【講演会のお知らせ】


2月18日(土)午後1時半~3時
「一年後のアラブの春、あるテロリストと独裁者の死」
福井県生活学習館 ユー・アイふくい

4月8日(日)午後2時~3時半
一般公開講演会「緊迫するイラン情勢とアラブの春」
放送大学埼玉学習センター 8F講堂
定員100名(参加無料、申込み順)
>>詳しくはこちら

6月18日(月)午後2時~4時
品川シルバー大学
いきいきコース
講座名:中東・イスラーム世界を読み解く
テーマ:「緊迫するイラン情勢とアラブの春」
会場:品川区立中小企業センター(品川区西品川1-28-3)
レクリエーションホール

8月4日(土)午前10時~正午
千葉県柏市
麗澤大学生涯学習センター
タイトルなど詳細は折衝中


【放送大学の集中面接講義(予定)】


2012年4月21日(土)、22日(日)
秋田学習センター「パレスチナ難民問題」
ノンフィクションライター・国際NGOピースボート元スタッフの高橋真樹氏と共同で担当

2012年5月12日(土)、13日(日)
和歌山学習センター「ペルシア湾とアラビア半島」
前在イエメン専門調査員の川嶋淳司氏と共同で担当

【ラジオ「大学の窓」】


2010年12月17日~O.A.

緊急企画!東アジア情勢 (Windows Media:約15分)


2010年5月6日(木)~O.A.
学びぃTIME:高橋和夫 (Windows Media:約15分)

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2012-02-15 09:53:06

アメリカとイランの対立構造とアラブの春(16)

テーマ:イラン

バーレーン前回 のつづき)


民主化要求の先頭に立っているのは、欧米で教育を受けた層であり、イランとの関係はない。また立ち上がった民衆の間では、イランからの指示と支援を受ければ民主化運動が外国の手先との非難を受けることは、よく理解されている。バーレーン政府もサウジアラビア政府も、あるいはイランの関与を主張するメディアも、その証拠を何ら示していない。もし本当にイランの陰謀がバーレーンのデモの原因であれば、これだけの時間が経過しているのであるから、証拠が出てくるはずである。しかし、上記のように確固たる証拠は何ら示されていない。以上がドゥーリーの議論の要旨である。


付言すれば、伝統的にバーレーンのシーア派はイランの聖地コムではなく、イラクの聖地ナジャフの宗教界の指導に従ってきた。また同じシーア派ではあるが、バーレーンのシーア派の多くはアラブ人としての強い誇りを抱いている。つまりイラン人と同じシーア派としての同胞意識は抱いているが、それ以上に強いアラブ人意識を持っている。


同じアラブ人ではある。しかしバーレーンにおけるスンニー派とシーア派の格差は大きい。シーア派の村とスンニー派の居住地では、外国人の目にも明らかな生活水準の差が見て取れる。そもそも、この島はシーア派の居住地域であり、人々はナツメヤシの栽培や漁業で生計を立ててきた。バーレーンは、正確には大小 40の諸島から成っている。歴史的には、ペルシア人やポルトガル人などの島外からの勢力が支配者としての興亡を繰り返してきた。そして一番最後から二番目に島外から侵入してきた勢力がハリーファ一族である。アラビア半島から遊牧民を率いて侵入し、バーレーンの支配者となった。そして最後に侵入したのはイギリスである。ハリーファ家はイギリスの保護領の時代を経て、今日まで支配者として君臨している。この一族と同盟者はスンニー派である。この歴史がバーレーンの支配構造を規定してきた。そこでは少数派でスンニー派の侵入者が、先住の多数派のシーア派の上に君臨している。日本史風に言えばバーレーンの国家は騎馬民族征服王朝である。


>>次回につづく


※『石油・天然ガスレビュー』2012年1月号に掲載されたものです。


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アメリカとイランの対立構造とアラブの春(15)

テーマ:イラン

バーレーン


さて議論をバーレーンに戻そう。バーレーンでの民主化要求の背後にイランの陰謀があるとの見方が流布している。しかし、人権活動家のブライアン・ドゥーリーが『フォーリン・ポリシー』誌の2011年10月8日号で、イランの関与の証拠は示されていないと反論している。イラン陰謀説をまき散らしているのは、対イランで超強硬な論調で知られる『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙や、サウジ資本のアラビア語紙、その他である。


