「steps」の一年点検に行って来ました。 | 建築家 田口知子の日常をつづったブログ

「steps」の一年点検に行って来ました。

昨年の8月に竣工した雪谷大塚のコーポラティブハウス「steps」が、竣工引き渡しから、早くも1年が経ち、先週一年点検を行いました。




まずに感じたのは、一年経っても、竣工当初と変わらず、本当に美しく、整然と、クリエイティブに暮らしておられるみなさんの生活です。生活の力とデザインセンスがどのお宅にも満たされていて、幸せな、良い空間だなあとほれぼれしました。



また、1階の住まいには、小さな庭があり、その樹木がどの家も元気に青々と成長していて、小さな庭ながら、住まいに対する影響は大きいと感じます。自分の設計した空間に惚れ直しました。(笑)


さて、コンクリートの打ち放しとモルタルの床、という素材のインテリアで、蓄熱式床暖房は、冬の暖かさがが好評でした。とはいえ、土間床のクラックが目立っていいます。このようなクラックは、コンクリートの素地の床でに埋め込まれた温水床暖房、という組み合わせでは避けられない問題です。


それを汚いものとみるか、素材の味わいと思うかが、このような仕上げを選べるかどうかの施主の条件です。無垢木を張った玄関の扉も西日をあびて伸び縮みし、隙間が発生していますが、それも許容していただかなくてはいけません。



コーポラティブハウスは、そういうリスクを受け入れてもらって作ることが可能である、ということかな、とあらためて思います。

素の素材というのは、そういうヒビや隙間、割れのような変化があっても、年月を経て良い味わいに感じられるように思うのは、自分だけでしょうか?
対照的に、人口的に作られた自然素材風のサイディングやシートなどの新建材は、汚れにくいかもしれませんが、年月が経つとある日突然みすぼらしく感じることがあるように思います。


自分が作ってきた建築は、まだまだエイジングの味わいを実現できるレベルではないですし、さまざまな間違いを犯して反省することばかりですが恥ずかしいのですが、年を重ねるほどに味わい深く、愛着を持てる、そういう建築のあり方を追求し、少しづつでも、近づいていければいいなあと憧れます。