ここしばらく読書から遠ざかってしまいました。

10年前くらいに Pet Shop Boys というイギリスのアーティストに入れあげて以来久々に、ミーハー的感覚が舞い戻り、あるお笑い芸人さんの動画を日夜サーチする YouTube&ニコニコ動画 な日々で、眼精疲労が激しく文字を追う気力がないのでありました。

いけませんねえ。


数週間前に読み終えていたのですが、こちら。


taberna mii


「予兆の島」 ロレンス・ダレル著 工作舎

この本は、「百年の木下で」プロジェクトのLesvosoliveさんからの紹介で知ったのですが、ギリシャの文化や遺産のみならず、その気質や民族性について知りたい方には必読の一冊です。

この本の詳細・読みどころについてはLesvosoliveさんのブログ にその詳細が述べられていますので、ぜひそちらを参照してください。


私的にこの本に関してピックアップしたいのは、巻末にちょこっとつけたしてあるエドワード・リアに関する部分。

E・リアといえば、根強いファンも実はかなりいる詩人・挿絵家ですが、私も幼少の頃からその強烈な個性にノックアウトされていた一人です。

日本でも有名なのは、「ナンセンスの絵本」


taberna mii

ですが、全く持ってこの人の作風にギリシャ的な要素をかんじたことがなかったので、実はこよなくギリシャを愛していた文化人の一人だったのだと今回「予兆の島」で知って、とても感じるところがあったのでした。


私も一応絵を書くことを本業とうたい、かつこうしてギリシャに関心を寄せる者としてブログをやっているわけですが、そのギリシャと私の創作 との間には全くといってよいほど共通性がありません。

あの突き抜ける青い空と熱波のイメージは、私の創作世界にはほぼありえませんし、ギリシャ的モチベーションでは、私の創作は立ち行きません。

対極のものに惹かれる心理、というヤツなのかもしれませんが、対極にすらあるのかどうか・・・。

なんにしても、E.リアを、勝手に身近に感じてうれしくなってしまった私なのでした。


解説によると、原本の「予兆の島」新装版には、ダレルがリアとの書簡について触れているページが含まれているそうですが、そちらのバージョンを、日本語訳として発行してほしかったなあ、と思います。初版本では、ページの都合でリアについての章は省かれてしまったんだとー。


「予兆の島」経由で、E・リアにもちょっと、目を向けてみてはいかがでしょうか。

ただ、彼の本、短いナンセンスの詩がたっぷりと載っているものだから、一気に読もうとすると疲れます。基本私は詩を読むのが苦手なので、もっぱら挿絵で楽しんでいたくちでしたよ。