週刊朝日・談より
【大荒れだった東京電力の株主総会の翌6月29日、「フジ・メディア・ホールディングス」(フジHD)の株主総会が開かれ、東京電力元社長の南直哉監査役(75)の留任が決まった。


 大荒れだった東京電力の株主総会の翌6月29日、「フジ・メディア・ホールディングス」(フジHD)の株主総会が開かれ、東京電力元社長の南直哉監査役(75)の留任が決まった。

「フジHDは日枝久会長の報酬が1億円を超える"役員天国"。監査役の年収も2千万~3千万円は下らないとされています」(関係者)

 フジHDの株主総会では、
「原発を推進して福島第一原発事故の道筋も作った」
 といった批判が飛び出したが、南氏は答弁せず。それどころか、議長の日枝会長に指名された役員が、
「南氏は経営者としての知見、情報力、人脈、どれ一つ取っても、大変、能力が高い。当社に欠くことができない人材だと考えております」
 と答えるだけだった。

 南氏は99年に東電社長に就任。それまでの社長は政治家の接待などを担当する総務部出身者が多かったが、当時、旧通商産業省の改革派官僚が進めようとした電力自由化を潰すため、役人とのパイプが太い企画部出身の南氏が抜擢された。電力擁護派の自民党国会議員と連携して、送発電分離に反対し、先進国に珍しい「電力会社の地域独占体制」を維持するのに"貢献"したのだ。

 南氏が社長を辞任するきっかけになったのが、02年に発覚した東京電力原発トラブル隠し事件だ。

 福島第一、第二原発、柏崎刈羽原発の原子炉を自主点検した際に六つのひび割れがあったのを、「三つ」と記録を改竄。さらに原子炉内に忘れてあったレンチが炉心隔壁の交換時に出てきたのである。そんなことから株主総会では、
 「情報隠しの責任を取って辞めた南氏を監査役にすることは、たとえは悪いが、泥棒を警察官にするようなもの」
 という声も出たほどだ。

 その南氏がフジHDの監査役に就いたのは08年。フジサンケイグループでエネルギー担当記者を務めた、経済ジャーナリストの松沢弘氏はこう指摘する。

「天下りを受け入れる見返りに、東電の莫大な広告費をもらいたい狙いが透けて見えます。役人や政治家や記者に対する便宜供与を、メディアが東電に露骨に行っているとも言えます」

 フジHDといえば、関連会社の産経新聞でも送発電分離への批判や原発再稼働を求める記事が目立つ。これも電力業界の広告費欲しさかと勘繰りたくなるのだが......。】

 東電の責任をまったく叩かない 『吠えない番犬』、中国以下?のマスコミ。
その中でも東電・電力業界寄り?と言われる『フジ・サンケイグループ』が、この時期に東電元社長を迎える、その無神経ぶりが信じられない。