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 選挙違反事件の違法捜査で思い起こすのは、同じ九州で鹿児島県警察がでっち上げた
志布志事件だ。

 志布志事件では、無風だった県議選に割って入り当選、自民党現職を落選させた中山信一県議陣営が、住民に焼酎や現金を配ったとして、中山本人やその家族と住民らが逮捕されたが・・

 後に、鹿児島県警察のでっち上げだったことが判明、全員の無罪が確定。

無罪判決を受けて公表した再発防止策は、すでに鹿児島県警のサイトから削除されてるそうです。
志布志事件は「過去の話」? 鹿児島県警が無罪判決を受けて公表した再発防止策をサイトから削除


今回の別府署による盗撮事件も、隠しカメラが発見されなければ、第二の志布志事件に発展していたかも知れない。

 NPJ通信より
「志布志事件とは何であったのか──“えん罪” の構図とメディアの功罪を問う
【 志布志事件の特徴と問題点を整理すれば、下記のような点を挙げることが出来る

(1) 警察による、事前に事件全体の構造を描いてそれに見合う供述を引き出していく 「たたき割り」 の手法
(2) 警察による 「踏み字」 の強制や 「切り違い尋問」、密室での取り調べと自白強要 (自白偏重主義の歪み)
(3) 警察による裏情報のリークとメディアを利用した世論誘導 (中山県議逮捕のスクープ映像など)
(4) 捜査当局 (警察・検察) による自白調書や供述調書の捏造 (例えば、見取り図の誘導)
(5) 裁判所による逮捕令状の乱発、長期勾留の決定と勾留時点からの接見禁止決定 (「人質司法」 の典型)
(6) 検察・警察による弁護士と被疑者・被告人との接見内容の調書化 (「接見交通権」 の侵害)
(7) 捜査当局 (警察・検察) の働きかけによる国選弁護人・私選弁護人の解任 (「弁護権」 の侵害)
(8) 自白調書しか証拠を持たない検察による裁判の長期化
(9) 警察による、取調べ中の電話の隠し録り (取調べに関する内部規則への違反) とその隠蔽
(10) 警察内部で、捜査員の異議申し立てに対する恫喝や捜査からの除外・左遷】一部抜粋

 テレ朝ニュースより
署長も了承…警察署が無断で隠しカメラを“設置”

【署長も了承したうえで設置していたことが分かりました。

 大分県の別府警察署が無断で隠しカメラを設置していたのは、先月に投開票された参院選で野党共同候補を支援する団体が入っていた建物です。警察は当初、「ある事件の特定の対象者を調べていて、捜査内容は言えない」と発表していましたが、「選挙違反を取り締まるための捜査だった」と認めました。また、映像にはカメラの動作確認をする刑事事件の統括責任者が映っていました。設置に関して署長も了承していたということです。また、関係者の話では、カメラの取り付けなどを含めて計6回、敷地内に無断で立ち入ったと説明しています。県警は今後、署員の処分を検討しています。】

大分県警、隠しカメラ設置で会見 「管理地の認識あった」

 大分合同新聞より
違法性指摘相次ぐ 別府署隠しカメラ
【 県警によると、カメラを取り付けたのは公示日(6月22日)前の18日深夜。建物を使用する団体の関係者が24日朝に見つけるまで、5日以上、設置され続けたことになる。
 大分大学の青野篤准教授(憲法)は「継続的に漫然と撮影し、捜査の対象者以外も撮影していたとすれば捜査手法として問題」として、憲法13条で認められた肖像権を侵害していると指摘する。「無断撮影は原則違憲であり、犯罪捜査でも認められるのは例外的。捜査ならば認められるという考えは、思考が逆転している」

 熊本大学の内藤大海准教授(刑事訴訟法)も「公道など不特定多数の人から目撃される場所ではなく、特定の建物に立ち入った人物を撮影しており、裁判所の令状が必要なケースと考えられる。令状不要の任意捜査であれば犯罪の現行犯性があったか、カメラ撮影の必要性、撮影方法の相当性が問われる」と述べた。

 建物は参院選で社民党や民進党の候補者の選対事務所が設置され、支持者が出入りをしていた。今回の捜査は選挙の公正さ、投票や思想信条の自由を侵害した可能性もある。

 甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は「公選法違反などの犯罪を疑う合理的理由がなければ、選挙活動を長期間監視することは刑事訴訟法上の捜査に当たらない。合法政党の通常の選挙活動を監視する警察活動は正当性がない。たとえ公共の場所でも、違法な監視活動を目的にカメラ設置のために侵入すれば、住居または建造物侵入罪に当たる」と説明する。

 ジャーナリストの大谷昭宏さんは「建造物侵入や肖像権の侵害を含め、明らかな違法捜査。驚き、あきれた。人権感覚を欠いた原始的な捜査が今でも続いていると分かり、問題の根深さを感じる」と指弾。「聞き込みなどによる情報収集能力、捜査能力の低下が背景にあるのではないか。今後の捜査の在り方を検証するためにも、建物の管理者は大分地検に告訴する一方、民事裁判も起こし法廷で事実関係を明らかにするべきだ」と提言した。

 警察庁刑事企画課は「ビデオカメラを利用した捜査の運用にガイドラインや指針などはない。各都道府県警が判断している」と説明。警察法や国家公安委員会が定める犯罪捜査規範などに基づき、適正な捜査をするよう警察学校や会議などで指導しているという。
 同課は「カメラの利用は、事案の軽重、捜査の必要性、関係者のプライバシーへの配慮など、慎重に判断する必要がある」と指摘。

管理地に侵入した今回のケースは「不適切であることは間違いない」とした上で、今後の指導などについて「大分県警の調査報告を待つ」と述べた】一部抜粋