朝日新聞のWEBRONZAに9月10日に掲載された解説です。ただ全文は、朝日新聞との関係上、高橋のブログにはアップできません。


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高橋和夫の国際政治ブログ9月11日に同時多発テロの10周年を迎えるのを前に、ワシントンのピュー研究所がアメリカのムスリム(イスラム教徒)の世論調査の結果を8月30日に公表した。


現在、アメリカ各地でモスクの建設に反対する運動が起こっている。またアメリカのムスリムがテロに関与した事件もあった。ムスリムに対する風当たりが強まっている。当のイスラム教徒は、どのように同国での生活をとらえているのであろうか。調査の重要な結論は、以下の2点である。まずムスリムはアメリカ社会で疎外感を覚えていない。第二に、過激派を支持する者は、ほとんどいない。他の興味深い点を列挙しよう。


アメリカのムスリムの67%は移民であり、37%が同国生まれである。移民の出身地は、41%が中東・北アフリカ、26%が南アジア、11%がブラック・アフリカなどとなっている。ヨーロッパからのムスリム移民の7%というのも目を引く。これはボスニアなどの旧ユーゴスラビアからの移民が主体であろう。


ムスリムの多くは宗教を大切にしており、48%が日に5回の礼拝を欠かさず、47%が毎週モスクに通っている。ちなみにアメリカのキリスト教徒の場合は45%が毎週教会に通っている。


ムスリムの大半が、同時多発テロ以降に空港で引き止められたり、不信の目でみられたり、中傷されるなど不愉快な経験をしている。にもかかわらず、・・・・・続きを読む



市民と社会を生きるために―実践のすすめ
高橋 和夫 坂井 素思
放送大学教育振興会
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