「日本は独裁政治により無謀な戦争を始め、国民が塗炭の苦しみを味わった」

 <これからの日本では、そういうことは二度と再び起らないと思うかもしれない。しかし・・
今度は、だれもが反対できない民主主義という一番美しい名まえを借りて・・>

 <国民がみんな『目ざめた有権者』になること、そうして、政治を『自分たちの仕事』として、
それをよくするために絶えず努力して行くこと、民主政治を栄えさせる道は、このほかにはない>

 毎日新聞より
特集ワイド:続報真相 安倍さん、強行採決が「民主主義の王道」?
【「民主主義の王道を歩んでいく」。安倍晋三首相は今国会でこう強調する。しかし、自民党の衆院議員からは言論の自由を脅かす発言が飛び出し、「違憲」との反対論が根強い安全保障関連法案の成立に向け、与党は強行採決を構えていると伝えられる。これが果たして「民主主義の王道」なのか?

野党の言い分を聞くのが国会

 安保法案について「丁寧に審議を進める」と安倍首相は繰り返しているが、衆院での議論はもう終盤なのか。自民党の谷垣禎一幹事長が7日の記者会見で「審議時間も相当積み重なっているし、そろそろ出口を探る時期に来ている」と述べたのだ。つまり採決は近いと宣言したのに等しい。毎日新聞の世論調査では「説明不十分」との声が8割を超えているのだが。

 安倍首相は事あるごとに「民主主義」を強調する。ただ、永田町で語られているのは政府・与党が強引に安保法案を成立させるシナリオ。来週にも同特別委で強行採決→衆院本会議で可決し参院に送る、というものだ。これなら「安倍首相が決めると判断した時に、決まる」だろう。でも、これでいいのだろうか。

美名を借りて忍びこむ「独裁」

 取材を進めると、1冊の本と出合った。タイトルはズバリ、「民主主義」。戦後、連合国軍総司令部(GHQ)の要請を受けた文部省(当時)が主に高校生向けに作製した教科書だ。

 ページをめくると、ある箇所にどきりとした。第1章で「日本は独裁政治により無謀な戦争を始め、国民が塗炭の苦しみを味わった」とした後、次のような記述があった。

これからの日本では、そういうことは二度と再び起らないと思うかもしれない。

 しかし、そう言って安心していることはできない。独裁主義は、民主化されたはずの今後の日本にも、
いつ、どこから忍びこんで来るかわからないのである。

 独裁政治を利用しようとする者は、今度はまたやり方を変えて、もっとじょうずになるだろう。

 今度は、だれもが反対できない民主主義という一番美しい名まえを借りて、
こうするのがみんなのためだと言って、人々をあやつろうとするだろう


 どこか予言めいてはいないだろうか

 前出の「民主主義」にはこんな記述もある。<国民がみんな『目ざめた有権者』になること、そうして、政治を『自分たちの仕事』として、それをよくするために絶えず努力して行くこと、民主政治を栄えさせる道は、このほかにはない>

 政治家が民主主義の王道を歩んでいないのならば、国民が声を上げ続けるしかない。】