国際野球に賭けるもの | 欧州野球狂の詩

欧州野球狂の詩

日本生まれイギリス育ちの野球マニアが、第2の故郷ヨーロッパの野球や自分の好きな音楽などについて、ざっくばらんな口調で熱く語ります♪

 ベースボールブリッジとして初めて開催するイベント「ヨーロッパ野球トークライブ2013」まで、いよいよ今日を入れてあと3日に迫ってきた。当日の出演者として、またこのチームのリーダーとして、様々な準備に奔走し続けてきて今、様々な思いが俺の胸に去来してきている。今回はまた、久々にシリアスな話になってしまうと思うけど、どうか率直な胸の内を聞いてもらえればと思う。


 つい昨日、大学時代のサークルの友人から久しぶりにコンタクトがあった。彼とは学年は1つ違いだけど、彼が現役生で俺は1浪しているので、サークル時代は常にタメ語で喋っていた間柄だ。懐かしくなって当時のことを色々喋っていた時、彼はサークル時代の仲間たちが俺のことをどう見ていたのかについて、率直な思いとして教えてくれた。俺としても自分で触れたくはない過去だけど、正直に言う。曰く、彼らは俺とどう接すればいいのか、あるいはどう扱えばいいのか、戸惑っていた部分も少なくなかったんだそうだ。


 確かに思い当たる節がないわけじゃない。サークル時代、MTG後の飲み会に参加した時も、気づいた時には周りが皆それぞれの会話で盛り上がって、俺だけ1人きりで静かに食べ物をつまんでいるなんてことは、珍しくもなんともない光景だった。サークル以外の場面でも、例えば他の人が授業で発表しているときは、皆フレンドリーというか気さくな雰囲気なのに、俺が前に立った瞬間に明らかに周りの視線や雰囲気が変わるというのも、毎回のように経験したことだ。


 つい最近Facebookでも書いたように、今でこそ「変人と呼ばれるのは褒め言葉だ」と半ば開き直れている俺にとっても、当時の周囲が自分をこう見ていたと知ったのは、はっきり言ってショッキングだった。当時から、何となく周囲に対する違和感を抱えてはいたけれど、国際野球を追いかけるようになってからは、常にそれを意識することはなくなった。実を言うと、大学時代のことなんてつい最近まで忘れていたことの方が多かったくらいだ。とはいっても実際のところ、無意識の部分ではそういう扱われ方に、少なからず傷ついていた自分もいたのかもしれない。


 思い返してみれば、俺は今まで飛び込んできたどの社会集団の中においても、100%完全になじむようなことはなかったと思う。「空気が読めない」とか「礼儀がなってない」とか、そういうことを言われたのも多分一度や二度のことじゃないはずだ。そういった「暗黙の了解」を理解しきれていないことが、幼い頃イギリスに住んでいたせいなのか、それとも他の理由によるものなのかは分からないけどね。でもどちらにせよ、これまでの俺を正面から受け入れてくれた人々は、少なくとも同世代においては両手に余るくらいしかいない。大抵は俺を腫れ物に触るように扱うか、あるいは「どうしようもない奴だ」と正面切って罵倒するかだったんだ。


 そういう扱われ方に正直俺は疲れきっていたし、嫌気がさしていた。俺がヒップホップに傾倒するようになったのも、そんなコンプレックスを何とか吐き出したい、自分の中にある辛さや苦しみを表現したいという欲求にとらわれてのことだ。だからこそ、俺はヒップホップという音楽に対しては常に本気だよ。残念ながら、これまではその思いすらも完全には理解されず、逆に俺を物笑いの種にするネタとして利用するような連中も少なくなかったけどね。


 でも、国際野球に携わる人々だけは違った。この世界を追いかけ、あるいはそこに自ら携わるようになってからは、そんなふうに扱われることはなくなったんだ。この世界に関わっている人々は、ずっとこのブログを続けているおかげかもしれないけど、俺のことをきちんと1人の仲間として、この世界における重要な存在の1人として認めてくれる。きちんとリスペクトしてくれて、時にはわざわざ会いにも来てくれるんだ。今までこんなことはなかったし、それは俺自身本当に嬉しく思っているんだよ。


 ベースボールブリッジというチームを立ち上げてからは、はっきり言って俺の日常生活は一気に忙しくなったし、ほとんど休む暇もなくなった。でも、俺はそれを苦にしたことは一度もないんだ。むしろ、このチームの一員として活動を続けられることは、俺にとって本当に誇るべきことなんだよ。ベースボールブリッジは、25年間ずっと漂流し続けてきた俺という人間が、やっとこの社会の中で見つけた居場所なんだから。


 だから俺はたとえ何があろうと、たとえ周りに何を言われようと、このチームや国際野球の世界から足を洗うつもりはない。多くの関係者が自分にかけてくれる期待や思いを裏切ることなんて、俺には絶対にできないんだ。そもそも、国際野球にかかわっていくことは、俺にとってはもはや趣味なんかじゃない。自分という人間が生まれてきた意味や存在価値を、この社会に対して証明するための戦いなんだ。中二病くさいと思うなら好きに言えばいい。でも、俺は本気で心からそう思っている。負けるわけにはいかないんだよ。


 このベースボールブリッジの一員として挑む最初のイベントである、17日のトークライブ。これは何としても絶対に成功させたいと思っている。社会一般から見れば、取るに足らないちっぽけなイベントかもしれない。でも俺たちメンバー全員にとっては、これまで時間的余裕がない中で全力をかけて練り上げてきた、本当に大事な舞台なんだ。だからこそ、当日はこれまで自分たちがかけてきたことを、全員で精いっぱい表現したいと思っている。それを、1人でも多くの人に見届けてもらいたいんだ。


 そして、自分と同じように「同世代とは毛色の違う者」が集まったこのチームも、ゆくゆくはどんどん大きくしていきたい。組織の規模という意味でも、それに関わらない存在感という意味でもね。今はある意味じゃキワモノの集まりかもしれないけど、いつかは「異能のプロ集団」と呼ばれるようなチームにしていくつもりだ。幸い、このチームにはベクトルの方向性は違えど、皆何らかの分野において圧倒的に突き抜けた、尖った奴らばかりが集まっている。決して不可能じゃないと思うよ。既存の組織では輝けなかった者たちが、輝くことができる場所。俺はこのチームを、人生を賭けてでも守るよ。それが、俺にとっての使命なんだからね。