうよりも、「彼」「彼女」と言ったほうが具体性がなくなって謎めいた感じ、魅力的な感じを帯びるものです。

 

ボクも、「彼」「彼女」にはそんなイメージを持っていたので、娘さんが母親を指して「彼女」といった時にはギクッとしたのです。

そんな遠い関係に見えなかったので。

でもね、きっと、そうやって「独立した個人のわたしたち」ってのがカッコイイと、思ってるのかもしれませんね。

 


蓮舫氏は、子供のための食事など以外、家事は自分でやらないとも言っていました。

効率的じゃないから他の人にやってもらえば良い、と。
家事や介護も他所の人、外国人労働者とかにお任せするんでしょうか。

 

あくまで番組を見た感じなので、実際の蓮舫家がどんなかはわかりませんが、なにか人と人の距離感がひと味違う家庭だなぁ、なんて思いました。

 

 

 

それはさておき

 

人々を分離した個人に見立てて理論立てる経済学から導かれるグローバリゼーション、英語化、効率化、外国人受入れ拡大を推し進める安倍首相におかれましては、蓮舫家は極めて模範的な家族なんじゃないでしょうか。

 

 


 


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