『映画 深夜食堂』

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2015/01/31

2015/07/29

監督・脚本　松岡錠司
原作　安倍夜郎
脚本　真辺克彦、小嶋健作
音楽　鈴木常吉、福原希巳江、日南京佐、スーマー

出演　小林薫、オダギリジョー、不破万作、綾田俊樹、山中崇、
松重豊、光石研、安藤玉恵、須藤理彩、小林麻子、吉本菜穂子、
中山祐一朗、宇野祥平、金子清文、平田薫、篠原ゆき子、
谷村美月、向井理

高岡早紀、柄本時生、多部未華子、余貴美子、渋川清彦、
筒井道隆、菊池亜希子、田中裕子

（あらすじ）

新宿で深夜から早朝にかけて営業しているめしや、
通称「深夜食堂」。

決まったメニューは酒類と豚汁定食だけ、
後は客の要望に沿って出来るものを作るのが
マスター（小林）の営業方針だった。

常連が集まるこの店で骨壷の忘れ物があった。

「ナポリタン」

旦那に死なれた妾・たまこ（高岡）は
自分に遺産が遺されていないと聞いて憤っていた。
年下の会社員・はじめ（柄本）と店で意気投合した彼女は
付き合い始める。
が、自分に遺産が入る事がわかると別れを告げる。
客たちから非難される彼女だったが・・・

「とろろご飯」

飲食店を出すことを夢見て上京したものの
詐欺に遭ってホームレス状態のみちる（多部）が店で無銭飲食をした。
後日、ここで働かせて欲しいとやって来た彼女を
腱鞘炎で苦しんでいたマスターは雇うことにする。
訝しげな目を向ける、マスターの旧友で
新橋の高級料亭の女将・千恵子（余）。
みちるが店に馴染んて来た頃、
彼女を騙した同郷の長谷川（渋川）がやって来て・・・

「カレーライス」

あけみ（菊池）は震災のボランティアで福島に出向いていたが
その時に知り合った被災者の謙三（筒井）が彼女を追って上京して来た。
彼は東京で新たな暮らしを始めるつもりだった。
求婚してくる謙三に困り果てるあけみ。
謙三は震災で最愛の妻を亡くしたが、遺体は未だ見つからないままだった。

マスターは骨壷を一旦は警察に届けたが、
縁を感じて供養をすることにした。

だが中に入っていたのは骨ではなく、砂だった。
自分も亡妻の骨壷に同じことをしたと言う謙三。

あけみは泥酔し、謙三を訪ね、彼を責めた。
その様子を見た謙三は・・・

翌日、店にやって来たあけみは
マスターに自分がボランティアを始めた理由を語る。

（感想）

◎にテレビ版を薦められていたのを思い出して鑑賞。

新宿の街並み、
下手くそだが味わいのあるテーマ曲・・・

思わず見入る。

豚汁を作るオープニングから引き込まれた。
こんにゃくを千切る感触を思い出す。
こんにゃくを千切るの、大好きなのだ(笑)

小林薫、いいな。
あまりいいと思ったことなかったけど。
「いらっしゃい」「あいよ」の言い方が格好良い。

自分もこんな店やりたい。
メニューがとても家庭的なところがいい。
それを丁寧に作るところがまたいいんだな。
凄く美味しそうに思える。

でも・・・内容はそれほどでもない。

「ナポリタン」
あまりに抽象的。
高岡はこういう役、本当に上手い。
「とろろご飯」
ありがちでベタベタ。
余の女優としての力量は発揮されている。
多部は何の役を演じても同じだ・・・
「カレーライス」
まとまっているのか、いないのか、
まとまらない話をやりたかったのか？
筒井の演技が自然なことに感心する。
骨壷のエピも然り。田中裕子の無駄遣い。

レギュラー陣では
オダギリジョーがいい味わい。

このベタさと
全体のうっすら感が良いのかな？なんて思ったが・・・

そんな感想を◎に話したら
おすすめのテレビエピソード
「お茶漬け」「ポテトサラダ」「ソース焼きそば」のＤＶＤを観せてくれた。

それはすべて第１部で、
それ以降は関わっていない及川拓郎監督・脚本のエピソードだった。

文句なく素晴らしかった。
ベタだが悲しくて優しく、
うっすらしてはいるがはっきり「見える」感じがある。
これが本来のこのシリーズの魅力なのだろう。

そうか、映画はボヤけていたんだ・・・と気がついた。

◎は
「シリーズが進むにつれてつまらなくなっていった」と言っていた。

松岡監督はかつて樹木希林に非難されていたが、
確かにいい持ち味を消してしまう人なのかも・・・
彼は生や希望よりも死や諦念を良しとする人のような気がした。
それはこの作品には相応しくない、はず。

だって、生きていこうとしているから、
お客さんたちは食べに来るんだから。

・・・テレビシリーズ、全部観てみようっと。