東京新聞より
【土壌に放射性物質の蓄積が確認されている福島県の水田の一部で、除染をしないまま、土をかき混ぜる
「田起こし」が進められていることが本紙の調査で分かった。

 国などによる除染の実施時期が不透明で、雑草が茂り土地が荒れるのを恐れた農家が行っている。汚染は表土近くに集中し適切に除染すれば安全な農地に戻るが、混ぜると放射性物質が拡散、除去が困難になり
汚染長期化の恐れもある。 

 農林水産省も把握しているが、担当者は「田起こしをして下の土に放射性物質が混じっても根さえ汚染土に
触れないよう深く耕せば、問題ないのではないか」と、静観の構え。ただ、実際にそうした耕作が可能なのか
確認はしていないという。

 十月まで緊急時避難準備区域だった南相馬市原町区で本紙が取材した結果、二割ほどの水田で田起こしが行われていた。同じく準備区域内だった他の四市町村でも、自治体やJAへの取材で、楢葉町を除く田村市と
広野町、川内村で田起こしの事例が確認された。

 これらの地域では福島第一原発事故後、無条件に水田に作付け制限がかかり、荒れ放題の状態だった。
汚染土壌は地表の土を除去するか、表土と作物の根が触れない深部の土を入れ替える「反転耕」で耕作可能となる。しかし、安易に田起こしをすると放射性物質が根が触れる範囲にも拡散。除染が極めて難しくなる。

 厚生労働省は食品による内部被ばくの規制値を従来の五分の一に厳しくする方針。それに伴い現在の
作付け制限値(放射性セシウム濃度が土壌一キログラム当たり五〇〇〇ベクレル)も厳格化の方向で見直しが必要となる可能性が高い。】
 
 福島市でさえ、大甘の暫定規準値を上回る放射能汚染米が出たというのに、福島原発に至近の地域で、
米や農作物を作るなど無謀そのものだろう。

 まして、高度に汚染された表土を混ぜて埋め込めば、付近一帯の地下水に染み込み、二次汚染の懸念も
ある。
 政府や農水省は、例によって、放射能被害をなるべく少なく見積もるために、こんな愚挙に目を瞑っているのだろう。