第86期棋聖戦5番勝負/第3局「羽生棋聖圧勝、防衛に王手」
8連覇を目指す羽生善治棋聖に
豊島将之七段が挑戦する、第86期棋戦戦5番勝負。
ここまで2局を消化し、1勝1敗のイーブン。
勝者がタイトルに王手を懸ける勝負どころの第3局が
本日、静岡県沼津市「沼津倶楽部」にて開幕。。
第3局の先手は、豊島七段。
ここまでの2局はいずれも後手番が勝利をおさめていますが
それでもやはり、先手の利を生かしたい本局の初手は
角道を開ける▲7六歩から。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲豊島七段: なし
△羽生棋聖: なし
対します、羽生棋聖は
2手目に飛車先を突く△8四歩と返して
注目の対局はスタート。。
早々と居飛車を明示し
戦型の選択権を先手に委ねた羽生棋聖に対し
豊島七段の作戦が明らかとなるのが、次の3手目。。
3手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲豊島七段: なし
△羽生棋聖: なし
豊島七段は▲6八銀とし「矢倉」を明示。
代えて▲2六歩なら「角換わり」が有力でしたが
開幕から3局連続同じ出だしとなりました。。
10手目△4二銀。
上図での持ち駒
▲豊島七段: なし
△羽生棋聖: なし
羽生棋聖も「矢倉」に異存はなく
先手の駒組みに追随し、いざ「相矢倉」を目指します。。
15手目▲2六歩。
上図での持ち駒
▲豊島七段: なし
△羽生棋聖: なし
先に動いたのは豊島七段。
左の金を保留したまま右の金を三段目にあげると
(13手目▲6七金)、不突きが基本の飛車先を突き
「早囲い矢倉」を指向します。。
24手目△8五歩。
上図での持ち駒
▲豊島七段: なし
△羽生棋聖: なし
一方、春に行われた第73期名人戦で
同じ形の「早囲い」を2度、後手を持って指している
羽生棋聖にとっては、想定の範囲内だったでしょうか。。
前例を踏襲する進行から
上図の局面で飛車先を決めた羽生棋聖。
代えて△4四歩と突けば、歴史的大勝を飾った
名人戦/第1局 と同じ進行となりましたが、本局では
逆転で名人防衛を果たした第5局を踏襲 しました。
27手目▲6八玉。
上図での持ち駒
▲豊島七段: なし
△羽生棋聖: なし
次に豊島七段も飛車先を突きこすと(25手目▲2五歩)
羽生棋聖は4四歩と突き、自陣を膨らませて玉を囲う
準備に取り掛かりました(26手目△4四歩)。。
この手をみて
豊島七段も玉を自陣二段目に繰り上げ
囲いに向かいます。。
30手目△6四角。
上図での持ち駒
▲豊島七段: なし
△羽生棋聖: なし
双方、玉の囲いを目指す駒組みとなる中
羽生棋聖は上図の局面で突如、角を戦場に繰り出し
一つけん制を入れますが、しかし。。
31手目▲8八玉。
上図での持ち駒
▲豊島七段: なし
△羽生棋聖: なし
豊島七段は取り合わずに玉の囲いを優先。
以下、△3一玉~▲7八金~△2二玉(34手目)と
息を合わせて玉の入城を完了してから。。
35手目▲4六角。
上図での持ち駒
▲豊島七段: なし
△羽生棋聖: なし
豊島七段も角を対角4六の地点に繰り出し
両者の角が直接、5五の位をはさんで睨み合う
「脇システム」の模様が描き出されました。
40手目△4二角。
上図での持ち駒
▲豊島七段: なし
△羽生棋聖: なし
「脇システム」と言えば
「先・後同形矢倉」への進行が有名ですが
本局の羽生棋聖は1筋の歩を受けずに角を下げ
同形模様への進行を拒みました。。
すると、次の瞬間
41手目▲3五歩。
上図での持ち駒
▲豊島七段: なし
△羽生棋聖: なし
繰り出した角の元を取るべく
豊島七段は3筋の歩を突き合わせて
まずは軽く、仕掛けます。。
羽生棋聖が△同歩と応じて
以下、▲同角に下図44手目△9二飛と進行。
44手目△9二飛。
上図での持ち駒
▲豊島七段: 歩
△羽生棋聖: 歩
