第57期王位戦7番勝負/第5局・一日目「入念な駒組み。。封じ手は羽生王位」
6連覇を目指す羽生善治王位に
木村一基八段が挑戦する、第57期王位戦7番勝負。
ここまで4局を消化し、ともに譲らず2勝2敗のイーブン。
勝者がタイトルに王手をかける正念場の第5局が 本日より
徳島県徳島市「渭水苑」にて開幕の時を迎えました。。
第5局の先手は、羽生王位。
その初手は角道を開ける▲7六歩から。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△木村八段: なし
対します、木村八段は2手目に飛車先を突く
△8四歩と返し、対局はスタート。。
早々と居飛車を明示し
戦型の選択権を先手に委ねた後手に対して
羽生王位の作戦が明らかとなるのが、次に3手目。。
振り飛車投入は考え難く
▲6八銀からの「矢倉」か▲2六歩からの「角換わり」の
二択が有力。どちらも両者の得意戦法となります。。
3手目▲2六歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△木村八段: なし
羽生王位は3分の考慮の後、注目の3手目に
飛車先2筋の歩を突いて「角換わり」を指向しました。。
この手に対して、木村八段が次に飛車先を決めれば
一路、「角換わり」を目指す進行となりますが。。
5手目▲7八金。
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△木村八段: なし
木村八段は飛車先をすぐには決めずに
角道も閉じたまま金を繰り上げ(4手目△3二金)
戦型の選択に含みを持たせます。。
この手に、羽生王位も追随。。
同じく金を二段目に上げて角頭を受け
再び手番を後手に渡しました。。
あらためて作戦の明示が求められた
木村八段は、次に。。
6手目△8五歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△木村八段: なし
飛車先の歩を伸ばし
「角換わり」での勝負を受けて立ちます。。
9手目▲8八銀。
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△木村八段: なし
そのまま定跡手順の進行となり
迎えた上図から次に、後手から角交換を敢行するのが
見慣れた定跡手順となっていますが。。。しかし
10手目△4二銀。
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△木村八段: なし
木村八段は角を換えずに銀を4筋に上げて
先手からの角交換を催促しました。。
この手も定跡の一つとなっており
先手も角を換えなければ、「矢倉」等への進行が
有力となります。。
11手目▲2二角成。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 角
△木村八段: なし
しかし、3手目▲2六歩と突いたからには
本局は「角換わり」で勝負ということで、羽生王位は
後手の注文を受けて立ち自ら角交換を敢行。。
次に、木村八段は△同金(12手目)で角を払い
結果的には手損のない「ノーマル角換わり」となりました。
17手目▲4六歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 角
△木村八段: 角
角交換成立後
両者は右銀を中央へと繰り出す動きをみせ
「ノーマル角換わり」常套手段である「腰掛銀」を
目指す序盤の駒組みに。。
25手目▲4七銀。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 角
△木村八段: 角
すぐに銀を自陣三段目に立てた(18手目△6三銀)
木村八段に対して、羽生王位は右銀の態度をしばし
保留したまま駒組みを進行。。上図の局面でようやく
4筋に銀を上げて「腰掛銀」の方針が明示されました。
29手目▲5六銀。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 角
△木村八段: 角
前例を踏襲しながらも
双方、抜け目なく細かくけん制を入れ合う
序盤から神経質な駒組みが続く本局。。
しかし、上図の局面で
木村八段に続いて(28手目△5四銀)
羽生王位も銀を中央5筋に繰り出し、戦型は
おなじみの「角換わり相腰掛銀」に決定しました。。
次に、木村八段が
7筋の歩を突いたところで(30手目△7四歩)
午前の対局は終了となり、お昼休憩に突入。。
【 お昼のメニュー 】
羽生王位: 親子丼
木村八段: 鉄火丼
31手目▲4五歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 角
△木村八段: 角
午後の対局開始の一手で
羽生王位は4筋の歩を伸ばし、位を確保。。
この手は4六の地点に角を打ち込む狙いですが
木村八段は冷静に、9筋の歩を突き(32手目△9四歩)
端歩の打診を入れました。。
35手目▲4六角。
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△木村八段: 角
羽生王位は9筋の端歩は受けずに
反対サイドの1筋の歩を突いて逆に打診を入れます。
(33手目▲1六歩)
木村八段が端歩を受けると(34手目△1四歩)
9筋には手を戻さず角を4筋に打ち込み形を決めました。
40手目△9五歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△木村八段: 角
一方の木村八段は角を保持したまま
タイミングを見計らい、9筋の位を確保します。。
44手目△9二香。
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△木村八段: 角
一日目は上図44手目まで進行。
羽生王位が玉を入城させると(43手目▲8八玉)
木村八段は9筋の香車を一段上げて、渋く手渡し。。
この局面で羽生王位の考慮中に
終了時刻(午後6時)となり、そのまま次の手を封じて
一日目は終了、明日へ指し掛けとなりました。
番勝負深まり、急所の一局らしく
両者ともに慎重で入念な駒組みに終始した一日目。。
明日は決着の二日目、開始直後から目が離せません。。
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