第61期王座戦5番勝負/第4局「仕掛ける中村六段、羽生王座の心中は。。」
羽生善治王座に
中村太地六段が挑戦する、第61期王座戦5番勝負。
ここまで3局を消化し
全て先手が勝利をおさめ、中村六段が2勝1敗とリード。
初タイトル獲得に王手をかけて迎えた注目の第4局が
本日、新潟県南魚沼市「龍言」にて行われています。
第4局の先手は
カド番に立たされ後のなくなった羽生王座。
初手はいつものように、角道を開ける▲7六歩から。。
2手目△3四歩。
上図での持ち駒
▲羽生王座: なし
△中村六段: なし
羽生王座を向こうに回し、名勝負を連発。。
念願のタイトル奪取に王手をかけて活き上がる
中村六段の2手目は先手に同じく角道を開ける△3四歩。
同じ手番だった第2局では
2手目△8四歩として「阿久津流急戦矢倉」を狙ったものの
不発に終わった中村六段でしたが、本局では最も得意とし
信頼を置く、「横歩取り」を目指します。。
15手目▲3四飛。
上図での持ち駒
▲羽生王座: 歩3
△中村六段: 歩2
例え苦しい状況にあろうとも、いやだからこそ
注文に耳を傾け、相手の得意戦法に飛び込んでいくのが
将棋の代名詞・羽生王座の真骨頂。。
定跡手順の進行から上図15手目に
羽生王座が2筋に浮いていた飛車でお隣り3筋の歩をかすめとり
戦型は「横歩取り」となりました。
25手目▲5八玉。
上図での持ち駒
▲羽生王座: 歩2
△中村六段: 歩2
中村六段は
飛車を△8四の地点に引き、玉を立ててから
2筋の銀をグイッと3段目に突き上げました(24手目△2三銀)
この手をみて、羽生王座も同じく玉を立てます。。
この形は「横歩取り」最新形。。
上図から、△1四歩~▲3六歩~△1五歩~と進行。
中村六段は1筋の位を確保(28手目△1五歩)。
次に羽生王座が右の桂馬を跳躍させると。。
(29手目▲3七桂)
30手目△8八角成。
上図での持ち駒
▲羽生王座: 歩2
△中村六段: 角、歩2
中村六段は角交換を敢行。
研究はバッチリと言わんばかりの自信が盤上に反射します。
36手目△2四飛。
上図での持ち駒
▲羽生王座: 角、歩2
△中村六段: 角、歩
午前中の対局は上図36手目まで。
中村六段が飛車を2筋に振り、向かい飛車とした局面で
お昼休憩突入となりました。
【 お昼のメニュー 】
羽生王座: ひつまぶしセット、緑茶
中村六段: ひつまぶしセット、ジンジャーエール
「ひつまぶし?美味いよね。
そのまま、薬味乗せ、お茶漬け。。どの食べ方も隙がないと思うよ。」
39手目▲4六角。
上図での持ち駒
▲羽生王座: 歩2
△中村六段: 歩
午後の開始は
羽生王座の壁銀を解消する37手目▲7七銀から。
中村六段はすかさず角を打ち込み(38手目△5四角)
分厚い攻撃態勢を築き、華々しく総攻撃にて
タイトル奪取を目論見ます。
しかし
駒たちが躍動するかに思えた
次の瞬間、放たれた羽生王座の上図39手目▲4六角で
状況は一変。。
△4四飛~▲5五角~△2四飛~▲4六角~△4四飛~
角に狙われた太地飛車は
逃げ場が限られ右往左往を繰り返すのみとなり。。
51手目▲4六角。
上図での持ち駒
▲羽生王座: 歩2
△中村六段: 歩
午後2時56分。
上図51手目の局面で千日手が成立。指し直しとなりました。
まだ開戦前ながら
迫力ある模様で後手良しとの見解もきかれただけに
中村六段にとっては悔しい千日手ですが、それでも
手番の入替わる指し直し局では先手となり、まずまず。。
一方、必勝を期した羽生王座にとっては痛い
千日手となりました。
指し直し局の開始は30分後。
休憩中に午後3時を迎え、両者はおやつタイムへ。。
【 午後のおやつ 】
羽生王座: バームクーヘン、コーヒー
中村六段: チョコレートケーキ、紅茶
4手目△8八角成。
上図での持ち駒
▲中村六段: なし
△羽生王座: 角
午後3時26分に開始された
指し直し局は、先手・中村六段の初手▲2六歩から
△3四歩~▲7六歩~と進行し、迎えた上図4手目に
羽生王座が角交換を仕掛けます。。
8手目△3三銀。
上図での持ち駒
▲中村六段: 角
△羽生王座: 角
角交換成立後
羽生王座は左の銀を3段目に上げ、飛車の横利きが通りました。
「一手損角換わり」からのこの進行は、振り飛車の熱き戦型
「康光流ダイレクト向かい飛車」を連想させますが。。
10手目△6二銀。
上図での持ち駒
▲中村六段: 角
△羽生王座: 角
羽生王座は△6二銀と構え
あくまでも相居飛車での勝負をのぞみます。
19手目▲5八金右。
上図での持ち駒
▲中村六段: 角
△羽生王座: 角
角交換後は
双方の右の銀の活用の仕方がポイントとなりますが
中央5筋に繰り出し形を決めた羽生王座に対して
中村六段は態度を保留したまま駒組みを進行。。。
23手目▲3七桂。
上図での持ち駒
▲中村六段: 角
△羽生王座: 角
中村六段は銀よりも先に桂馬に手をかけ
今シリーズ先手番での強さの象徴となっている
▲3七桂がここに登場。。
27手目▲5六銀。
上図での持ち駒
▲中村六段: 角
△羽生王座: 角
シンボリックな▲3七桂に心を落ち着かせてから
いよいよ右の銀が繰り上がり、後手の銀と中央5筋で相対峙。。
35手目▲1五歩。
上図での持ち駒
▲中村六段: 角
△羽生王座: 角
ジリジリと間合いを計りながらも、歩調を合わせて
双方の玉が入城を視野に入れた、その時。。
中村六段は1筋を突き越し、位を取りました。
さらに
羽生王座の次の36手目△4四歩を見て。。。
37手目▲4五歩。
上図での持ち駒
▲中村六段: 角
△羽生王座: 角
中村六段は4筋で歩を突きあわせ、宣戦布告。。
若き挑戦者の躍動感があれます。。
以下、△6四角~▲4四歩~△同銀~▲1四歩~△同歩~に
下図43手目▲1三歩。。
43手目▲1三歩。
上図での持ち駒
▲中村六段: 角
△羽生王座: 歩2
中村六段は積極的に仕掛けを展開。。
盤上は熱を帯び、緊張感が高まります。。。
49手目▲2六飛。
上図での持ち駒
▲中村六段: 角、歩
△羽生王座: 歩3
上図49手目の局面で夕食休憩に突入。。
中村六段の仕掛けに淡々と受けに回った羽生王座の
心中やいかに。。
【 夕食のオーダー 】
中村六段: 親子丼、グレープジュース
羽生王座: おにぎりセット、グレープジュース