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アニメーター・演出家 平松禎史のブログ

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第三次安倍内閣に復興大臣兼福島原発事故再生総括担当で入閣した今村雅弘議員は、自民党二階派のパーティでの失言で即日辞任となった。

 

今村復興相辞任へ 政権「ゆるみ」深刻 首相、擁護で傷口広げ

https://mainichi.jp/articles/20170426/ddm/003/010/163000c

 

被災地復興に関して記者との感情的なやり取りを批判されてから二十一日後のこと。

何が悪かったのか、まったくわかっていなかった、ということだろう。

 

この人に政治家を辞めろなど雑言を叩きつけても意味はないので、改めて福島原子力災害とその復興に関する問題について書いてみたい。

 

 

そもそもで言えば、福島原子力災害の「レベル7」を改めないことが復興の阻害要因だと思う。

このレベルを決めた放射性物質のデータは実測値を元にしたものではなくシミュレーションで得られた結果で、専門家は疑義を呈していたという。(青山繁晴氏談)

 

発災直後のシミュレーションが事実と一致しないのは仕方がないが、実測データが得られた後まで認識を変えないのは誤りだと思う。

 

早野龍五教授など、発災後から黙々と被災者の外部・内部被曝データや健康被害状況を調査した結論は、放射性物質による直接の健康被害が今後起こる可能性はほぼ無いことを示していた。

 

科学者がいま、福島の若い世代に伝えたいこと 「福島に生まれたことを後悔する必要はどこにもない」(2017年1月9日)

https://www.buzzfeed.com/satoruishido/hayano-san-01?utm_term=.uy9BlYYvld#.bpmKLnn4Lr

 

 

2015年に発表されたIAEAの調査報告は以下の通り。

 

福島第一現職発電所事故・事務局報告書 [IAEA 国際原子力機関]

http://www-pub.iaea.org/MTCD/Publications/PDF/SupplementaryMaterials/P1710/Languages/Japanese.pdf

作業者又は公衆の構成員の間で、事故に起因し得ると考えられる放射線による早期健康影響 は観察されなかった。 

遅発性放射線健康影響の潜伏期間は数十年に及ぶ場合があり、このため被ばくから数年後の 観察によって、被ばく集団にそうした影響が発生する可能性を無視することはできない。しか し、公衆の構成員の間で報告された低い線量レベルに鑑み、本報告書の結論は、原子放射線の 影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の国連総会に対する報告の結論と一致している。 UNSCEAR は「被ばくした公衆の構成員とその子孫の間で、放射線関連の健康影響の発生率に ついて識別可能な上昇は予測されない」と確認した』(p120)

 

また

 

最も重要な健康影響は、地震、津波及び原子力事故の甚大な影響と電離放射線被ばくリス クに対する恐怖や屈辱感によって影響を受けた精神的及び社会的福利厚生である」[148]と推定 した。』(p121)

 

とある。

 

*[148]:UNITED NATIONS, Sources, Effects and Risks of Ionizing Radiation (Report to the General Assembly), UNSCEAR 2013 Report, Vol. I, Scientific Annex A: Levels and Effects of Radiation Exposure Due to the Nuclear Accident after the 2011 Great East-Japan Earthquake and Tsunami, Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation (UNSCEAR), UN, New York (2014).

国連、放射線、電離放射線の発生源、影響およびリスク(総会報告)
UNSCEAR 2013 報告、Vol. I  科学附属書 A:放射線被ばくのレベルと影響
2011年東日本大震災津波後の原子力発電所事故、科学委員会
放射線の影響(国連科学委員会、2014)。

 

「精神的及び社会的福利厚生」の被害。

原子力災害による関連死は出た。関連被害は今も出ている。

これは政治的人災だ。

福島で生活して子供を育てられる、と聞いても「そんなはずはない!」と思ってしまうこと。それが最も深刻な原発事故の被害だろう。

 

自民党は菅政権の災害対応を批判していたが、こういった国内外の報告を受けてもなお、パニック状態にあった事故直後の評価を改めていない。

現在、原発周辺の帰宅困難区域は徐々に解除されてはいるものの、放射線よりも深刻な心理的な被害を軽減する努力を怠り、地元で生活できる自信を持たせられないのは行政府の責任と言わざるを得ない。

 

基本的認識を改めず説明もしないのでは、再稼働を進めることに反発が生じるのは無理もないと思う。

 

民主党から自民党へ政権が変わったからと言って、できることをやっていないのは同じだ。

 

デフレ不況固定化の行き詰まりがこころを荒ませる

被災地の復興は、ただ帰宅できるだけでは不十分で、地元で代々継承してきた家業を再開できることが望ましい。

新しい仕事を見つける、起業して再スタートする、福島県だけでなく日本全体が経済成長していなければ地続きの我々が福島など被災地の人々を支えることはできず、復興が進んでいるとは言えまい。

復興は福島や災害被災地だけの問題ではないのです。

 

政府が国民に投資しない、緊縮財政でデフレ不況を継続させている安倍首相の責任は重い。

 

この数日前に「学芸員はがん、一掃しないと」と発言して批判を浴びた山本幸三議員は安倍首相に消費税増税を促し構造改革を推進してデフレを固定化させた張本人だが、人の営みの不確実性を無視する「経済学」を信奉するこのような人物を地方創生相につけた安倍首相の責任は重い。

 

 

考えてみれば、安倍政権が自ら行っているデフレ固定化政策に行き詰まり、国民の不満に暴言を吐き返して閣僚が批判され辞任に追い込まれるのは自業自得だ。

国民のこころ荒ませている安倍首相の責任は重い。

 

寄り添う意識の差…誰と寄り添っている?

