特別な才能。。炎の七番勝負/第7局「羽生三冠-藤井四段を振り返ろう」
今回は昨日、放送されました
「藤井聡太四段 炎の七番勝負」の最終戦/第7局
羽生善治三冠戦を模様を振り返らせていただきます。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲藤井四段: なし
△羽生三冠: なし
振り駒の結果、先手は藤井四段に。
その初手は角道を開く▲7六歩から。。
対します、羽生三冠は2手目に飛車先を突く
△8四歩と返し、対局はスタートとなりました。。
早々と居飛車を明示した羽三冠に対して
藤井四段の作戦が明らかとなるのが、次の3手目。
藤井四段は生粋の居飛車党ということで
▲6八銀なら「矢倉」、▲2六歩なら「角換わり」が
それぞれ濃厚となりますが。。
3手目▲2六歩。
上図での持ち駒
▲藤井四段: なし
△羽生三冠: なし
藤井四段は▲2六歩として「角換わり」を指向。
プロデビュー以来、主戦に据える得意の戦型で
羽生三冠に勝負を挑みます。。
9手目▲8八銀。
上図での持ち駒
▲藤井四段: なし
△羽生三冠: なし
史上初にして唯一の「七冠達成」をはじめ
前人未到の大記録を数々打ち立ててきた
将棋界最大のスーパースター羽生三冠は
この申し出を受け入れ、定跡手順で進行。。
確立された手順を
じっくりと嚙みしめるように踏襲し、迎えた
上図から、次に。。
10手目△7七角成。
上図での持ち駒
▲藤井四段: なし
△羽生三冠: 角
羽生三冠から角交換を敢行。
手損のない「ノーマル角換わり」となりました。
24手目△1四歩。
上図での持ち駒
▲藤井四段: 角
△羽生三冠: 角
角交換成立後
羽生三冠は右銀の中央進出を目指す
「ノーマル角換わり」の常套手段である
「腰掛銀」を視野に入れた駒組みを進行。。
一方の藤井四段は
右銀を自陣二段目に留めたまま
先に桂馬を跳ねる(21手目▲3七桂)
最近の流行形を採用。。
「角換わり」序盤の駆け引きのひとつ
端歩を巡る攻防では、まず藤井四段が突いた
1筋の歩を羽生三冠は丁寧に受けました。
この手をみて、藤井四段は。。
25手目▲2五歩。
上図での持ち駒
▲藤井四段: 角
△羽生三冠: 角
グイッと飛車先の歩を決めると
次の羽生三冠の△3三銀(26手目)に。。
27手目▲4五歩。
上図での持ち駒
▲藤井四段: 角
△羽生三冠: 角
藤井四段はヒラリと右の桂馬を飛翔。。
この模様は「角換わり」の最新流行形であり
三浦弘行九段が渡辺明竜王とのA級戦で採用し
冤罪事件の引き金をひいたことでも有名。。
ニコニコ動画での両者の対戦では
羽生三冠が藤井四段に「藤井システム」を発動して
大きな話題となりましたが、七番勝負では藤井四段が
いわくの「三浦流」を採用し、見守るファンを沸かせます。
この手に対し
羽生三冠が狙われた銀を2筋に引くと。。
(28手目△2ニ銀)
29手目▲2四歩。
上図での持ち駒
▲藤井四段: 角
△羽生三冠: 角
藤井四段は飛車先2筋の歩を突き合わせ
爽やかに、仕掛けを開始しました。。
羽生三冠は△同歩(30手目)と応じて
以下、▲同飛に△4ニ角~▲3四飛~△2三銀~
▲3五飛~下図36手目△4四歩と進行。。
36手目△4四歩。
上図での持ち駒
▲藤井四段: 角、歩2
△羽生三冠: 歩
勢いよく前に出た藤井飛車を
羽生三冠は冷静に押さえ込んでから
先手の桂馬の頭上を厳しく捉えます。。
しかし
この進行は想定内とばかりに。。
37手目▲7一角。
上図での持ち駒
▲藤井四段: 歩2
△羽生三冠: 歩
藤井四段は手持ちの角を敵陣に投入。
飛車に引っ掛け、手番を握りました。。
次に、羽生三冠が狙われた飛車を
7筋に逃がしたのをみて(38手目△7ニ飛)。。
39手目▲5三桂成。
上図での持ち駒
▲藤井四段: 歩3
△羽生三冠: 歩
藤井四段は桂馬を捌きに出ます。。
47手目▲2九飛。
上図での持ち駒
▲藤井四段: 金、歩4
△羽生三冠: 桂
さらに金との交換で角も捌いた
藤井四段は抜け目なく後手に8筋に歩を
使わせてから(44手目△8ニ歩)、悠々と
飛車を自陣に引き戻しました。。
65手目▲4五歩。
上図での持ち駒
▲藤井四段: 歩3
△羽生三冠: 桂、歩
その後
局面は表面上、落ち着きを取り戻し
両者は再び自陣の駒組みに取りかかります。。
ジリジリと間合いを詰め合い
戦場に二枚の銀を並べた藤井四段が、上図で
4筋の歩を突き合わせると。。
66手目△9五桂。
上図での持ち駒
▲藤井四段: 歩3
△羽生三冠: 歩
羽生三冠は取り込むことなく
9筋の端に手持ちの桂馬を放り込み
飛車先に戦力を足し、力を溜めました。。
70手目△4四同金。
上図での持ち駒
▲藤井四段: 歩2
△羽生三冠: 歩3
開戦への機運が高まる中
藤井四段が4筋で裏を取り、金交換へ。。
73手目▲5五金。
上図での持ち駒
▲藤井四段: 歩2
△羽生三冠: 金、歩3
金交換成立直後に
手番を握った藤井四段が手にしたばかりの金を
双方の駒がひしめく天王山・5五の位に打ち込み
いざ、決戦のゴングが鳴ります。。
羽生三冠は△同銀(74手目)と取り込み、以下
▲同銀左~△同角~▲同銀~△6五角~▲5四角に
△同角~▲同銀~△2八歩~▲同飛~△3九銀をみて
下図85手目▲2三歩成と進行。。
85手目▲2三歩成。
上図での持ち駒
▲藤井四段: 角、銀、歩3
△羽生三冠: 角、金2、歩2
天王山の大捌きの直後
藤井四段は飛車取りに構うことなく
歩成りの王手から、羽生玉を仕留めに行きます。
98手目△6九金。
上図での持ち駒
▲藤井四段: 歩2
△羽生三冠: 飛、角、金、歩4
あっという間に後手玉を追い込んだ
藤井四段が形勢を大きく握り、羽生三冠は
苦しい展開を余儀なくされます。。
それでも何とは
先手玉に絡みつき最後の意地を見せますが。。
【 投了図・111手目▲8七歩 】
投了図での持ち駒
▲藤井四段: 角
△羽生三冠: 金、歩6
藤井四段は正確な指し回しで
羽生三冠につけ入る隙を全く与えず
上図の局面をみて羽生三冠、無念の投了。。
神童・藤井四段は
将棋の代名詞・羽生三冠からも白星を飾り
内容も圧倒的に七番勝負を6勝1敗と勝ち越し。。
特別な才能をみせつけ、番勝負を締めくくりました。
□□□
ただならぬ期待感の中で。。
藤井四段激戦譜(炎の七番勝負も)