第38期棋王戦挑戦者決定二番勝負/第2局「渡辺竜王勝利、挑戦者に名乗り」
16手目△5二金。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: なし
△羽生三冠: なし
郷田真隆棋王への挑戦権をかけて
羽生善治三冠と渡辺明竜王によってあらそわれる
第38期棋王戦挑戦者決定二番勝負の決着戦/第2局が
本日、東京・将棋会館にておこなわれました。
振り駒の結果、先手は渡辺竜王に。
初手から▲7六歩~△8四歩~▲6八銀~と進行。
羽生三冠も渡辺竜王の動きに追随し、一路「相矢倉」を目指す
展開となりました。
26手目△6四角。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: なし
△羽生三冠: なし
今期、春に行われた第70期名人戦で
森内俊之名人に連敗(第1局、第3局)を喫して以降
後手番で「相矢倉」を受けることを封印してきた羽生三冠が
(名人戦以降の公式対局で「相矢倉」の後手を持ったのは
名人戦終了直後となる6/25に行われた佐藤天彦七段戦のみ)
ついに、この大一番で後手番矢倉を採用。。
新構想の完成をみたのか。。否が応にもボルテージが上がります。
一方、このところの羽生三冠との対戦では
後手番で矢倉を受けて立ちまくっている渡辺竜王が、久しぶりに
先手で十八番の「矢倉」を投入するとあって、こちらの期待感はマックス。
序盤の見慣れた定跡手順の駒組みから、すでに手に汗握る中
先に動いたのは渡辺竜王でした。
上図26手目△6四角は、先手の3五歩をけん制し
次に渡辺竜王が27手目▲6八角とすれば、△4三金以下
双方の玉が「矢倉囲い」へ入城を果たす現代矢倉の主流「▲4六銀3七桂」型
へと向かいますが。。。
27手目▲4六角。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: なし
△羽生三冠: なし
渡辺竜王も角を戦場へとせり出し
後手の角と天王山5五の位をはさんで向かい合う
通称「脇システム」を採用。。
41手目▲6四角。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 角
△羽生三冠: なし
脇謙二八段が熱心に研究し
多用したことからその名がついた「脇システム」
その特徴の一つである先・後同形の模様を描いてから
先手・渡辺竜王が角交換へ。。
53手目▲4一角。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 香
△羽生三冠: 銀、歩3
角交換成立後
羽生三冠はすぐに「矢倉」の急所である6九の地点に角を投入し
形を決めたのに対して
渡辺竜王は
▲2六銀~▲1五歩~△同歩~▲同銀~と棒銀をみせ
端からの攻略を目指してから、4一の好所へ角の打ちこみ。
まだ午前中の段階ですでに中盤戦たけなわ
熱く激しい戦いとなりました。。
64手目△4二銀。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 香、歩3
△羽生三冠: 歩
せっかく築いた「矢倉」を崩してでも
何が何でも先手の馬を捕獲しにいく羽生三冠。
その馬を詰んだ上図64手目の局面で
お昼休憩突入となりました。。
【 お昼のメニュー 】
渡辺竜王: うな重(梅)・赤だし
羽生三冠: チャーシューメン
68手目△4六角。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 銀、香、歩3
△羽生三冠: 歩
午後開始の一手は渡辺竜王の65手目▲4二同馬。。
馬を詰まれた渡辺竜王は銀との交換で馬を切りました。
羽生三冠は手にして角をすぐに投入し
今度は渡辺竜王の飛車に狙いをつけます。。
73手目▲1九飛。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 銀、香、歩3
△羽生三冠: 歩2
渡辺竜王はテキパキと羽生角のラインを外しながら
1九の地点に飛車をおさめ、その先で力を溜めている香車ロケットと連結。
端からの圧力がみるからに強まりました。。
この局面で、次に羽生三冠は。。
74手目△8六飛。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 銀、香、歩3
△羽生三冠: 銀、歩2
それまで鳴りを潜めていた飛車がいきなり突進し、銀を強襲。。
続けて▲同歩~△6九馬(76手目)と、強引にも見える踏み込みで
一気に終盤戦突入を促しました。
渡辺竜王は慌てることなく
右の桂馬を跳躍させ(77手目▲3七桂)
1九に収めた飛車の縦だけでなく横への利きも通し
羽生三冠が飛び込ませた6九の馬を睨みます。。
そこから
△8七歩~▲同玉~△7九角成と進行。
羽生三冠は二枚の馬を並べて、渡辺玉へと迫りますが。。
81手目▲6八飛。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 銀、香、歩4
△羽生三冠: 銀、歩
渡辺竜王もベタっと飛車の重石を投入し、受けに万全を期します。。
88手目△8七歩。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 角2、銀、歩4
△羽生三冠: 金、銀
羽生三冠は煮詰まった渡辺玉周りから
二枚の馬を飛車と金との交換で、駒をきれいさっぱりと清算。
しかし、休む間もなく飛車の投入から
8七の地点に怪しげな歩を垂らし、何とか手をつなぎ食い下がります。
渡辺竜王は根気よく受けに。。
91手目▲1五角。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 角、銀、歩5
△羽生三冠: 金、銀、桂
しかし、羽生三冠が桂馬を捕獲した(90手目△3七桂)
次の瞬間、渡辺竜王はたっぷりと時間を使ってから1五の地点に
角を投入し、飛車・金両取りが掛かりました。。
ここで決めなければ負けとなる羽生三冠。
いよいよ最終盤戦へ。。。
96手目△7五銀。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 角、銀2、桂、歩5
△羽生三冠: 金、歩
羽生三冠は92手目△7五桂の王手・金取りからの
寄せに全てをかけます。。
【 投了図・105手目▲6九桂】
投了図での持ち駒
▲渡辺竜王: 角、金、銀2、歩5
△羽生三冠: 飛
しかし、一歩及ばず。。
渡辺竜王が慎重に受け切り
上図105手までで羽生三冠無念の投了。。
王将戦に続き、棋王戦の挑戦者に名乗りをあげました。