アメリカとイランの対立構造とアラブの春(15)
テーマ:イランバーレーン
さて議論をバーレーンに戻そう。バーレーンでの民主化要求の背後にイランの陰謀があるとの見方が流布している。しかし、人権活動家のブライアン・ドゥーリーが『フォーリン・ポリシー』誌の2011年10月8日号で、イランの関与の証拠は示されていないと反論している。イラン陰謀説をまき散らしているのは、対イランで超強硬な論調で知られる『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙や、サウジ資本のアラビア語紙、その他である。
さて前記のドゥーリーは、「赤におびえる真珠広場(RedScareinPearlSquare)」との同誌での論考で、バーレーンの民主化要求が内発的であると論じている。民主化要求が始まって以来の2回の現地調査を踏まえての議論である。タイトルの「赤におびえる」は、冷戦期に何があってもソ連の陰謀ではないかとアメリカが神経質になっていた時代を想起させるフレーズである。かつては世界で何が起こっても共産主義者の影を見ていたアメリカが、今や何を見てもイランの陰謀のせいだとしていると揶や揄ゆしている。真珠広場は、もちろんバーレーンで民主化を要求する人々が占拠した広場の名前である。真珠という地名は、かつてバーレーンがペルシア湾の天然真珠の採取で栄えていた時代があったからである。ちなみにバーレーンの真珠産業は、第二次世界大戦前に日本の養殖真珠との競争によって壊滅的な打撃を受けた。その打撃からバーレーンを救ったのは、1932年のアラブ世界で初めての石油の発見であった。
>>次回 につづく
※『石油・天然ガスレビュー』2012年1月号に掲載されたものです。
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