ところが、安倍政権を応援している(としか思えない)産経新聞の書きようはこうだ。

 

「決して許せない」安倍晋三首相、怒り心頭 早期決着も問われる任命責任

http://www.sankei.com/politics/news/170426/plt1704260009-n1.html

 

安倍首相の任命責任に触れているところはけっこうだが、端々に安倍首相を被害者のように思う意識が表れている。

記者は安倍首相に対し、愚かな手下に苦しめられているかわいそうな親分…といった感情をお持ちなのでは?と疑わざるをえない。

任命責任に波及させてはいけないと、首相に寄り添っているように思える。

 

今村議員の地元佐賀県の新聞は4日の記者会見について論説でこう書いている。

 

今村復興相会見 「質問」は記者の責務(佐賀新聞)

http://www.saga-s.co.jp/column/ronsetsu/424098

『最近、よく「寄り添う」という言葉を耳にする。報道機関にとって寄り添う作業のひとつは聞く機会の限られた当事者に代わって、「聞くべきことを聞き」、「伝えるべきことを伝える」ことだろう。』

 

昭和天皇のお言葉を引き合いに出して寄り添う意識の差を明確にしている。

 

 

「寄り添う」…まさに今村議員もこう言っていた。

 

今村復興相、なぜ「ブチ切れ」たのか 記者とのやりとり一部始終

https://www.j-cast.com/2017/04/05294903.html?p=all

『国としてできるだけのことはやったつもりでありますし、まだまだ足りないということがあれば、今言ったように、福島県なり一番身近な寄り添う人を中心にして、そして国が支援をする、という仕組みで、これはやっていきます』

 

政府としては、国が中心になって支援する時期は終わった、後は地元でなんとかしてくれ、ということか。

「寄り添う」のは国…政府ではないように読めるが、あなた方も国民じゃないのか。

これでは記者が疑問に思うのも無理もない。

被災地の個別な問題点を例示して政府のやる気を問いただしたくなったのは今村議員(政府)の姿勢に疑問をおぼえたからだろう。

 

べつに復興担当相ひとり、安倍首相ひとりになんとかしろと言う気はない。

安倍首相をリーダーとする政府も与野党含め国会もチームワークなはずだし、国民全体が取り組まないといけないことでしょう。

 

安倍首相の責任は、デフレを固定化し、国民が被災地を支えたくても身の回りの心配で精一杯な状況を作り出していることにある。

実質消費が下がり続けている(国民が買い物を減らしている)状況で、どうやって福島や東北、熊本などなど打撃を受けた地方を支えられるのか。

ボランティアなどで積極的に支えたい人だけでは無理だし、そういう人々だって生活がある。

強く意識しないとしても国民全体の生活が被災地の役に立つ状況(経済成長している状況)を作り出さなければ無理が生じてどこかに歪みが出る。

 

今回のことも、その歪みのひとつだろう。

 

政府が国民に投資しない、緊縮財政でデフレ不況を継続させている安倍政権の責任は重い。

 

自国通貨を持ち、金融財政の主権を持ち、対外純資産を世界一持ち、生産性の高いまじめな国民を持ち、政府が適切に財政拡大を行えば成長できる力を持つのが日本だ。

しかし、安倍政権は一向に投資を増やさず環境を作ろうとしない。

 

やればできることをやろうとしない。

 

デフレを脱却しなければ、あちらを立てればこちらが倒れる、そんな悪循環が続く。

 

 

 

…こんな問題に絡められるのは不快でしょうが、つい先日のフィギュアスケート国別対抗戦で日本を優勝に導いたひとり、羽生結弦選手のことばを引用します。

2014年ソチオリンピック後の会見。宮城県出身、当時19歳。

 

羽生「金メダルのここからこそがスタート」

https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201402150002-spnavi

『僕自身が津波のことや地震のことを言っていいか分からないです。実際こうやって金メダリストになりましたが、僕1人が頑張ったからといって復興に直接つながるわけではないので、すごい無力感というか、そういうのを感じますし、何もできていないんだなと思います。一生懸命やって五輪で金メダルを取れたのはありますけど、やはりここからまた五輪の金メダリストという人になれたからこそ、スタートなんじゃないかなと思います。ここから復興にできることがあるんじゃないかなと僕は今思っています』

 

…自分がひとり頑張ったとして何かができるわけじゃない、しかし、できることをやり続ければ可能性を周囲に広げられるかもしれない。

羽生選手のことばを読んでボクはそんな風に思った。

 

あまりにも遠くかけ離れた意識の差だ。

 

今村議員は記者とのやり取りで「自分が」という意識を露呈したのではないか。

「自分が」思ったことを優先したから「まだ東北だったからよかった」と言ってしまったのではないか。

国民の付託を受けた政治家として失格だと思う。

 

 

安倍首相も国民のひとりだ。

 

あなたはできることをやっていると本当に言えるのか。

 

 

 

 


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