週刊実話より
狙うは廃炉ビジネス拡大 東電勝俣会長弟を重役に迎えた日立の卑しい魂胆 』(2)
東芝/を蹴落とす“腹黒”戦略
 日立製作所/が6月末の株主総会を機に、丸紅勝俣宣夫会長を社外取締役に迎えると発表した。新聞は人事欄で事実関係のみを伝えただけだったが、市場関係者は「日立の魂胆が丸見え。そうまでして東電に擦り寄るのか」と驚きを隠さない。

日立の社外取締役に迎えられる勝俣・丸紅会長は、福島第一原発事故で四面楚歌に陥っている勝俣恒久・東電会長の実弟。一方の日立は福島第一原発4号機の主契約者を務めたほか、同原発の1号機、2号機、4号機、6号機で格納容器を担当した間柄だ。すなわち原発ビジネスで東電と密接な関係にある日立は、東電の実力者である勝俣会長の弟を役員に“一本釣り”することで東電=勝俣会長との蜜月関係を天下にアピールしたのである。
 「このご時世ですからね。いくら日立でも東電の勝俣会長を社外取締役に迎えるわけにはいきません。そこで次善の策として、原発ビジネスには直接縁がない弟を三顧の礼で迎えたということ。世間が何と言おうと、日立の原発部隊は東電の応援団を降りないとの強い意思表示に他なりません」(冒頭の市場関係者)

 勝俣氏には新日鉄で副社長を務めた兄の孝雄氏がおり、東電と丸紅で社長を務めた恒久、宣夫両氏ともども財界では「勝俣3兄弟」と呼ばれている。
 それにしても、日立が東電へ送るエールは半端ではない。4月12日には中西宏明社長直属の「福島原子力発電所プロジェクト推進本部」を設立、原子炉の冷温停止や使用済み核燃料プールの機能回復などのプランを東電に提案し、支援強化を打ち出している。

 これと並行して、日立が中心となって米GE、フランス電力公社(EDF)、米電力最大手エクセロンなど日米欧の専門家チームを結成し、核燃料の処理から最終的な廃炉処置に至るまでの「廃炉プラン」を提案した。
原発設備を廃炉する場合、圧力容器から燃料棒を取り出して核廃棄物を処理できるレベルに放射能を低減させるのに10年、プラント内部と建屋を解体して更地にするまでに30年はかかるとされている。すでに廃炉が決まっている福島第一原発は「概算で1兆5000億円から2兆円の費用が必要になる」(関係者)とされている。
 日立による日米欧連合の廃炉プランは、そんな「金のなる木」を見越してのことだ。

今後の世界拡大が見込める廃炉ビジネスの観点に立てば、丸紅の勝俣会長に白羽の矢を立て社外取締役に迎えた日立の更なる思惑が透けてくる。日本を代表する総合商社の社長、会長を歴任したのであれば世界に幅広い人脈を持つ。それをフル活用し、商売に結び付ければより大きな見返りが期待できるのだ。
 「丸紅の勝俣会長にせよ東電の勝俣会長にせよ、日立の計算高い腹のうちは先刻承知している。それにもかかわらず拒否しなかったのは、日立の強い要請を断れない相当の弱みがあったということ」(業界関係者)

 それが何なのか。一本釣りの舞台裏は複雑怪奇なようである。】一部抜粋

週刊実話に似合わず(失礼)硬派な記事で、実に良くまとまっています。
たまには、軟派な週刊誌もどうぞ。
それにしても、実業界・財界という所は、まるで魑魅魍魎の棲む、魔界のようだ。