山梨日日新聞「時標」 | SYP友の会

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ご想像通りというか、ご想像以上に更新は不定期です。                                 ちょっとした暇つぶしにお読みいただければ嬉しいです。

「仕事耳を鍛える ‐ ビジネス傾聴入門」(筑摩書房)
CD(暦日会)DVD(プレジデント社) になりました。


書籍CDDVD が揃ったことを記念して
山梨日日新聞の「時標」に記事を掲載していただきました。


思えば今の仕事を始めた10年前、
山梨日日新聞様、YBSテレビ様には
頻繁に私たちの活動を取り上げていただいたものです。


皮肉なことに私たちの意図とは裏腹に
95%以上の仕事が山梨県外になってしまいましたが
久しぶりに地元メディアに取り上げていただき喜んでおります。


「ビジネス傾聴」広めたい


 この1年の山梨を振り返ってみると、
ビジネスでもスポーツでも残酷なまでに
「勝ち組」と「負け組」の差が明確になってきた。
 変化に柔軟に対応できる企業(チーム)がある一方で、
過去のやり方に固執する企業(チーム)がある。
自殺や鬱病の対応にしても、
こまやかな対応をしている企業や学校もあれば、
「全く気づかなかった」「防ぎようがなかった」など
言い訳や正当化に終始する企業や学校もある。 
 今まで、数千人の会社員、経営者、スポーツの指導者、
教職員、親たちにインタビューをしてきた結果、
ある共通するコンピタンシー(高業績者の行動特性)を発見した。
 それが「ビジネス傾聴能力」である。
 私は、ただ黙って共感しながら聞くことを求めているわけではない。
当然、「伝える」「答える」「対策を打つ」など、
その後の対応も必要となるのだが、
まずは聴くことによって相手の真意をとらえていなければ、
その後の対応も的外れになってしまう。
 「聴く」+「適切な対応」という一連の流れを、
私は「ビジネス傾聴」と定義した。
 適切な対応を施すために、まず「聴くこと」が大切だ。
 ところが、相手の真意をつかむこと(聴くこと)は本当に難しい。
聴くという作業は、耳の仕事ではなく、頭脳の仕事だからだ。
 コミュニケーションは言葉のみで行われていると思われがちだが、
言葉はほんの一部に過ぎない。
私たちは心の中で思っていること全てを口に出すことはないからだ。
 特に子供や部下など下の立場の人たちは、上の立場の人たちに対して、
「言わなくても、分かってくれるだろう」という期待を抱いている。
そして、その期待に応えてもらえなければ、
今度は「どうせ言っても、分かってもらえない」という失望に変わる。
 どちらにしても、言葉を発していないのだ。
 さらに厄介なことに、相手が言葉を発しているケースであっても、
言葉が本心と一致しているとは限らない。
発せられた言葉の真偽にも注意を払う必要がある。
 例えば、子供や部下からの「大丈夫です」という発言。
 100%本気で言っている可能性もあるが、
遠慮から50%くらいの本気度で言っている可能性もある。
もちろん、意地やプライド、または心配をかけたくないという配慮から
100%逆のことを言っている可能性だってある。
 いずれにせよ、相手の性格、そこまでの経緯など、
さまざまな要素を加味して言葉の真偽を判断しなければならない。
その判断に基づいて、当然のことながら対応も変わってくる。
 先ほどの「大丈夫です」という発言に関して言えば、
100%本気で言っているのなら、
その言葉を信じて放っておいてもいいわけだが、
50%の本気度なら、ある程度の救いの手を差し伸べなくてなはならない。
100%逆の意味で言っているのなら、早急に何らかの手を打つ必要がある。
 この「適切な対応」まで含めて、「ビジネス傾聴」なのだ。
 このように言葉が持つ性質まで考慮に入れて聴かなくてはならないから、
聴くことは「頭脳の仕事」なのだ。 
 言葉を鵜呑みにしたり、「誰々が○○と言った」などと
過去の発言に固執したり、言葉尻に過剰に反応し揚げ足を取ったりなど……。
このようなレベルの低いコミュニケーションは、
非現実の世界に生きる崇高な永田町の議員の皆さんに任せておきたい。



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