第54期王位戦7番勝負/第3局・二日目「最終盤、行方八段反撃」
羽生善治王位に
行方尚史八段が挑戦する、第54期王位戦7番勝負。
羽生王位の開幕2連勝で迎えた勝負どころの第3局が
昨日より、北海道川上郡「層雲峡 朝陽亭」にて開幕。。
第3局の先手・羽生王位の初手▲7六歩に対し
本局を落とすとカド番に立たされ後のなくなる行方八段は
居飛車党の威信をかけて2手目△8四歩と返して
対局はスタート。。
18手目▲5二金。
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△行方八段: なし
戦型選択を委ねられた羽生王位の
注目の3手目は「矢倉」を明示する▲6八銀。
行方八段も先手に追随し
急戦を示唆するなど微妙な駆け引きを織り交ぜながら
「相矢倉」を目指す展開となりました。
35手目▲8五歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△行方八段: なし
互いの玉が入城を果たし
右の銀が天王山5五の位をはさんでにらみ合い
戦型は「相矢倉・脇システム」に。。
上図35手目の局面では
脇システムの特徴の一つである先後同型模様が
盤上に描かれました。
【 一日目終了図・38手目△8四銀 】
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△行方八段: なし
一日目は上図38手目の局面で
羽生王位が大長考に入り、そのまま終了時刻となり
そのまま次の手を封じて終了。。
最近のタイトル戦では珍しく
互いにじっくりと腰を据えて読み合う進行となり
一度も駒がぶつからなかった一日目から、一夜が明け
迎えた本日、決着の二日目。。
39手目▲6四角。
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△行方八段: なし
注目の羽生王位の「封じ手」は本命視されていた▲6四角。
行方八段はすぐに△同歩と応じ角交換から勝負の二日目は
スタートとなりました。。
41手目▲6三角。
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△行方八段: 角
羽生王位は手にした角をすぐに行方陣営へと投入。
行方八段が飛車先に乗せた銀を引いて受けると
羽生王位はすかさず、3七に構えていた銀をグイッと
力強く斜め前方に前進させました(43手目▲4六銀)。。
44手目△6五歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△行方八段: 角
羽生王位の圧力に急かされたように
行方八段はまず、6筋の歩を突き合わせて反撃。。
しかし、以下
▲同歩~△7五歩~▲6六銀~△7六歩~▲3五歩~
△同歩と来て、下図51手目▲7二歩。。
51手目▲7二歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△行方八段: 角、歩2
行方八段の気勢を制するように
羽生王位は柔らかい対応で、さらに後手を急かします。
この辺りですでに
羽生王位がペースを握っているようにも感じられました。
53手目▲6四歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△行方八段: 歩2
行方八段は6三に張り付いた羽生角を消すべく
持ち駒の角を投入(52手目△7四角)。
しかし、羽生王位は
「角を換えたきゃそちらからどうぞ」と角の後ろに歩をあてがった
上図53手目の局面までで、午前の対局は終了。
お昼休憩突入となりました。
【 お昼のメニュー 】
羽生王位: 愛別産舞茸コロッケ、素麺
行方八段: ビーフカレー
57手目▲7一歩成。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 歩
△行方八段: 歩
午後の対局開始から行方八段は△8六歩~△8五歩~
と、飛車先の継ぎ歩から手を作ろうとしますが、その間に
羽生王位が事前に垂らしておいて7筋の歩が「と」金となり
行方陣営へを侵食。。
それでも
行方八段が△8六歩(58手目)と飛車先突破を図ると
以下▲8一「と」金~△6二飛~▲9一「と」金~の進行で
羽生王位は駒得となりました。。
67手目▲4一角。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 桂、香、歩
△行方八段: 角、歩4
駒損となったものの
羽生玉の頭上に歩のツララをぶら下げた行方八段は
6筋で角を捌いて、飛車先を開きました。
しかし、羽生王位は2筋で歩を突き捨ててから
角を後手陣最下段に投入し、行方玉の囲いを崩しにかかり
早くも終盤戦模様へ。。
71手目▲6八飛。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 桂、歩
△行方八段: 歩4
羽生王位は
得した香車を飛車の代わりに2筋へ配置し(69手目▲2六香)
行方角に狙われた飛車を悠々、6筋へと移動。。
早くも駒損が響いた格好の行方八段は
次に6五歩(72手目)からの反攻を試みますが。。。
77手目▲5四銀。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 桂、歩3
△行方八段: 歩2
羽生王位はふわふわと右の銀を上昇させ
行方玉を囲う守る駒である金を強襲。。
以下、△同金をみて香車ロケットを発射!(79手目△2四香)
後手の陣形を上から崩します。。
82手目△8七銀。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 桂、歩3
△行方八段: 香、歩2
手がしなる羽生王位は手にした銀で
流れるように、今度は飛車・金両取りをかけました。。
しかし
ここまで沈黙を守っていた行方八段は
その両取りに構うことなく、羽生玉の頭上に銀を投下し
ついに、電光石火の逆襲に転じます。。
また、最近の羽生王位が中盤で景気良く踏み込む時は
どちらかというと終盤もつれる展開となることが
多いようにも感じますが。。。
90手目△7七銀。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 飛、銀、桂、歩4
△行方八段: 金、香、歩
ここで羽生王位、長考に。。
クライマックス間近で風雲急を告げる王位戦/第3局
結末や、いかに。。