福島原発事故から一年を経過して尚、国際基準では設置が義務付けられている、ベントに伴って大量に放出される放射性物質を低減除去するためのフィルターが、国内の何処の原発にも設置されていない、設置を検討との空手形は切られているが、具体的な設置予定は未定のまま。

 国民を放射能から守る最低限の設備すら設置させず、それでも再稼動へひた走る野田政権は、原発事故で国民を被ばくさせる事より、官僚や財界、原子力ムラからお叱りを受けることの方が怖いらしい。

 東京新聞より
フィルターいまだゼロ 国内全原発 排気筒
【 原発で重大事故が起き、格納容器の圧力を下げる排気(ベント)を迫られた際、放射性物質の排出を最小限に留める為のフィルターが、国内のどの原発でも設置されていないことが、電力事業者への取材で分かった。

 事故時には作業員らの前線基地となる免震施設の放射線対策が進んでいないことも判明。
東京電力福島第一原発事故の教訓が十分生かされていない。 

 福島事故では、炉心が過熱し、格納容器の圧力が設計値の二倍前後まで上昇容器が大破する
最悪の事態が起きないようベントに踏み切った。
排気筒にフィルターが付いていなかったため、大量の放射性物質をまき散らす結果を招いた。

 現地対策本部が置かれた免震重要棟では、窓に放射線を遮る備えがなく、対策室を除いては放射性物質を浄化する設備もなかった。会議室や廊下に寝泊まりした作業員は、放射性物質を吸い込む内部被ばくの危険にもさらされた。

 また、自衛隊の電源車から電気の供給を受けようとしたが、ケーブルを接続するソケットの形状が異なり、
使用されなかった。

 本紙はこうした問題点について、原発を保有する電力事業者に対策の進展度を取材。その結果、四社が
ベントフィルターの設置を決めたものの、事故から一年が過ぎたのに、実際に設置したのは一社もなかった。

 前線基地の放射線対策では、対策室には浄化装置がほぼ完備されているものの、棟全体にまで対応して
いるのは東電だけだった。
 電源ソケットなどの統一化は、「十分に電源車を確保した」などを理由に、消極的な事業者が多かった。】

 福井新聞より (2011年6月11日付)
原発にフィルター設置義務を ベントの放射性物質低減で
【原発の緊急時に原子炉格納容器から蒸気を外部に放出する「ベント」について、経済産業省
原子力安全・保安院が、蒸気から放射性物質を除去するフィルターの設置を義務付ける検討を始めたことが
11日までの保安院への取材で分かった。

 国内の沸騰水型原発ではベント配管にフィルターは付いておらず、東京電力福島第1原発事故では、
放射性物質が広く拡散した。保安院は「深刻な事故を想定していなかったからで、問題だった」と認めた。

 高圧蒸気に耐えるフィルターは大掛かりでコストがかかり、技術的にも難しいが、東電は「必要性を検討する」(松本純一原子力・立地本部長代理)としている。

 ベントは、冷却機能の喪失などで格納容器内の圧力が異常に上昇した際、容器が破損して大量の
放射性物質が漏れるのを避けるため、中の蒸気を排出して圧力を下げる措置。

 東電によると、福島第1原発では蒸気を水に通す「ウエット」とそのまま放出する「ドライ」の
2種類のベントを実施。ウエットベントでは蒸気がいったん圧力抑制プールの水をくぐり、放射性物質が
水に溶けて低減されたとしている。

 しかし、水に溶けない物質や気体には効果が無く、小出裕章京都大原子炉実験所助教は
「除去できるのはごく一部で、あまりに危険な対応。フィルター設置は国際常識だ」と指摘する。】

 北陸電力HPより
「志賀原子力発電所 フィルターベント」に関する北陸中日新聞の報道について
【本日(3月2日)付け北陸中日新聞1面に「志賀原発 ベント対応フィルター 設置せず再稼働も」と掲載されていますが、当社の見解は以下のとおりです。

 当社は、格納容器ベントの際に放出される放射性物質の量を低減できる「フィルターベント」について、
設置する方向で調査・検討を行っているところです。

 現在、当社は志賀原子力発電所の安全強化策を実施しており、放射性物質の放出につながる燃料損傷事故は起こらないものと考えております。

 また、万が一、格納容器内の圧力が上昇した場合、格納容器にあるベント弁から排気筒へ圧力を逃がす
「格納容器ベント」を実施することにしておりますが、サブレッションプールを通過させることにより、大幅に
放射性物質を取り除ける構造となっています。

 なお、志賀原子力発電所の再稼働時期については、決まっておりません。

 当社は、今後も引き続き、志賀原子力発電所の安全性をさらに向上させる対策について、
積極的に取り組んでまいります。】