振り飛車の砦は。。第42期棋王戦・予選/決勝「藤井九段-野月七段を振り返ろう」 | 柔らかい手~個人的将棋ブログ

振り飛車の砦は。。第42期棋王戦・予選/決勝「藤井九段-野月七段を振り返ろう」

第41期棋王戦中継サイト

第42期予選トーナメント表



本日の将棋界は棋士総会が行われ

公式対局はお休みとなっています。。


ということで、今回は

一昨日の水曜日(8日)に行われました

第41期棋王戦の予選/決勝に姿を現した

藤井猛九段の対局の模様を振り返ります。。



2


2手目△8四歩。


上図での持ち駒


▲藤井九段: なし

△野月七段: なし


対戦相手は

居飛車の攻め将棋が持ち味の野月七段。


藤井九段は先手でその初手は▲7六歩。。

野月七段は2手目△8四歩と飛車先を突いて

対局はスタートとなりました。。



3

3手目▲5六歩。


上図での持ち駒


▲藤井九段: なし

△野月七段: なし


早々と居飛車を明示した後手に対して

藤井九段は3手目に中央5筋の歩を突き

振り飛車投入を示唆します。。



7


7手目▲5八飛。


上図での持ち駒


▲藤井九段: なし

△野月七段: なし


後手の飛車先を角で受けた(5手目▲7七角)

藤井九段は上図7手目に飛車に手をかけると

5筋へと振り、「中飛車」投入。。



15


15手目▲5五歩。


上図での持ち駒


▲藤井九段: なし

△野月七段: なし


角道を閉じたまま

駒組みを進める野月七段に対して

藤井九段は飛車先5筋の位を取りました。。


現代将棋の金字塔

「藤井システム」と「角交換四間飛車」の開発者として

将棋史にその名を刻む四間のカリスマ・藤井九段。


また、「藤井システム」を応用する形で作り上げた

「藤井流早囲い矢倉」もここにきて大流行となっており

あらためて、その偉大な才能に賞賛の声が集まります。。


今期ここまでの成績は3勝2敗。

順位戦はB級2組で戸辺誠七段と開幕戦を戦い

黒星スタートとなりました。。


振り飛車党冬の時代

そして低調なスタートとなった「羽生世代」の

砦であり希望の星として、例年以上に今期の活躍が

藤井九段には期待されます。。



25


25手目▲5六銀。


上図での持ち駒


▲藤井九段: なし

△野月七段: なし



藤井九段は振り飛車の相棒「美濃囲い」を完成。

飛車先に銀を乗せて5筋の位をガッチリと確保し

美しく駒が組み上がりました。。



28


28手目△7五歩。


上図での持ち駒


▲藤井九段: なし

△野月七段: なし


先に仕掛けたのは、野月七段。

飛車が構える7筋で歩を突き合わせます。。


藤井九段は▲同歩(29手目)で応じて

以下、△同飛~▲6六角~△7二飛~▲7八飛に

△7四銀をみて、下図35手目▲9五歩。。



35


35手目▲9五歩。


上図での持ち駒


▲藤井九段: 歩

△野月七段: 歩


7筋で飛車が向き合い緊張が高まる中

藤井九段はふいに、9筋の端歩を突き合わせます。

野月七段に△同歩(36手目)と取らせてから。。


37


37手目▲7三歩。


上図での持ち駒


▲藤井九段: なし

△野月七段: 歩2


あらためて

後手の飛車を叩き、反撃に転じました。。



48


48手目△7六歩。


上図での持ち駒


▲藤井九段: 香、歩

△野月七段: 香、歩



藤井九段は、角をぐるりと旋回させて

香交換を成立させましたが、自陣に角が戻る間に

7筋をガッチリと押さえこまれてしまいました。。



しかし、ここは想定の範囲内。。



57

57手目▲7五香。


上図での持ち駒


▲藤井九段: 歩2

△野月七段: 飛、歩


藤井九段は手持ちの香車を活用して

飛車交換を成立させます。。


上図から、以下

△同飛~▲同角~▲9九飛~△7一飛に

▲8九飛成~下図63手目▲5八金左と進行。。



63


63手目▲5八金左。


上図での持ち駒


▲藤井九段: 歩2

△野月七段: 桂、香、歩


飛車交換成立直後に

互いに手持ちの飛車を敵陣に投入し終盤模様へ。

野月七段がいち早く、桂馬を捕獲して龍を作ると

藤井九段は「本美濃」を築き自陣を引きします。。



79


79手目▲7二「と」金。


上図での持ち駒


▲藤井九段: 桂、歩

△野月七段: 歩3


双方、自陣の堅さを担保に

飛車に角と小駒を絡めて寄せを目指します。


95


95手目▲4一角。


上図での持ち駒


▲藤井九段: 金

△野月七段: 飛、歩5


果たしてどちらが先に寄せるか。。

激しくスリリングな最終盤戦は、それでもギリギリ

藤井九段が残しているかと思われましたが。。



【 投了図・116手目△4四金 】


116


投了図での持ち駒


▲藤井九段: 銀、歩2

△野月七段: 金、歩5


後一歩のところで後手玉を取り逃がした

藤井九段は野月七段の厳しい寄せの前に

上図の局面をみて無念の投了を告げました。。




□□□


これは必見!


羽生三冠の研究風景を大公開。。


慶春onLINE