おいらはアコギ。そうアコースティックギターだよ。
今日は、おいらの居場所について語ろう。
ちょっとハナシを聞いてくれるかな?
去年の夏から秋まで、おいらの持ち主の女はおいらを使って
ギターコードを覚えなおすとかいって、ほぼ毎日練習してたんだ。
あの頃は、充実してたなぁ。
ところが、元々飽きっぽい女なんだね。しばらくすると、おいらは
放置されて、その存在を忘れられてたんだから。
やがて、その女はベースに夢中になり始めたんだ。
おいらは、ベースに嫉妬をしたよ。時間が経つにつれてどうでもよくなったよ。
どうせ、持ち主の女はベースも、すぐ飽きるだろうと思ってた。
おいらは沈黙を貫き通したんだ。
どれくらいの時間が経過したのかな?
ある日、持ち主の女はおいらを手に取り、おいらを抱え、音を奏で始めたんだ。
どういう気まぐれ?心境の変化?
正直とまどったね。嬉しかったけどさ。
しばらくぶりに、おいらをかまうと女はおいらをここにいさせたんだ。
って、おい!トイレかよ!
おいらって、結構場所とるからな。仕方ないんだろうけどさ。
狭いトイレにいると、いろんなことを考えちゃうよ。
外の世界が見たいなぁ。風を感じて、陽をあびて。
おいらの気持ちが通じたんだぜ。
持ち主の女は、おいらをベランダに置いたんだ。
やったー!外だー!
・・・でも、寒い。まさか?ここに放置?
雨の日とかさ、おいら雨に濡れたくないよ。
やばい。眠くなってきた。日光浴って眠気を誘うね。
目が覚めると、おいらは電動ろくろの上にいたんだ。
なんで、ここにいるのかが理解不能だぜ。
電動ろくろの上なんて、落ち着かないよ。
くるくる回る上になんて、居心地悪くて悲しくなる。
ろくろの上に落ち着き始めて、ここでもいいかって妥協してた矢先に
おいらは、持ち主の女はおいらを布団の上に放り投げた。
ああ!布団はいいなぁ。ふかふかで、あったかくて。
もう、ずっとここにいたい気分だぜ。
あ、持ち主の女が布団に入ってきた。
どうやら一緒に寝るらしいぞ。
愛されるってこんな気分なのかな?
おいらは、今、幸せだ。
真夜中、蹴飛ばされて布団から出されても、満足さ。
おいらも、年をとったよなぁ。
保守的な考えでまとまっちゃうんだもんなぁ。
ロック魂をどこかに忘れてしまいそうだよ。
いいのかなぁ。
ハナシが長くなったね。
おいらのつぶやきに付き合ってくれてありがとうね。
ああ、そうだ。おいらの相棒を最後に紹介しとくよ。
持ち主の女が、ぶらっと大阪に行った時に、
緑のおっさんが、くれたんだって。
ピックは、緑のおっさんと同化していてたまにお下劣なことを
言うけど、おいらのいい相棒だよ。
それじゃ、また会おうぜ。
ロック魂に火をつけるんだぜ。