生活保護費引き下げに対する野党の対応 | 権力とマイノリティ

生活保護費引き下げに対する野党の対応

 ウェッブから捜した野党の対応に関する情報です。
 気になるのは、与党・公明党の動向です。
 障害者自立支援法に対して、民主党が「応益負担廃止法案」を参院に提出しており、他の野党もそれに同調する構えです。ただ、厚労委員会での審議が詰まっているために、まだ審議されていないようです。

 生活保護費の引き下げを、厚労省社会・援護局長の「私的研究会」の決定だけで、国会の審議を行わなくてもすむというのは、どうにも納得がいきません。憲法二十五条生存権に基づいた「生活保護法」に関わる案件なのですから。

●民主党の談話12/05
【生活保護基準の引下げに反対する(談話)】

http://www.dpj.or.jp/news/dpjnews.cgi?indication=dp&num=12329
民主党政調会長 直嶋正行
『次の内閣』ネクスト厚生労働大臣 山田正彦

 厚生労働省の私的研究会「生活扶助基準に関する検討会」は11月30日、10月19日の第1回開催から40日程度の期間に、5人の学識経験者が5回の「検討」をしただけで、生活保護基準の引下げを求める報告書をまとめました。これを受けて、舛添厚生労働大臣は「引下げる方向の数字が出ると思う」と述べたと報道されています。民主党は、現在の政治において最も重要な課題の一つが「格差是正」であり、生活保護の引下げは「格差是正」ではなく「格差拡大」をもたらすと考えます。「生活が第一」「格差是正」の視点から、今回の生活保護基準の引下げに反対の立場を表明します。

 生活保護基準の引下げは、生活保護世帯のみではなく、原油価格高騰・日常生活必需品の値上がりなどで圧迫されている、多くの国民の暮らしに広く影響します。たとえば、地方税の非課税基準、さらにはそれに連動する介護保険料・保育料・障害者自立支援法応益負担・医療費月額上限・就学援助などにかかわる所得基準も引下げられ、負担増となります。また、今国会で成立した改正最低賃金法は「生活保護との整合性に配慮する」ことを明記しましたが、生活保護基準が下がれば、最低賃金も引下げられかねません。

 検討会報告書は、収入が全世帯のうち下から1割の低所得世帯の消費実態の方が生活保護基準よりも低いことを引下げの根拠として指摘しています。しかし、貧困層の増加に合わせて、単純に生活保護基準を引下げることは、「負のスパイラル」による歯止めなき引下げを招きかねません。「格差」と「貧困」について、十分な検討と対策が必要です。このような重大な基準の検討は、当然、多くの国民の意見を十分に聞き、慎重な議論を経なくてはなりません。
 
 民主党は、今回の拙速な生活保護基準の引下げに反対し、非正規及び正規雇用の勤労者世帯の消費支出と被保護勤労者世帯の消費支出の慎重な検討を要求します。制度の厳正な運用は不可欠ですが、拙速な審議による、一律の生活保護基準引下げは決して容認できません。国民各位のご支援をお願いいたします。

●しんぶん赤旗12月11日
悲痛な叫びぶつけた 参院決算委員会 仁比議員質問
「3千円で1週間」のシングルマザー
食パンとマヨネーズだけ 入院した青年…

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-12-11/2007121103_01_0.html
「総理は自助というが、本当にぎりぎりの生活をしている皆さんから、さらに給付を奪い、負担軽減策を奪うものだ」。十日の参院決算委員会で、日本共産党の仁比聡平議員がおこなった渾身(こんしん)の追及。生活保護基準の引き下げ、異常に高い国民健康保険料、さらには全国注視の薬害肝炎の問題で、国民生活の実態と悲痛な叫びを正面からぶつけ、政府の姿勢をただしました。

■生活保護引き下げ膨大な世帯に影響
「生活保護基準以下での暮らしを余儀なくされながら、生活保護を受けていない、受けられない世帯がどれくらいあるか、国は調査したのか」。仁比氏は、こう述べ、低所得者に最低限度の生活を保障する政府の責任を具体的にただしました。しかし舛添要一厚労相は、「生活保護は申請主義なので、どの方が生活保護の必要を感じているかは分からない。数はつかめない」と述べるだけ。

 仁比氏は、「調査すらしていない」と、政府の無策を厳しく批判し、同志社大学の橘木俊詔教授らの調査結果を紹介しました。
 橘木教授らは、生活保護基準以下の生活者のうち、実際に保護を受給している人の割合(捕そく率)は16・3%ないし19・7%にすぎないと推計。「一般世帯に対する安全網として生活保護がほとんど機能していない」と指摘しています。一方、外国では英国が八割、米国が六割ほどの捕そく率です。仁比氏は、「安全網というのなら、これ(英国、米国)くらいの水準は当然だ。政府が調査しようと思えばできる。実態を直視すべきだ」と強調しました。
 さらに仁比氏は、「生活保護水準の引き下げは生活保護を受けている世帯だけの問題ではない。膨大な世帯に、重大な影響を及ぼすことになる」と、パネルを掲げて追及しました。

 生活保護基準は、収入が少ない世帯の負担軽減のさまざまな支援策と連動しています。たとえば、基準が引き下げられれば生活保護法による最低生活費を下回っている場合と規定されている地方税の減免は受けられなくなる危険があります。今国会で成立した最低賃金法の「改正」にも生活保護基準を下回らないことが盛り込まれました。
 「生活保護基準を引き下げれば、所得減と負担増で苦しむ一般世帯の家計を直撃する。その認識はあるか」と仁比氏。ところが、福田康夫首相は「これから激変緩和を考えていかなければならない」などと述べ、生活保護基準の引き下げを前提とした姿勢を示しました。

 仁比氏は、「生活保護水準で暮らしている人々の生活実態をまったくみていない答弁だ」と厳しく批判。とことんまで切り詰めた生活に、「三千円あったら一週間はもつ」と語る三人の子をもつシングルマザー、食パンとマヨネーズで何カ月も過ごし病院に運ばれた心臓病を抱えた青年、「眠ったまま死にたい」と望む高齢者の声を紹介し、「その低所得層にあわせて、生活保護基準を引き下げようというのか」と政府の認識を重ねて追及しました。
 舛添厚労相は「みんな一生懸命働いている。その一番下の人の水準に比べて、生保の水準が高いからどうするか、という議論なんです」などと言い放ち、より貧しい水準にあわせるのが当然だとする姿勢を示しました。

■国保の実態
 仁比氏は「国民の現実をまったく分かっていない」とし、低所得者の生活を極限に追い込む国民健康保険の実態を具体的にただしました。
 仁比氏が示したのは、年所得二百万円以下の低所得世帯を襲う、高すぎる国保料徴収の実例です。

 世帯主六十四歳、配偶者五十五歳、四十歳未満の扶養者一人の三世帯をモデルに試算すると、福岡市の国保料(介護分含む)は年所得の四分の一にあたる四十七万円。同市医師会によれば、このほか、国民年金の掛け金が約三十四万円、住民税が約十一万円、所得税が約四万円、あわせて年額約九十六万円が引かれ、手元に残るのは年所得の半分、わずか百四万円という計算です。
 仁比氏は「耐えがたい負担増を押しつけ、生活保護基準まで引き下げる。こんな生存権保障の施策の後退は許されない」と政府の姿勢を厳しく批判しました。(以下省略)