桶川ストーカー事件 本当に警察に責任はなかったのか? | 権力とマイノリティ

桶川ストーカー事件 本当に警察に責任はなかったのか?

■司法は警察の怠慢を認めなかった
 桶川ストーカー事件訴訟が結審、最高裁が上告を棄却した。損害賠償訴訟は、中傷ビラによる名誉毀損の損害だけを認める地裁・最高裁の判決を支持し、殺害事件については「警察には責任がない」という結論に達した。埼玉県警の捜査が怠慢だったという両親の起こした裁判だが、司法は警察の捜査怠慢を認めなかった。
 桶川ストーカー事件以降に警察対応変化「治安悪化」にエビデンスはない! で、言及したとおり、桶川ストーカー事件以降に、警察への批難が相次ぎ、警察の対応も明らかに変化している。司法はそうしたことに着目していない結論を出した。
 桶川ストーカー事件については、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏が、事件当時かなり突っ込んだ取材をしていたので、この判決についてのコメントが知りたい。
 現在、鳥越氏は創刊したばかりの「オーマイニュース」の編集長をしているため、多忙を極めているようで、まだ、この件に関してのコメントはまだない。ぜひ、鳥越氏の見解を知りたいものだ。

●朝日新聞 08月31日02時43分
【桶川ストーカー事件賠償訴訟、最高裁が上告棄却】
http://www.asahi.com/national/update/0830/TKY200608300285.html?ref=rss
 埼玉県桶川市のJR桶川駅前で99年10月、女子大生猪野詩織さん(当時21)が刺殺された事件は県警の捜査怠慢が原因だとして、両親が県を相手に約1億1千万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第二小法廷(今井功裁判長)は30日、両親と県の上告をいずれも棄却する決定をした。殺害について警察の責任を認めず、中傷ビラによる名誉棄損部分の損害だけを認めた一、二審の県に対する550万円の支払い命令が確定した。
 第二小法廷は、両親の上告理由が実質は事実誤認などをいうにすぎないとして、上告を許される場合にあたらないと判断した。

 殺害事件について両親側は「捜査の怠慢と死亡には因果関係がある」と主張した。しかし東京高裁は05年1月、(1)それまで身体的な加害行為はなかった(2)犯人たちの殺害の準備行為は外部から分からなかった——などの事情を挙げ、「警察署員3人が殺害の危険が切迫していると知ることは困難だった」と判断。一審・さいたま地裁と同様に、警察には責任がないと結論づけた。
 名誉棄損事件については、「99年7月にビラがまかれ、それ以降も同じような行為が行われる危険が切迫した状況が続いていた」と指摘。署員3人はビラを把握し、猪野さんに交際を断られた小松和人容疑者(当時27)=事件後死亡=に警告の意味で接触するべきだったのに怠った違法がある、と一審と同じ判断を示していた。