ともに一歩を手にしてから
羽生棋聖が飛車を9筋の端に構えた上図の局面で
午前の対局は終了、お昼休憩突入となりました。
【 お昼のメニュー 】
豊島七段: 天ぷらそば、おにぎりセット
羽生棋聖: きつねうどん、おにぎりセット
46手目△3四歩。
上図での持ち駒
▲豊島七段: 歩
△羽生棋聖: なし
午後の対局開始の一手で
豊島七段が角を自陣に引き下げると(45手目▲5七角)
羽生棋聖は貴重な一歩を3四の地点にあてがい傷を消し
嵐の前の静けさか、穏かな指し回しを披露。。
この手をみて
次に豊島七段は右の銀を飛車先に乗せ
攻めの基本かつ破壊力抜群の「棒銀」に構えました。
(47手目▲2六銀)
48手目△8四銀。
上図での持ち駒
▲豊島七段: 歩
△羽生棋聖: なし
羽生棋聖も負けじと銀を8筋に繰り上げ
上図から次に豊島七段が6筋の歩を上げて
角でこの銀を狙うやいなや(49手目▲6五歩)。。
50手目△7五歩。
上図での持ち駒
▲豊島七段: 歩
△羽生棋聖: なし
羽生棋聖は7筋の歩を突き合わせて
このタイミングで先に仕掛けを開始。。。
豊島七段は▲同歩と応じて、以下
△9五歩~▲同歩~△同銀~▲同香~△同飛と
一直線に進行(下図56手目)。。
56手目△9五同飛。
上図での持ち駒
▲豊島七段: 銀、歩3
△羽生棋聖: 香、歩
端で駒を捌いて、いざ開戦となりました。。
62手目△6五桂。
上図での持ち駒
▲豊島七段: 銀、歩3
△羽生棋聖: 香、歩
9筋に二段ロケットの拠点を築いた
羽生棋聖は自陣に留まる角を活用すべく
桂馬のただ捨てを敢行。。
67手目▲8四銀。
上図での持ち駒
▲豊島七段: 桂、歩3
△羽生棋聖: 香
豊島七段は徹底的な受けで対抗。
なりふり構わず角の突破を阻止しながら
代償として飛車の捕獲を求めます。。
しかし、羽生棋聖に迷いなし。
飛車取りを無視して銀を取り切り(68手目△7六歩)
以下、▲9五銀~△同香~▲7六金~△8七歩成~
▲同玉に下図74手目△7五歩と厳しく進行。。
74手目△7五歩。
上図での持ち駒
▲豊島七段: 飛、桂、歩5
△羽生棋聖: 銀2、香
畳み掛ける攻撃の前に
あっという間に、先手陣の囲いが乱されました。。
78手目△6六銀。
上図での持ち駒
▲豊島七段: 飛、桂、歩6
△羽生棋聖: 銀
勢いを加速しながら
なおも攻め続ける羽生棋聖は6筋に香車を据えて
その先に銀を打ち込み角・金両取り。。
防戦一方となった豊島七段は
このままではジリ貧で終わってしまうと、次に。。
79手目▲2四桂。
上図での持ち駒
▲豊島七段: 飛、歩6
△羽生棋聖: 銀
両取りを放置して
手持ちの桂馬を銀と飛車が控える2筋に投入。。
タダ捨ての勝負手で強引に「棒銀」の捌きに出ました。。
しかし、この手はみるからに苦しげ。。
84手目△3一桂。
上図での持ち駒
▲豊島七段: 飛、歩7
△羽生棋聖: 角、銀
羽生棋聖は手にした桂馬を自陣に打ち込み
徹底的に受けに回る姿勢を示します。。
95手目▲6三「と」金。
上図での持ち駒
▲豊島七段: 歩6
△羽生棋聖: 角、銀2、歩2
豊島七段は必死の猛攻。。
全力を挙げて後手玉へと絡みつきますが
磐石の受けで対応し続けた羽生棋聖は
手番を握った上図から次に。。
96手目△6七香成。
上図での持ち駒
▲豊島七段: 歩6
△羽生棋聖: 角、銀2、歩2
香車を成り込み
ついに反撃の狼煙を上げました。。
【 投了図・108手目△7九飛 】
投了図での持ち駒
▲豊島七段: 角、香、歩6
△羽生棋聖: 金、銀2、歩2
終盤は大差がつき、事実上の形作りに。。
羽生棋聖が飛車を打ち込んだ上図の局面をみて
豊島七段、無念の投了となりました。。
鉄壁の強さで若き挑戦者を圧倒した
羽生棋聖がシリーズ2勝目を飾り、タイトル防衛へ
意気揚々と王手をかけました。
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