戸惑いの大差。。第29期竜王戦7番勝負/第6局「丸山九段圧勝、決着はフルセットへ」
初防衛を目指す渡辺明竜王に
丸山忠久九段が挑戦する、第29期竜王戦7番勝負。
ここまで5局を消化し、渡辺竜王が3勝2敗とリード。
通算11期目の防衛に王手をかけて迎えた第6局が
昨日より、山梨県甲府市「常磐ホテル」にて開幕。。
第6局の先手は渡辺竜王。
勝てば虎の子のタイトル防衛が決まる大一番
本局の初手は普段通り、角道を開く▲7六歩から。。
2手目△3四歩。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: なし
△丸山九段: なし
対します、カド番でもう後のない
丸山九段も2手目に同じく角道を開く
△3四歩と返し、対局はスタート。。
続く3手目に
渡辺竜王が飛車先の歩を突くと。。
4手目△8八角成。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: なし
△丸山九段: 角
丸山九段はすかさず角交換を敢行。
タイトルのゆくえのかかった大一番は、やはり
拘りの十八番「一手損角換わり」で勝負します。。
18手目△4ニ玉。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 角
△丸山九段: 角
角交換成立後
両者は次なる焦点である右銀のポジションを
明かすことなく駒組みを進行。。
しかし、歩調を合わせて
丸山九段が飛車先を保留したまま居玉を解除した
上図から次に、渡辺竜王が4筋の歩を突くと。。
(19手目▲4六歩)
22手目△6三銀。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 角
△丸山九段: 角
丸山九段も呼応して6筋の歩を突き(20手目△6四歩)
そのまま銀を5筋に繰り出す動きをみせます。。
28手目△5四銀。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 角
△丸山九段: 角
大一番らしく、格調高く
両サイドの端歩を丁寧に突き合ってから
先手に続けて、丸山九段も銀を5筋に繰り出し
戦型は「相腰掛銀」となりました。
38手目△6五歩。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 角
△丸山九段: 角
さらに前例を踏襲しながらの駒組みは続きますが
上図の局面で、6筋に戦力を集中させた丸山九段が
飛車先で歩をぶつけ、力強く仕掛けを開始。。
44手目△5七桂成。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 角、銀、歩
△丸山九段: 角、銀、歩2
6筋で銀交換を成立させると
丸山九段は敵陣5筋へ桂馬も成り捨て
最初の仕掛けからアクセルを踏み込みます。。
46手目△6五歩。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 角、銀、桂、歩
△丸山九段: 角、銀、歩
渡辺竜王の▲同金(45手目)をみて
丸山九段は拠点の6筋で渡辺銀の頭上を叩き
気持ちよく追撃に出ますが。。
次の瞬間。。
47手目▲2四桂。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 角、銀、歩
△丸山九段: 角、銀、歩
丸山九段の手に乗る形で受けに回った
渡辺竜王が銀逃げずに、自らの飛車先2筋へ
手持ち桂馬を放り込み、突如、反撃に転じました。。
狙撃か変調か。。いずれにしても
渡辺竜王らしくない荒々しい一手を前にしても
丸山九段は怯むことなく、堂々と銀を取り込みます。
(48手目△6六歩)
【 一日目終了図・52手目△2四同銀 】
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 角、金、銀、歩
△丸山九段: 角、銀2、桂、歩2
渡辺竜王も桂馬で金を捕獲し攻め合いへ。。
(49手目▲3ニ桂成)
丸山九段の△同玉(50手目)をみて
さらに2筋の歩を突き合わせると(51手目▲2四歩)
丸山九段は2分の考慮で銀でこの歩を払いました。
この局面で
渡辺竜王が次の手を封じて、一日目は終了。。
あっさりと本格開戦に至り、不穏な気配が漂う中
一夜が明けて迎えた本日、決着の二日目。
53手目▲5五角
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 角、金、銀、歩
△丸山九段: 角、銀2、桂、歩2
注目の渡辺竜王の封じ手は▲5五角。。
香取りをかけた自然な一手ではありますが、しかし
後手からの△3九角の痛打が見えている状況では
渡辺竜王らしくない、覇気のない一手にも感じます。。
本命の「封じ手」は強く攻め合う▲7三角。。
丸山九段もこの手を本命視していたと思われますが
やや意外な▲5五角を前に、手を止め読みを入れ直します。
54手目△3九角。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 金、銀、歩
△丸山九段: 銀2、桂、歩2
33分の考慮の後
丸山九段は「本命」△3九角を投入。
飛車先が通った状態で飛車・金両取りをかける
先手にとっては激痛の一打がいきなり炸裂しました。。
△7三角ならば後手の飛車を取って手番も握り
時間を稼げたように思われますが、この局面ではもう
飛車を逃げるしかない渡辺竜王は5筋へ移動させますが。。
(55手目▲5八飛)
56手目△6七銀。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 金、銀、歩
△丸山九段: 銀、桂、歩2
ガツン!と音が聞こえてきそうな
丸山九段は強烈な銀の打ち込みで追い討ちをかけ
二日目開始早々から、勝負を決めに出ました。。
渡辺竜王は▲6八歩(57手目)と辛抱しますが、以下
△7八銀成~▲同玉~△6七金~▲同歩~△同歩成に
▲同金をみて、下図64手目△6九銀と進行。。
64手目△6九銀。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 金2、銀2、歩
△丸山九段: 桂、歩3
丸山九段は気持ちよく駒を回転させて
先手の陣形を崩壊、形勢を大きく握ります。。
67手目▲2ニ金。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 金、銀2、歩
△丸山九段: 金、桂、歩3
渡辺竜王も握った手番で反撃に出ますが、しかし
丸山九段が玉を4筋に逃がすと(68手目△4一玉)
攻め手は続かず、再び戦場は先手陣へ。。
82手目△7七金。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 角、金、銀、歩
△丸山九段: 銀、桂2、歩3
その後は丸山九段が一方的に攻め続け
何とか昼食休憩突入となった上図の局面では
すでに後手勝勢。。思いもよらない大差となりました。。
【 昼食のメニュー 】
渡辺竜王: 月見そば(単品のみ・温)
丸山九段:信玄鶏のソテー
83手目▲3ニ角。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 金、銀、歩
△丸山九段: 銀、桂2、歩3
午後の対局開始の一手で
渡辺竜王は角を後手陣に放り込み、王手。。
しかし、響きは限りなく薄く事実上の形作りへ。。
丸山九段は5筋に玉を逃がして(84手目△8一玉)
以下、▲7三角成~△6ニ龍~▲同馬~△同玉に
▲6四銀をみて、下図89手目8九銀。。
【 投了図・90手目△8九銀 】
投了図での持ち駒
▲渡辺竜王: 飛、金、歩
△丸山九段: 角、桂2、歩3
反撃を悠々と凌いだ丸山九段が
先手玉に引っ掛けて銀を打ち込んだ、上図の局面で
渡辺竜王は無念の投了を告げました。。
終局時刻は午後2時25分。
持ち時間を両者合わせて4時間半近くも残す
異例の早期決着となりました。
丸山九段はカド番を大勝で凌ぎ
今シリーズの対戦成績は3勝3敗のイーブンに。。
いわくの竜王戦の決着は遂に最終戦までもつれ込みました。
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第6局・一日目終了直後の所感。。