大胆不敵に康光流。。王位戦挑決リーグ/最終戦「澤田五段、ダイレクト向かい飛車投入」
羽生善治三冠への挑戦者をかけて
紅白に分かれて行われてきた第54期王位戦挑決リーグは
本日、最終戦/5回戦・一斉対局を迎えました。。
4手目△9四歩。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: なし
△澤田五段: なし
注目の 白組全勝対決
「佐藤康光九段-澤田真吾五段」の一戦は
佐藤九段が先手。
初手▲7六歩~△3四歩~▲2六歩の出だしから
われらの森信雄一門期待の新鋭・澤田五段は
大胆にも上図4手目に端歩を突いて、佐藤九段の出方を
伺います。。
序盤の一手から常に真剣勝負
妥協を許さぬその真摯な姿勢から「現代の幸三」と呼ばれる
佐藤九段はもちろん、端歩を受けるような真似はせず
堂々と飛車先の歩を突き、澤田五段に直球を投げ返します。。
「俺様の飛車先をどう受けるつもり何だい?」
将棋界の看板スター
佐藤九段にそう問われた、次の瞬間。。
6手目△8八角成。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: なし
△澤田五段: 角
澤田五段は臆することなく佐藤角を強襲。。
12手目△2二飛。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: 角
△澤田五段: 角
角交換成立後
澤田五段は居玉のまま、△2二銀~△3三銀~と
一目散に右の銀を繰上げ二段目を開けてから
飛車に手をかけ一気に2筋へと振りました。。
これは、そう
王将戦でも採用された佐藤九段の得意戦法
「康光流ダイレクト向かい飛車」。。。
恐れ知らずの21歳
澤田五段はこの大一番で、佐藤九段を試すかのような
大胆な作戦に打って出ます。
まだ少年の様なあどけなさを残す
大人しそうな風貌の澤田五段ですが、さすがは大器
いい根性してますね。。
13手目▲6五角。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: なし
△澤田五段: 角
一方、試される格好となった
佐藤九段は、しばし時間を使ってからセオリー通りに
角を投入。。
ちなみに、王将戦で佐藤九段が採用した2局(第2局 、第4局 )や
同時期に里見香奈女流五段が女流最強戦で採用 した
「ダイレクト向かい飛車」は全て先手の初手が▲2六歩。
なので後手は端歩を突かずに
4手目でいきなり角交換を敢行しており
微妙な違いはあるものの、佐藤九段はまず「定跡」から
澤田五段のお手並み拝見。。
澤田五段は次に
△7四角(14手目)と角を合わせます。。
以下、▲同角~△同歩~▲7五歩~
佐藤九段が
二度目の角交換から7筋で歩を突きあわせると。。。
18手目△7二飛。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: 角
△澤田五段: 角
澤田五段はその歩を取り込むことなく
2筋へと振った飛車を7筋へと呼び戻しました。。
26手目△6二銀。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: 角、歩
△澤田五段: 角、歩
澤田五段は
そのまま飛車を7筋に構えたまま駒組みへ。。
出だしに大胆な注文をつけたものの
対抗形とはならず、相居飛車の模様が描きだされます。。
28手目△6四歩。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: 角、歩
△澤田五段: 角、歩
しかし、騒がしい序盤が落ち着いてみると
居玉のままの後手に対して、先手の方が隙のない
駒組みとなったようにも感じられますが。。
それでも澤田五段には「奥の手」が存在するのか。。
上図28手目には、何気なく飛車のコビンを自ら開けます。。
ここで佐藤九段は長考に。。
30手目△6三角。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: 歩
△澤田五段: 歩
昼食を挟み
1時間近く考えた佐藤九段は4五の地点に角を打ち込み
誘いに乗ります。。(29手目▲4五角)
この手をみて、澤田五段が今度は長考に入り
1時間21分の考慮の後、△6参角とし
三度、角が向かい合います。。。
しかし、佐藤九段は
今度は角交換には応じず、31手目は▲5六角。。
36手目△7四角。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: 歩
△澤田五段: 歩
局面を落ち着かせて駒組みを進めたい佐藤九段に対し
澤田五段は今だ居玉のまま、執拗に角交換を催促。。
この局面では佐藤九段も応じて
3度目の角交換が成立しました(37手目▲同角)。。
61手目▲3五銀。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: 角
△澤田五段: 角、歩3
三度目の角交換成立後は
局面が落ち着き、佐藤九段は6筋の金が一段低い
「矢倉囲い」の中へと玉の入城が完成。
序盤は作戦通りとなったのか
澤田五段も遅ればせながら、玉を寄せますが
闘将・佐藤九段は3筋で銀をガツンとぶつけて、開戦を要求。。
以下、△同銀に▲7一角(63手目)
飛車と銀の両取りをかけて景気良く、佐藤九段は猛攻へ。。
78手目△3六馬。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: 桂
△澤田五段: 角、歩5
澤田五段は
飛車を切って角と交換(64手目△6二飛)
互いに手にした大駒をすぐに再投入し
一気に終盤戦突入。。
玉の堅さは一目で差がありますが
澤田五段がどのような手段で粘り腰を披露してくれるのか。。
楽しみであり、勝負はここから。。。
69手目▲5六歩。
上図での持ち駒
▲松尾七段: 角、歩2
△行方八段: 金、歩3
一方、紅組の大一番
「行方尚史八段-松尾歩七段」の一戦は
将棋界屈指の居飛車党の実力派同士の好カードらしく
実に玄人好みな難解かつ複雑なねじり合いとなっています。。
いずれも終局は今夜。
果たしてリーグ戦優勝を決め
挑戦者決定戦に姿を現すのは、どの棋士となりますでしょうか?