[中東]


たとえば、イランのアザデガン油田の開発の問題である。日本は2000年代の始めに、この油田の開発の権利を確保していた。しかし、イランを孤立化させようとするアメリカの圧力を受けて、その権利を手放さざるを得なかった。そしてアザデガン油田の開発の権利を中国が獲得した。


中国がエネルギーの確保のために、どのくらい真剣になっているのか。あるいは、ならざるを得ないのか。それを傍証する数字を示そう。2900である。これは2009年に中国の炭鉱事故で死亡した労働者の数である。国営の通信社の新華社の報道である。実際には、これよりもはるかに多くの労働者が死亡しているとの見方も広く抱かれている。中国はエネルギーを確保するために、年間で少なくとも2900名の労働者の命を犠牲にしている。それほどエネルギーの確保は中国にとって重要である。


>>次回 につづく


*2013年にラジオ放送を開始する『国際理解のために』という番組の制作とテキストの執筆を始めています。これは、テキストの草稿の一部です。番組は、国際政治などに知識の薄い層を対象としています。森巣博氏の言葉を借りれば「ちゅうさん階級」
つまり中学三年生ていどの知識しかない層です。


なるほどそうだったのか!!パレスチナとイスラエル
高橋 和夫
幻冬舎
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