【講演会のご案内】


「トランプ新大統領と中東情勢」
日時:3月24日(金) 14:00~14:55(50分程度)
場所:東京文化財研究所 セミナー室
定員:110名
参加費:無料
>>詳細・お申し込みはこちら


6月25日(日)
放送大学徳島学習センター 詳細未定

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2017-02-24 14:22:53

アメリカ政治とパレスチナ問題

テーマ:アメリカ

次期大統領に決まったトランプさんの周辺の反イスラム的な発言が気にかかります。イスラム教徒を全て登録する、とまで言っています。実はアメリカのイスラム教徒の人口に関しては、正確な統計はありません。いろいろな研究所などの統計によると300万人から800万の間と言われます。イスラム教徒が潜在的にテロリストなら、みな登録させようという議論は、第二次大戦中に日系人をみな強制収容所に放り込んだのと同じ発想です。そんなことをやっていいなら、次はユダヤ教徒、次は黒人、次は仏教徒じゃないか、と反対する人たちがたくさんいます。リベラルなユダヤ教徒たちもトランプに反対しています。ぞっとすることを言う人もいるけれども、それに対抗する力も声も聞こえているのが、今のアメリカの救いかなと思います。


今回の大統領選挙を見ていて、アメリカの世論も変わってきたと思います。民主党で最後まで残ったバーニー・サンダースの発言に注目しました。ユダヤ系の方ですが、ヒラリー・クリントンとの公開討論会でのパレスチナ問題に関する質問に対して、「イスラエルにはテロに対して反撃する権利はあるけれど、ガザに対してはやりすぎだろう。あんなに多くの人を殺したり、傷つけたりするのはやりすぎだろう。私だけでなく世界がそう思っている」と答えました。また「敬意と尊厳をもってパレスチナ人を扱わない限り、イスラエルにとっても究極的な和平はありえない」というひどく当たり前のことを言ったんです。こうしたごく当たり前のことを、アメリカの大統領選挙の過程で有力候補者が言うというのは、それまでありませんでした。今回の選挙で最も重要な場面だったと思います。1970年代1980年代アメリカに住んでいた私には感慨深いものがありました。


またサンダースは民主党の選挙綱領に、イスラエルがパレスチナ人の土地を「占領している」という言葉を入れようとしました。クリントン派に最後は押し戻されて、今回は占領という言葉は入りませんでした。それでも、ここまで議論されたというのは大きな事件だったと思っています。


民主党綱領に占領という言葉をいれようとして頑張った一人にキース・エリソンがいます。この人はアフリカ系です。つまり黒人です。そしてアメリカの連邦議会最初のイスラム教徒です。連邦下院議員に当選し就任した際に、三代大統領ジェファーソンの蔵書だったコーランの英訳本に手を置いて宣誓した人です。その選挙区はミネソタ州第5区です。私が2008年にエリソンにインタビューしたときには、これからアメリカは変わるんだ、黒人の大統領が出るかもしれない、仏教徒の大統領だって、イスラム教徒の大統領だってありえるという話をしてくれました。エリソンは、今アメリカでもっとも注目されている政治家の一人です。そのキース・エリソンが民主党の全国委員長に立候補しました。黒人のイスラム教徒がそのポストを狙う、そんな時代が来たということなんです。結果はわからないですけれど、キース・エリソンが勝てるかもしれないという時代がアメリカに来ている。民主党は大きく変わろうとしている。短期でいうと楽観する材料は何も見えないですが、長期でみるとアメリカは変わりつつあると思います。暗い話題が多い中で少し勇気の出るお話をしました。


※『サラ―ム』(パレスチナ子どものキャンペーン、2017年2月18日)に掲載されたものです。



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2017-02-24 13:54:23

講演会のご案内「トランプ新大統領と中東情勢」

テーマ:その他

「トランプ新大統領と中東情勢」


日時:3月24日(金) 14:05~14:55(50分程度)
場所:東京文化財研究所 地階セミナー室
定員:110名
参加費:無料


>>詳細・お申し込みはこちら

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2017-02-06 10:00:44

書評『シリア難民』パトリック・キングズレー著

テーマ:書評

難民になるというのは、どういうことだろうか。難民から多額の金銭を奪い取っている密航業者とは、どのような人々だろうか。密航の取り締まりの実態はどうなっているのだろうか。なぜ密航が止まらないのか。止められないのか。現場の実情は、どうなっているのだろうか。


イギリスの高級紙「ガーディアン」の難民問題の担当記者のパトリック・キングズレーが、欧州に密航しようとするシリア人に密着取材して、こういった疑問に答えている。同時に著者は欧州、中東、北アフリカの各地を取材して、この問題の鳥瞰図を描いている。タイトルは「シリア難民」だが、記述は現在の難民問題の全体像を射程に収めている。深く広い本である。


つまりこの本は、見かけはシリア難民を語る1冊の本のような振りをしているのだが、実は2冊の本である。1冊は、著者が旅程の大半を同行し取材したシリア人のスウェーデン到着までの苦難の記録である。そして、もう1冊が難民のおかれている全般的な状況の叙述である。


それぞれの本の章が交互に出てくるので、読者は一方で難民として旅をしているような気になりながら、他方では、その人物が置かれている状況を俯瞰できる。難民として国境をさまよいながら同時に神のように問題の全貌を見る仕掛けになっている。


それでは、なぜ難民が発生するのか。それは、シリアにしろエリトリアにしろアフガニスタンにしろイラクにしろ、難民の出身国の状況があまりに酷いからだ。


アフリカの砂漠を越える際に道に迷って死ぬ可能性があろうが、地中海で溺れる危険があろうが、人々は欧州を目指し続ける。既に故国で地獄にいるのだから、いかに欧州への道中が悲惨であろうが、壁を作ろうが、何をしようが、難民の流れは止まらない。


難民を押し出す地域の状況の改善が望めないとすると、それでは、どうすれば良いのか。唯一の「現実的」な対応は、一定数の難民を秩序だって受け入れる制度の確立である。


欧州は世界で一番豊かな大陸である。各国で応分に受け入れれば、百万人単位の難民でさえ総人口5億の欧州には、それほどの負担ではない。と著者は主張する。だが、こうした対応が政治的に「現実的」でない点に問題が凝縮されている。


難民問題は他人事ではない。朝鮮半島有事の際には北朝鮮がシリアになる。日本に覚悟と準備はあるのか。


※2017年2月5日に日本経済新聞に掲載された書評です。



シリア難民 人類に突きつけられた21世紀最悪の難問
パトリック・キングズレー
ダイヤモンド社
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