アメリカの歯科保険は民間型で、日本のような国民皆保険制度はありません。ですから、アメリカで保険治療を受けたいときは、民間の保険会社と契約する必要があります。この民間の保険料は結構高額なため、保険に入っている人は全体の6割ぐらいです。
 具体例を挙げると、歯の神経を治療する場合、日本では3割負担で1,500~3,000円ですが、アメリカではなんと1本10万円かかり、保険に入っていない人は、10万円全額負担することになります。民間保険に依頼した場合でも、何割負担してもらえるかは、申請してみないとはっきりせず、自己負担額は数万円となります。さらに、神経の治療をした後は、冠をかぶせることになりますが、これもまた10万円ぐらいします。対して、歯を抜くのは6万円ぐらいです。これもまた、日本の3割負担900~1,500円に比べれば、非常に高い治療費ですが、神経を治療して冠をかぶせるまでの1本20万円の治療と、歯を抜く6万円の治療とどちらを選ぶかと言われれば、よほど経済的に余裕のある人以外は、歯を抜くことになってしまいます。それすらできず、ただ我慢しているだけの人も多いです。
 このように、アメリカでは、歯の治療費は非常に高額です。ですから、歯を悪くしたくないという気持ちは、日本人よりも強く、むし歯予防の精神は深く浸透しています。
また、歯並びが悪いと、ビジネスに成功できないという風潮があり、多くの人が歯列矯正をして歯並びを良くしています。