廃炉で原発マネーと言う麻薬が切れれば、深刻な依存症に罹っている立地自治体は立ち行かない。

 原発マネーと引き換えに過疎地に危険な原発を押し付け、原子力政策を進めてきた国には、
廃炉後も立地自治体が自立できるまで面倒をみる義務がある。

 尤も、立地自治体の人々にも、間違った甘えは捨てていただきたいが・・

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 毎日JPより
社説:廃炉と地域振興 自立助ける制度議論を
【廃炉が不可避とみられる原発を抱える自治体にとって、廃炉後の地域振興をどう進め、自立していくかはとても重たい課題となる。多くの立地自治体は原発マネーに財政や地域経済が依存しているためだ。

 超党派の議員グループが廃炉後の国の支援を法的に裏付ける法案を検討するなど、この難問への議論が動き始めている。「廃炉後」の地域支援の制度化は原発是非の立場を問わず本来、不可欠なはずだ。与野党は具体策の検討を急ぐべきだ。

 原発の立地自治体にはいわゆる電源3法に基づき多額の電源立地地域対策交付金が支給されてきた。公共施設など「ハコ物」整備のみならず福祉サービスの人件費や地域医療などにも幅広くあてられている。毎日新聞の調査では福島、福井両県の6町で2011年度、職員人件費の3割以上が3法交付金で賄われた。

 加えて原発施設による固定資産税、核燃料税などさまざまな財源が立地自治体を支えている。日本原子力発電敦賀原発2号機のような廃炉に直面する原発を抱える自治体にとって、原発マネー頼みのいびつな構造からどう脱却するかが切実な問題となってくる。

 原発政策を見直す立場からこの問題に取り組んだのが超党派議員団「原発ゼロの会」が参院選前にまとめた法案(骨子案)だ。同案によると、廃炉が決定した原発の周辺地域を振興する基本方針を首相が示し、関係道府県が市町村と協議のうえ振興計画をまとめる。この計画に基づく事業を実施するため電源3法にかわる交付金を新設し、税制優遇や職業訓練などの措置も講じる内容だ。

 「ゼロの会」はかつての産炭地域の振興法も参考に検討したという。新規の財政支援には疑問の声もあがるかもしれない。だが、事実上の国策として原発を受け入れた地域の崩壊を防ぐため一定の支援を行うのは国の責務である。

 もちろん、新交付金方式の是非や使途のありかたなど、論点は極めて多岐にわたる。産炭地振興も必ずしも成功したとは言えず、原発が地域経済に組み込まれた実態はそれ以上に深刻だ、という指摘もある。

 原発立地地域には相当期間の「廃炉ビジネス」による雇用創出や送電設備の活用による自然エネルギー開発などの可能性もある。財政支援の枠組みに加え、雇用が維持できる地域の特性に応じた展望を示さなければ住民の不安は収まるまい。

 国や電力会社から立地、周辺地域に投じられた原発マネーの総額は毎日新聞の集計によると最低でも2・5兆円を超す。政治の支援なくして地域の「脱原発依存」は実現しないという認識を共有したい。】