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ご想像通りというか、ご想像以上に更新は不定期です。                                 ちょっとした暇つぶしにお読みいただければ嬉しいです。

8月6日発売、日刊ゲンダイの「サラリーマン特集」に
メンターに関する私のインタビュー記事が掲載されました。


ロンドン五輪で実証された


サラリーマンも同じ
好成績の肝はメンターにあり


あれほど辛口だった釜本邦茂氏も
「すごい!」と絶賛した関塚ジャパンの快進撃。
キーマンは大津や永井ではなく、
実はオーバーエージ(OA)の選手ともっぱら。
ここに新入社員を育てるヒントがある。


DF吉田麻也(23=主将)、DF徳永悠平(28)、
GK林彰洋(25)の3人は、
五輪前は「みすぼらしいOA枠」とボロクソ。
一部では、徳永は関塚監督や原博実技術委員長と同じ
早大サッカー部出身だからこその゛情実人事゛とまで
言われるありさまだった。
 評価がガラリと変わったのは、1次リーグでスペイン、
モロッコに無失点で連勝してから。
吉田と徳永で守備が安定したと言われる一方、
チームの結束もOAのおかげと評価を上げた。
 OA選手は、サラリーマン社会に喩えれば
「メンター」つまり新人教育係だ。
関塚ジャパンではそれが「吉」と出たわけだが、
サッカーとサラリーマンは別物、現実は甘くない。
人材育成コンサルタントの内田和俊氏はこう言う。
「先輩社員が新人を教育するメンター制度は、
多くの企業が実施していますが、ほとんどのメンターが
新人の゛かまい方゛を勘違いしています。
〈 俺たちの言う通りにすればいいんだよ 〉しか言わず、
上司や人事部のメッセンジャーと化しているのが現状です。
ロクに育ててくれないと気づいた若手はメンターを信頼できず、
結局2、3年で会社を辞める原因にもなっています」
 宿舎やロッカールームでの
関塚ジャパンのやりとりは知るよしもない。
が、直前合宿中のGK林のコメントはヒントになりそうだ。
〈 シャイな選手もためらわずに話せる状況をつくってあげるよう、
選手ミーティングでもいい雰囲気をつくれるようにした 〉
〈 思ったことをなかなか言えない選手が、
チームにとって重要な意見を持っていたりする 〉
 これを聞いた内田氏によれば、林は良きメンターだという。
「メンターは、仕事のイロハを教えることはもちろんですが、
若手がどんなキャラクターかをしっかり観察し、
長所を引き出すことが大事。
これで配属のミスマッチが減らせますから。
その点で林選手は、自分の仕事をきちんとこなしています。
しかも彼はバックアップメンバー。負傷者が出ない限り、
試合には出られないのにです」
 こういうメンターが自分の部署にもいれば……。
誰しも思う。メンターの当たりはずれを減らすには、
どんな素質に着目すればいいのか。
「適役は、社会人になってから挫折を経験した人間です。
新入社員時代に大きな失敗をした若手は、
良き語り部になれるからです。それと、上から目線ではなく、
新人と同じ目線に立てる度量があるか。
上司と新人の盾になれるか。
今どきの若手は失敗を恐れてばかりですから、
なかなかいませんが……」(内田氏)
 そういえば、寺川綾(27)は、平井伯昌コーチに師事し、
今五輪女子背泳ぎ100㍍で銅メダルを獲得。
平井氏から離れ、米国に拠点を移した北島康介(29)が
個人でメダルを逃したのは、なんだか象徴的だ。
 寺川は平井氏の著書「突破論」(日経BP)の
インタビューで、こんなことを言っている。
〈 先生の考えや意見を一方的に
言い放つような伝え方ではなく、選手と話し合って
「今、君はどう思っているのか」
「であれば、君はどうしたいのか」
「じゃあ何をどうするか」などと、きちんと向かい合って
コミュニケーションを取ってくれるんです。
それも頭のなかが整理できるように一つ一つ順序立てて。
選手の意見を反映させながら
一緒に方法論を見つけていくような感じです 〉


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