第28期竜王戦7番勝負/第5局・一日目「相掛かり。。封じ手は渡辺棋王」
初防衛を目指す糸谷哲郎竜王に
渡辺明棋王が挑戦する、第28期竜王戦7番勝負。
ここまで4局を消化し、渡辺棋王が3勝1敗とリード。
竜王奪還に王手がかけられて迎えた注目の第5局が
本日より、山梨県甲府市「常盤ホテル」にて開幕。。
第5局の先手は渡辺棋王。
悲願の竜王復位へ王手をかけた大一番の初手は
普段通りに、角道を開ける▲7六歩から。。
2手目△3四歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: なし
△糸谷竜王: なし
対します、カド番に立たされもう後のない
糸谷竜王も2手目△3四歩と同じく角道を開けて
対局はスタートいたしました。。
4手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲糸谷竜王: なし
△渡辺棋王: なし
次に両者は息を合わせて飛車先の歩を突き
今シリーズここまでで2度採用された「横歩取り」を
目指す序盤の出だしとなります。。
上図の局面で
渡辺棋王は3分、手を止め呼吸を整えてから
飛車先を決めました(5手目▲2五歩)。。
この手をみて、糸谷竜王は。。
6手目△3二金。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: なし
△糸谷竜王: なし
代えて先手に追随し、飛車先を決めれば
「横歩取り」となるところで、先に角頭を金で受ける
趣向の一手を投入しました。。
それでも「横歩取り」が有力ですが、加えて
糸谷竜王の十八番「一手損角換わり」の可能性も
含みとなりました。。
緊張の高まるこの局面で
先手が自ら戦型を決めず後手に手番を渡すなら
「横歩取り」にも「一手損角換わり」にも対応可能な
▲7八金が自然な一手となりますが。。
7手目▲2四歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: なし
△糸谷竜王: なし
渡辺棋王は「角換わりなど眼中にない」と
2分の考慮で飛車先の歩を強く、突き合わせました。
次に△8八角成と強引に角交換を敢行すると
▲4五角と打たれる筋が生じてしまうため、事実上
「一手損角換わり」の可能性はここで消滅。。
9手目▲2四同飛。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 歩
△糸谷竜王: 歩
糸谷竜王が△同歩(8手目)と応じると
渡辺棋王はすかさず飛車を走らせ歩交換が成立。。
あくまで「横歩取り」模様での進行を促します。。
次に後手が△8五歩と飛車先を決めれば
「横歩取り」の定跡形へ合流する可能性が高いですが
しかし、それでは一方的に先手の言い分が通った形で
後手は不満と、糸谷竜王は手を止め熟考に耽ります。。
考えること、11分。。
10手目△2三歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 歩
△糸谷竜王: なし
糸谷竜王は2筋に浮いた渡辺飛車の頭上に
手にしたばかりの歩を打ち込み、頭を下げて
お引取りを願い、「横歩取り」を拒否しました。。
この手に対して
渡辺棋王は飛車を2六の地点に引き下げ
ジッと浮き飛車に構えました(11手目▲2六飛)。。
14手目△8六歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 歩
△糸谷竜王: なし
2筋を巡る攻防が一息つくと
糸谷竜王は角が直接向かい合った状態で
自らの飛車先で歩をぶつけます。。
渡辺棋王が▲同歩(15手目)と応じて、以下
△同飛~▲8七歩に下図18手目△8二飛と進行。。
18手目△8二飛。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 歩
△糸谷竜王: 歩
糸谷竜王も飛車先で歩の交換を成立させて
戦型は変則的な進行での「相掛かり」となりました。
浮き飛車の渡辺棋王に対して
糸谷竜王は飛車を元居た8二の地点へと
深く引き戻します。。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 歩
△糸谷竜王: 歩
渡辺棋王の端歩の打診を(19手目▲1六歩)
糸谷竜王は受けずに、攻撃の銀の活用を急ぎます。。
すると。。
23手目▲1五歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 歩
△糸谷竜王: 歩
渡辺棋王は素直に
1筋を突き越し、位を確保しました。。
26手目△5四歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 歩
△糸谷竜王: 歩
糸谷竜王が5筋の歩を突いた上図の局面で
午前の対局は終了となり、お昼休憩に突入。
序盤から実に難解な力将棋となりました。。
【 お昼のメニュー 】
渡辺棋王: カレーうどん
糸谷竜王: 松花堂弁当
28手目△5五歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 歩
△糸谷竜王: 歩
午後の対局開始の一手で
渡辺棋王も攻撃の銀を自陣三段目に
繰り上げたのをみて(27手目▲3七銀)
糸谷竜王は中央5筋の歩を伸ばし、位を確保。。
次に、渡辺棋王が
右銀を戦場に繰り出したのをみて。。
(29手目▲4六銀)
30手目△5二飛。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 歩
△糸谷竜王: 歩
糸谷竜王は飛車を5筋へと振り
第4局と同じく、中飛車に構えました。。
33手目▲3五歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 歩
△糸谷竜王: 歩
先に仕掛けたのは渡辺棋王。
糸谷竜王の「棒銀」をみて(32手目△5四銀)
3筋から突っかけました。。
糸谷竜王は次に、△同歩と葉応じずに。。
34手目△4四角。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 歩
△糸谷竜王: 歩
角を4筋へと迫り出し
天王山の位を中心に戦力を集中し、力を溜めます。
この手に対して渡辺棋王が
▲6八銀(35手目)として自陣に手を加えると
以下、△3五歩~▲7九玉~△7二金~▲5九金に
下図40手目△4二銀と進行。。
40手目△4二銀。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 歩
△糸谷竜王: 歩2
渡辺棋王が淡々と玉の囲いを築くと
糸谷竜王もまずは逸る気持ちをグッと抑えて
自陣を整備し、間合いを計ります。。
糸谷竜王が銀を自陣二段目に繰り上げた
上図の局面で、渡辺棋王の考慮中に終了時刻の
午後6時となり、渡辺棋王がすぐに次の手を封じる
意思を示して、一日目は終了となりました。
この一戦に懸ける
両者の気迫と集中力が漲る白熱の駒組みは
果たしてどのような結末へと向かうのか。。
明日は決着の二日目。
形勢は不明、刮目あるのみです。。。
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本日は