さて前記のドゥーリーは、「赤におびえる真珠広場(RedScareinPearlSquare)」との同誌での論考で、バーレーンの民主化要求が内発的であると論じている。民主化要求が始まって以来の2回の現地調査を踏まえての議論である。タイトルの「赤におびえる」は、冷戦期に何があってもソ連の陰謀ではないかとアメリカが神経質になっていた時代を想起させるフレーズである。かつては世界で何が起こっても共産主義者の影を見ていたアメリカが、今や何を見てもイランの陰謀のせいだとしていると揶や揄ゆしている。真珠広場は、もちろんバーレーンで民主化を要求する人々が占拠した広場の名前である。真珠という地名は、かつてバーレーンがペルシア湾の天然真珠の採取で栄えていた時代があったからである。ちなみにバーレーンの真珠産業は、第二次世界大戦前に日本の養殖真珠との競争によって壊滅的な打撃を受けた。その打撃からバーレーンを救ったのは、1932年のアラブ世界で初めての石油の発見であった。


>>次回 につづく


※『石油・天然ガスレビュー』2012年1月号に掲載されたものです。


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アメリカとイランの対立構造とアラブの春(14)

テーマ:イラン

撃つか撃たないか


エジプトの政変、トルコの外交の方向転換、いずれもアメリカ陣営を混乱させる流れである。さらに、もう一つの動きはバーレーンでの民主化要求の高まりである。民衆はバーレーンの真珠広場を占拠した。エジプト人がカイロのタフリール広場を革命の拠点としたように、ここをバーレーンの民主化の「グラウンド・ゼロ」にしようとした。しかし、当局の発砲により、民主化運動は鎮圧されてしまった。またサウジアラビアが、同国の東部とバーレーンとをつなぐ橋、コーズウエイを使って軍隊を送り、バーレーンの体制を支える姿勢を明確にした。

議論を進める前に、ここで立ち止まって、各国での政変の過程を整理しておきたい。前提となるのは、長年の圧制と失政、国民の不満である。これに対して、まずツイッターなどを利用した小規模な抗議運動が発生する。それがアルジャジーラなどの衛星放送に報道されると、多くの大衆が参加する大規模な抗議運動となる。この段階に入ると警察による鎮圧が困難になる。ここで政権は軍隊を投入する。軍が発砲を拒否すると、抗議運動は止められなくなる。そして政権は崩壊する。そびえ立っていたチュニジアのベンアリ政権もエジプトのムバラク政権も、あっさりと瓦解した。あたかもピラミッドが突然に崩れたかのようであった。


鍵を握るのは軍の動向である。軍が発砲を拒否したチュニジアとエジプトでは政権が倒れた。しかしリビア、シリア、バーレーンでは、抗議する大衆に対して軍が発砲し、多数の死傷者が出た。リビアは内戦状態となった。そして、その内戦が2011年10月のカダフィの殺害まで続いた。またシリアとバーレーンでは、依然として政権が存続している。エジプトとチュニジアでは、何が軍隊に発砲を拒否させたのだろうか。リビア、シリア、バーレーンでは、何が違ったのだろうか。


一言でいえば国民としての一体感の有無である。あるいは強弱とでも表現した方が適切だろうか。同じチュニジア人なのだから発砲できない。同じエジプト人だから撃てない。そうした感情が兵士に発砲させなかった。しかしリビア、シリア、バーレーンでは、そうした感覚は強くなかった。


小難しい表現を使って言い直すならば、国民統合のレベルが高い国では軍と民衆の一体感が発砲を止めた。リビアの場合には、地域格差や部族意識の強さが指摘される。バーレーンの場合は少数派のスンニー派が、多数派のシーア派の上に君臨する政治体制である。シリアでは、少数派のアラウィー派が支配層で多数派のスンニー派が被支配層を構成している。


>>次回 につづく


※『石油・天然ガスレビュー』2012年1月号に掲載されたものです。


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