「カプレーテイとモンテッキ」は、
ロメオ・モンテッキとジュリエッタ・カプレーテイ(ロミオとジュリエット)のお話です。
ロミオとジュリエットと言えば、圧倒的にシェイクスピアのものが有名です。ベッリーニが「カプレーテイとモンテッキ」を作曲した時代に既にシェイクスピア作品は知られていたと思われます。しかし、ベッリーニ/ロマーニ(台本)は、あえて「カプレーテイとモンテッキ」として別の作品を作ったのです。
「ロミオとジュリエット」はシェイクスピアのオリジナル作品ではありません。彼も元にした台本があり、遡ればギリシャ神話にまで行き着きます。
シェイクスピアはこの物語を、若いふたりの“悲恋の物語”として描きましが、しかしベッリーニ/ロマーニが同原作から作った「カプレーテイとモンテッキ」は、“恋物語”ではありません。言わば、反戦のメッセージを込めて、若きロメオの苦悩と、世界に翻弄されるジュリエッタの、その成長をすら描いたように思います。

演出の岩田氏曰く、この作品はベッリーニが作曲した時代の社会情勢が練り込まれたものであると。即ち、フランス革命の後、貴族とブルジョアが対立しながら、イタリア統一運動に進む社会。そこでは圧倒的に若者が、未熟ながらも主張し先導し、数え切れない犠牲を背負いながら巨大なエネルギーに立ち向かっていた。

少なくとも、今回の、ミャゴラトーリの公演では、そのように作ります。

冒頭近くで、ロメオからの和平協定の提案の知らせを受けたカプレーテイ家の当主(ジュリエッタの父)であるカペッリオが言う言葉があります。
「Fu vendicato. Il mio soltanto è inutilo.」
(奴らの恨みは晴れたかも知れないが、俺のはまだだ)
実はこれが、いわゆる戦争の本質なのです。それは近代の世界大戦においてすら、突き詰めればこのような位置関係の中で民衆は犠牲になっていくのだと。

この物語において、従ってカペッリオの位置は重要です。彼一人の“恨み”の為に世界が戦争へと動いていく、この狂気。
今回、それを表現したい思いで、カペッリオを須藤慎吾と大沼徹にお願いしました。これは岩田氏が熱望したキャスティングです。

全てのキャスティングは岩田氏との協議の中でイメージして行っています。これから、別の役についても順次紹介していきたいと思います。



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拘りのミャゴラトーリ公演
「カプレーテイとモンテッキ」
是非、足を運んで頂けたらと思います。


公演詳細

ベッリーニ『カプレーティとモンテッキ』
8月5日、6日
牛込箪笥ホール
全席自由・5000円

指揮・柴田真郁
演出・岩田達宗
ピアノ・星和代

★8月5日(金)19時開演
ロメオ・寺田宗永
ジュリエッタ・高橋絵理
テバルド・布施雅也
カペッリオ・大沼徹
ロレンツォ・大澤恒夫

★6日(土)15時開演
ロメオ・森山京子
ジュリエッタ・平野雅世
テバルド・青柳素晴
カペッリオ・須藤慎吾
ロレンツォ・藪内俊弥

舞台監督・荒牧大道
照明・しもだめぐみ
合唱指導・石塚幹信
稽古ピアノ・神保道子

制作・NPO法人オペラ普及団体ミャゴラトーリ
首藤史織
問い合わせ・shuto@miagolatori.com
070-5553-1742