▽賛成が51%にとどまったのはエルドアン大統領にとって予想外の苦戦といえる。かつて市長を務めたイスタンブールで反対票の方が多かったのが象徴的だ。


▽正統性に疑念がつく形で大統領権限が強まるが、早くも死刑制度復活に言及したように、二分した国民をまとめる雰囲気は乏しい。大統領が強権姿勢を緩めそうになく、トルコ社会の分断は中長期で深まるだろう。


▽今回の結果を受け(強権統治に反発する)欧州連合(EU)との関係が厳しくなることは避けられない。EU加盟はさらに遠のいたといえる。ただエルドアン氏が外交面で従来と姿勢を大きく変えるとは考えにくく、中東情勢への影響は特段ないとみている。


※2017年4月18日(火)の日本経済新聞朝刊に掲載されたものです。



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