第74期A級順位戦/7回戦「屋敷九段はアクティブに」
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲屋敷九段: なし
△佐藤九段: なし
今朝のエントリー でもご紹介させて頂きました
総本山、東京・将棋会館にて本日行われています
第74期順位戦注目の最高峰・A級の7回戦
「佐藤康光九段-屋敷伸之九段」。
先手・屋敷九段の初手▲7六歩に対して
佐藤九段が2手目△8四歩と返して対局はスタート。
後手では振り飛車を採用することも多い
佐藤九段ですが、本局は早々と居飛車を明示して
先手に戦型の選択権を委ねました。。
3手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲屋敷九段: なし
△佐藤九段: なし
生粋の居飛車党である屋敷九段は3手目に
▲6八銀とし、主戦に据える「矢倉」を明示しました。。
9手目▲2五歩。
上図での持ち駒
▲屋敷九段: なし
△佐藤九段: なし
佐藤九段が4手目に角道を開けると
通常は△6六歩として角道を止めることが多い
5手目に▲7七銀とすると、次に不突きが主流の
飛車先をトントン拍子で突き越します。。
上図での持ち駒
▲屋敷九段: なし
△佐藤九段: なし
史上最年少となる16歳8ヶ月で
タイトルを獲得した屋敷九段は早熟の天才と謳われる
その一方で、不惑を迎えてようやくA級に到着した
晩成型とも言える摩訶不思議な棋士。。
自らの興味を強く研究に反映させて
ここ最近は急戦での勝負に心血を注ぎますが
本局も居玉のまま右の攻撃の銀を早めに繰り上げ
目指す模様へと突き進みます。。
20手目△3二金。
上図での持ち駒
▲屋敷九段: なし
△佐藤九段: なし
対します、佐藤九段も「現代の幸三」と称される
初手から一切の妥協を許さない序盤の革新者。。
本局は先手の趣向に合わせるように居玉のまま
先に「矢倉囲い」を完成させました。。
上図から次に
屋敷九段が居玉を解除すると(21手目▲6九玉)
佐藤九段も同じく玉に手をかけ4筋に移動させます。。
(22手目△4一玉)
25手目▲5五歩。
上図での持ち駒
▲屋敷九段: なし
△佐藤九段: なし
しかし、そのまま玉の囲いを目指す展開とはならず。
左の銀を戦場へと繰り上げた(23手目▲6六銀)
中央5筋の歩を突き合わせ、仕掛けを開始。。
佐藤九段が△同歩(26手目)と応じて
以下、▲同銀~△6三銀~▲4六銀上~△5四歩に
▲6六銀~下図32手目△7四歩と進行。。
32手目△7四歩。
上図での持ち駒
▲屋敷九段: 歩
△佐藤九段: なし
佐藤九段が7筋の歩を突き
先手の銀の動きをけん制した、上図の局面で
午前の対局は終了となり、お昼休憩に突入。。
【 お昼のオーダー 】
両者ともになし。
34手目△7三桂。
上図での持ち駒
▲屋敷九段: 歩
△佐藤九段: なし
午後の対局開始の一手で
屋敷九段が左の銀を自陣に引くと(33手目▲5七銀左)
佐藤九段はすかさず、右の桂馬を跳躍させて
攻撃に厚みを加えました。。
しかし、攻勢を弱める気のない屋敷九段は
自陣に一先ず引いた銀を立て(35手目▲5六銀)
次に、佐藤九段が飛車先を決めたのをみて。。
(36手目△8五歩)
37手目▲3五歩。
上図での持ち駒
▲屋敷九段: 歩
△佐藤九段: なし
16分の考慮の後、今度は3筋で
歩を突き合わせ、再び仕掛けに入りました。。
佐藤九段はここも△同歩(38手目)と応じて
以下、▲同銀~△1四歩~▲4六歩~△3四歩に
下図43手目▲2四歩と進行。。
43手目▲2四歩。
上図での持ち駒
▲屋敷九段: 歩2
△佐藤九段: なし
3筋の銀に歩を突きつけられた屋敷九段は
「棒銀」の要領で逃げずにお隣り2筋の歩を合わせ
銀交換を呼び込みました。。
上図での持ち駒
▲屋敷九段: 銀、歩4
△佐藤九段: 銀
直後に2筋で銀交換が成立。
すると佐藤九段は飛車先の歩を切ってから
1筋の端から角をのぞかせ4筋の歩を狙います。。
上図の局面で
夜戦に備えて夕食休憩に突入。。
攻勢に出た先手の陣形が間延びしたように
見えますが、角道も飛車先も見晴らし良好で
屋敷九段の積極策が功を奏したのかも。。
しかし、形勢はまだ誤差の範囲にも思え
夕食休憩明けからの両者の見立て、構想が
実に楽しみであります。。
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読む将棋Ⅱ 新年の連載スタート。。
孤独の符号・長浜編 第0話「会話」
孤独の符号・長浜編 第1話「記憶」
孤独の符号・長浜編 第2話「思惑」
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